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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 概算要求 (財務戦略/村藤 功)

概算要求 (財務戦略/村藤 功)

10/10/08

2010年8月末に2011年度予算の概算要求が締め切られました。
今回は菅総理の政権運営ともあわせて概算要求についてお話ししていきます。


■民主党代表選の影響
国の2011年度の予算策定手続きは、民主党代表選の間も粛々と進んでいました。
小沢氏は菅総理の歳出抑制路線には反対の立場で、
民主党のマニフェストの通り子供手当てや高速道路無料化を進めると言っていました。
そのため、小沢氏が代表選挙に勝利していた場合、
予算を最初から作り直すということになっていたかもしれませんが、
管総理が再選したため、これまでやってきたプロセスを継続するということになりました。

小沢氏は代表選の最中に、予算編成が政治主導ではなく、
自民党時代からの相変わらずの官僚主導であると批判していましたが、
確かにそういうところはあると思います。
やはり、キャリア官僚で長らく行政に携わってきた人と、
当選したばかりの新人議員では、知識の量が比べものになりません。

結局、大臣や副大臣、政務三役といっても下から上がってくるものをみているだけで、
政治家が自分でこういう方向にしようとリードしているかといわれれば、怪しいです。


■概算要求と特別枠
2011年度予算編成では概算「要求」と追加「要望」の2つの枠で構成されています。

要求というのは概算要求で正式に積み上げているものですが、
2011年度の概算要求は8月31日に締め切られました。
ここでは、財政難ということもあり2つの方針が立てられていました。

一つ目は、社会保障費や公共事業費などの一般歳出と、
地方交付税交付金などを合わせた歳出を、
2010年度並みの71兆円以下にするというものです。
そして二つ目が、新発国債を2010年度と同じ、
44兆3000億円を上回らないようにするというものです。
歳出と国債による資金調達の2つに縛りをかけたという形になります。

少子高齢化でお年寄りも増えるということで、
年金・医療・介護等の社会保障費は1兆3000億円の自然増です。
しかし、これを除く一般的な政策経費については、
各省に10%程度の削減を要求しました。
この10%削減には大学をはじめとして、各省庁で反対の声が相次ぎました。

これを受けて、自発的に1割以上削減した閣僚は、
成長戦略やマニフェストに関わる政策を、
削減上積額の3倍の予算で追加要望できるという「特別枠」が設けられました。
この特別枠の額については、民主党は2兆円を主張しましたが、
財源確保に不安のある財務省が難色を示し、
「1兆円を相当程度超える額」で決着しました。

8月末の概算要求締め切り段階で出た特別枠の要望は約3兆円ですが、
全ての要望が認められるとは限りません。
特に、国立大学法人の経営は厳しい環境にありますが、
九州大学では要求に要望を足すと2010年度予算よりもプラスになっているということで、
要望がどの程度認められるのかということは死活問題にもなってきます。


■資金捻出の可能性
政府の貸借対照表にはまだまだ大きな資金を捻出できる余地があります。
秋には特別会計を対象とした事業仕分けが開催されますが、
本当は外為特別会計や財政投融資特別会計から10兆、20兆円は簡単に捻出できます。
しかし、そこに手をつけるとなると財務省と正面衝突しなければなりません。
特別会計は財務省が仕切っているため、
財務省と正面衝突すると来年度の予算編成に支障が生じて、
民主党はお手上げということになってしまいます。

また、マスコミは財源がないといっていますが、それは全くの誤りです。
消費税増や経済成長をせずとも、特別会計や独立行政法人を民営化すれば、
何十兆、何百兆、というお金が出てきます。
中央省庁とあまり戦いたくないとなると、
今まで通りの官僚主導の予算編成になってしまうので、
政府が財務省と本当に正面対決出来るのかというのが問題となってきます。


■社会保障
菅総理は国家公務員の人件費を削減するといっていますが、
財源不足の原因は人件費でも公共事業費でもありません。
菅総理はあまり口にしたくないようですが、最大の原因は、社会保障費です。
ほとんどの予算を社会保障に投じているため、社会保障をどうするかというのが問題です。
社会保障を官だけで丸抱えしていると、
少子高齢化で毎年ますますお金が必要になってくるため、
消費税を上げる必要が出てきます。

しかし、規制緩和して社会保障を官と民で分担できるようにすれば、
民間部門が成長して雇用も増加します。
そうなれば、消費税をあげる必要は全くありません。
とはいうものの、この社会保障の問題については、
まだ全く国民に理解されていない状況です。

また、菅総理はマニフェスト通りの政策を実行できないと思っているようです。
財源不足のためマニフェスト通りには出来ないと国民に説明するつもりに見えます。
そもそも、菅氏も含めて国民は国全体の財務がどうなっているのか、
あまり分かっていないのではないかと思われます。
お金がどこにあって、どうすれば出てくるのかという議論をみても、
民営化や特別会計の外為特会とか財政投融資特会の話がすっぽりと抜けています。

代表選には負けてしまいましたが、
そういう意味では財源はいくらでもあるといっていた小沢氏の方が、
この点については正しいのではないかと思います。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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