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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > タイへの投資環境(国際経営・国際ロジスティクス/星野 裕志)

タイへの投資環境(国際経営・国際ロジスティクス/星野 裕志)

10/10/13

昨日は大規模デモなどの政治的なリスクも報道される中で、
海外からの投資はますます増加しているタイの投資環境の説明をしました。
今回の出張では、タイの代表的な工業団地の内の3カ所を訪問して、
企業のヒアリングを行い、タイのビジネスのしやすさは
格段に高いということを聞くことができました。
今年はタイの自動車生産台数が、過去最高の
160万台に達する事が確実視されているとのことですが、
戦略的なロケーションと自動車産業の高い集積から、
完成車はアジア域内やオーストラリアやアフリカにも出荷されていますし、
自動車部品であれば日本を含むグローバルな調達先になっています。
もはやタイはインドシナ半島や東南アジアだけではなく、
グローバルな視野で生産活動を行っています。


■GMS(大メコン地域開発プログラム)について

その中で、必ずと言っていいほど聞かれたのが、
2015年のASEANの経済統合とGMS(Greater Mekong Subregion)
=大メコン地域開発プログラムのことです。
GMSとは、1992年にアジア開発銀行のイニシアティブによって、
メコン河流域諸国(タイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム、
中国雲南省)を対象とした地域開発支援プロジェクトです。
国際機関や各国政府が推進するこのプロジェクトの中でも、
大メコン地域東西回廊と南北回廊のプロジェクトは、インドシナ半島と
アジアの各国に大きな影響を及ぼす重要な国際プロジェクトです。
回廊とは交通網の整備のことで、主に道路網が縦横にできると、
インドシナ半島だけではなくて、アジアの各国に
様々な経済的な波及効果を及ぼす可能性が高いと言われています。

大メコン地域東西回廊とは、ベトナム中部のダナンから
ラオス、タイを経て、ミャンマーのモーラミャインまでの
全長1,450キロを結ぶ国際幹線道路網の整備です。
日本でも2006年に第二メコン橋を完成に貢献し、
現在タイとラオスとベトナムの間には、同一車両が
相互に通行する三国間合意が成立しています。
例えばベトナムのハノイからタイのバンコクまで、
船舶で輸送するとなると、従来は7日間を要していましたが、
この東西回廊の利用によって、現在3泊4日でサービスが提供されています。
3泊4日という言い方をしていますが、実質的には50数時間で走れるそうです。
実際に、タイからは自動車部品や電子部品などが出荷され、
ベトナムからは完成品の輸送がされるなど、
域内での分業体制が整いつつあります。

これに対して、大メコン地域南北回廊とは、
その名の通りインドシナ半島を縦断する大動脈です。
中国南西部の雲南省の省都昆明から始まり、
南はタイのバンコクを結ぶ全長約2,000キロにおよぶ道路です。
自由貿易協定を締結している中国とタイ両国間の貿易活動が
南北回廊を利用して、ますます活発になるだけではなく、
この回廊がつながる事で、既に整備されている北京から
シンガポールに至るアジアの南北が陸路で結ばれました。
中国とASEANとの貿易活動も活発化することで、
まさに2015年のASEANの経済統合に貢献する事になります。


■タイの高速鉄道建設計画

また、タイ政府は中国の支援で、南北を貫く高速鉄道建設に
着手する事が、9月の初旬に発表されましたが、
タイ国内とタイ/マレーシア間の鉄道が整備される事で、
将来的には中国の昆明からラオス・タイを経て、
シンガポールに至る鉄道網も完成することになります。
まさに、道路と鉄道の南北回廊によって、アジアが縦に繋がる事になります。

これからは、これらのハード面の完成に次いで、
国境をまたがる輸送に関して、通関手続きの簡素化や
トラックなどの機器の互換性などのソフト面を整備する事によって、
大動脈として機能する事になります。
またその際には、ラオスのような港を持たない内陸国の
輸出可能性の模索や、単に国際輸送の通過国
とならないような取り組みが必要になります。


■カントリー・リスクを超える魅力

タイの投資環境についていろいろと考えてきましたが、
東西回廊と南北回廊の要衝としてのタイの重要性は
ますます高まる事が予想され、今後の部品や原材料の調達や
生産が域内で自己完結的に行われる環境が整う事で、
グローバルな出荷拠点としてのタイのポジショニングも
さらに重要になると思われます。
そう考えると、今年の春に発生した大規模ストライキなどのリスクは、
タイのもつ更なる可能性に比べれば、外資系企業の
直接投資を控えさせるものではないようです。

分野: 星野裕志教授 |スピーカー:

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