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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > グーグル、マイクロソフトとヤフー (財務戦略/村藤 功)

グーグル、マイクロソフトとヤフー (財務戦略/村藤 功)

10/10/01

ウィンドウズやオフィスでマイクロソフトは長らくIT業界の主導権を握ってきました。
しかし、グーグルも攻勢を強めており、ウェブ上で使える、
ワープロや表計算ソフトを無料で提供しています。
また、両社ともにネット検索の主導権争いで、ヤフーを取り合うという動きをとっています。
今回は、ヤフー、グーグル、マイクロソフトの三社に注目してお話しします。


■ヤフー買収
ネット広告で収益を上げているため、
グーグルは無料でサービスを提供することが可能となっています。
ネット広告は2010年で前年比12%増の約618億ドルの市場規模で、
2014年までは年率10%以上の成長が続くと予想されています。
グーグルがネット広告で稼ぎ、無料でサービスを提供するとなると、
マイクロソフトがOSやオフィスで築いたビジネスモデルが成り立たなくなってしまうため、
マイクロソフトは焦りをみせています。

ヤフーを取り込んでグーグルと対抗しようということで、
マイクロソフトは2008年1月に446億ドル(約4兆7000億円)でヤフーを買収しようとしました。
ところが、ヤフーCEOのジェリー・ヤンが買収額に難色を示し、買収は失敗しました。
マイクロソフトは他の株主よりもかなりの好条件でヤフーを買収しようとしていたため、
交渉決裂後にヤフーの株価は暴落してしまいました。

マイクロソフトはヤフーの買収を断念した後に、ヤフーとの提携を検討していましたが、
グーグルもヤフーに提携を持ちかけ、ヤフーとグーグルは提携することで一旦は合意しました。
しかし、両者の提携が独禁法違反に当たるというアメリカ司法省の介入により、
この提携も破談となってしまいました。

その結果、マイクロソフトとヤフーの提携が復活し、
マイクロソフトはヤフーの検索技術の独占的ライセンスを、
同社の検索プラットフォームに統合する権利を得ました。
また、ヤフーは両社の優良広告主に対して、
ワールドワイドで独占的に販売契約を結ぶこととなりました。


■日本ヤフーとグーグルの提携
ところが、アメリカと日本ではヤフーが置かれている状況は異なります。
日本ではヤフーが検索最大手ですが、
アメリカのヤフーが日本のヤフーをコントロールしているわけではありません。

日本ヤフーはアメリカのヤフーが30%の、ソフトバンクが40%の株式を保有しています。
アメリカではマイクロソフトとヤフーが提携したため、
日本ヤフーもマイクロソフトの技術を導入することになると考えられていました。
ところが、アメリカのマイクロソフトの技術は日本語対応が不十分であり、
日本の公正取引委員会も日本ヤフーに強制してまでマイクロソフトを使わせることはできず、
日本ヤフーはグーグルの技術を使うということになりました。
その結果、日本ではネット検索の9割をグーグルのシステムが処理することになってしまいました。

アメリカの独禁当局としては、アメリカでは違法とされたヤフーとグーグルの提携が、
日本で実現していることを問題視しているようですが、
マイクロソフトの技術が日本語検索や広告処理能力で不十分だったという側面もあるようです。
日本では、グーグルがヤフーに技術を提供した結果、
グーグルではなくヤフーが日本ではもともと高かったシェアを維持することになりました。

もし、グーグルが検索エンジンの提供を断っていた場合、
ヤフーは日本向けではないマイクロソフトの技術を使わざるを得ず、
サービスの質を落とすことで一時的にはグーグルのシェアが日本でも増えていたかもしれません。
しかし、グーグルとしては、マイクロソフトの技術が日本向けに改善されることで、
マイクロソフトの検索技術の性能が向上してしまうことを回避するために、
ヤフーに技術提供することで、グーグル自体のシェアをあげるよりも、
検索エンジンのシェアをあげるということを選択したようです。


■グーグルと中国
2010年1月にグーグルは、中国からのサイバー攻撃を受けたとして、
中国政府に検閲の撤廃を要求しました。アメリカ政府も介入してきたことで、
中国政府とグーグル、アメリカ政府で大きく揉めました。
中国では、中国共産党の独裁を脅かすような発言や行動をすると、
すぐに牢屋に入れられてしまいます。
その一環として、中国政府は事前検閲を行っていますが、
グーグルとしては検閲に反対の立場です。

2010年3月にグーグルは、検閲有りの中国版グーグルから、
検閲無しの香港版へ自動転送される仕組みを導入しました。
これに中国政府は反発しましたが、同年6月に、グーグルは自動転送を中止し、
中国政府もネット事業免許の更新を認めることで折り合いをつけました。

グーグルは現在も中国でサービスを提供していますが、
中国での検索の最大手は百度(バイドゥ)です。
現状としては、バイドゥの力が更に強くなってきています。


■グーグル帝国
検索の技術では、グーグルは他社を圧倒しています。
また、ネット広告市場でもグーグルがすでに大きなシェアを占めています。
一時はヤフーも、利用者の属性やネット利用履歴に対応して、
バナー広告を表示する進化型バナー広告という技術を作り出しましたが、
2009年時点でグーグルが世界のネット広告市場で6割以上のシェアを抑えています。
一方、マイクロソフトのネット広告事業は営業赤字で、
グーグルに対抗できる状況ではありません。

しかし、単価が低く、更に下がっていくだろうといわれているネット広告を考えると、
これから先ネット広告で利益を上げていくことが出来るかどうかは、まだはっきりしていません。
全体の2割近くがネット広告になるのではないかといわれている中で、
テレビを中心とした広告がどういうふうに変わっていくのか、
そして広告業界自体がどのように変わっていくのか、先行きは不透明な状況にあると思います。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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