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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 「中国の知財問題(1)」 − 抜け駆け権利登録 (産学連携/高田仁)

「中国の知財問題(1)」 − 抜け駆け権利登録 (産学連携/高田仁)

10/10/06

・以前も、中国での模倣品被害の問題について取り上げましたが、先日、「有田焼」が中国で商標登録され、中国では「有田焼」の称号を使用出来ない状態にあることを佐賀県が明らかにしました。福建省の住民が、2002年11月に家庭用食器やコップ、陶器などに有田焼の名称を使うことを出願していたことが明らかとなったからです。
・県などは、上海万博にあわせて現地の百貨店で物産展を開催しますが、苦肉の策として「日本有田産」「ARITA—CERAMICS(セラミックス)—JAPAN」と表すということです。
・当然ながら異議申立あるいは取消審判の請求を行うことになるでしょうが、いずれにせよ相手の商標登録が無効にならないと、安心して「有田焼」の名称を中国で使用出来ません。逆に、侵害訴訟や税関差し止めを受ける恐れや、高額で譲渡やライセンスを求められる可能性もあります。

・そもそも、知財関連法は基本的に「属地主義」であるため、中国で守るべき知財は中国に出願しておく必要があります。ただ、知財の出願と登録維持にはコストがそれなりにかかるため、特に中小ベンチャー企業は闇雲に出願が出来るはずもありません。
・盲点なのは、中国では日本と異なり、商標の先使用権は認められていないことです。つまり、「有田焼」が既に世の中に出回っている状態(先使用状態)であったとしても、中国では後から商標を出願し登録される可能性があるということです。
・また、外国ではよく知られた商標であっても、中国国内で「著名性」がなければ権利主張が出来ない、つまり、中国企業が日本企業の日本で著名な商標を中国で先に商標登録を受けて、日本企業が事業展開をしようとしてもできない事態が生じうるということです。これが「抜け駆け権利登録」の問題です。

・このような注意点は、JETROのホームページでも「中国知財リスク対策マニュアル」や「模倣対策マニュアル」が公開されていますが、残念ながら中小ベンチャー企業が中国での知財侵害を監視し続けることはたいへん難しいのです。
・国の委員会等でも、国として中小ベンチャー企業の諸外国(特に中国や東南アジア)での侵害対応を支援して欲しいという意見が多いのですが、現状では注意を促し、早めに手を打っておくことを促す程度なので、被害は後を絶ちません。

・九州にもアジア進出を目論む企業が増加中であり、このこと自体はグローバル化への対応という点で重要な戦略に位置づけられるでしょうが、知財の面で不安を抱えていては、安心して進出出来ません。この問題は、産学官で取り組むべき重要な課題であるといえるでしょう。

分野: 高田仁准教授 |スピーカー:

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