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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 子会社の上場 (財務戦略/村藤 功)

子会社の上場 (財務戦略/村藤 功)

10/09/03

今日は、グループ戦略としてパナソニックや日立がとっている、
子会社を上場廃止する動きについてお話します。


■パナソニック
2008年に松下電器産業は世界のブランドを統一してわかりやすくするため、
海外で展開しているパナソニックに社名を変更しました。
パナソニックは子会社のうち、三洋電機とパナソニック電工の上場2社について、
2010年中にTOB(Take Over Bid)を行い、その後に株式交換して、
2011年4月から完全子会社化することを発表しています。

もともとパナソニックは、三洋電機とパナソニック電工の株式を50%以上保有していたため、
単に子会社化するのではなく「完全」子会社化、
つまり100%子会社にして上場を廃止するというところがポイントです。

完全子会社化の一番の理由は組織再編にあります。
もし、この2社が上場子会社のままで、パナソニック以外にも株主がいた場合に、
グループ内で組織変更を行うと他の株主に悪い影響が出る可能性もあります。
そうなると、株主から編成について反対意見が出たりして面倒なことになってしまいます。
100%子会社にすれば、こういった組織変更を勝手にやっても文句は出てきません。
また、子会社が独立して経営していると、
グループで事業が重複してしまい非効率なことになりかねません。

完全子会社化には事業を一つにまとめるという意味もあります。
例えば、かつて存在した九州松下電器は、他にも、松下電送システムや、
松下通信工業(現・パナソニック モバイルコミュニケーションズ)の、
PBX・ホームテレホン・ビジネスフォン事業、
松下電産の中のシステム営業本部の固定電話事業と競合していました。
そのため、2002年から2003年にかけて、これらの子会社や事業部門は、
完全子会社化や事業再編を通じて「パナソニック コミュニケーションズ」へ統合されました。
また、2010年1月には、パナソニック本体のシステム事業を統合して、
「パナソニック システムネットワークス」になっています。

それぞれの会社でバラバラに競争していると効率が悪いため、
一つにまとめることで、経営をやりやすくするというのが、
完全子会社化や事業再編の一番大きな目的です。


■インドでの事業展開
パナソニックのブランド統一や完全子会社化といった戦略は、
組織変更も一つの理由ですが狙いは他にもあります。

三洋電機の100%子会社化については、
同社の持つ成長分野のリチウム電池や太陽電池へ、
より注力したいというパナソニックの意図があります。
同じく完全子会社化したパナソニック電工はLED照明を取り扱っていますが、
普通の電球からLED照明に変わっていくという流れの中で、非常に勢いがあります。

また、中国だけではなくインドも猛烈な勢いで成長していますが、
現在インドでのパナソニック専売店舗は約100店舗しかありません。
しかし、インドでパナソニック電工は2007年に、
電設資材最大手のアンカー・エレクトリカルズを買収しています。
この会社は、商品の展示スペースを持つ主要店舗だけで約12000店、
小さい店舗を含めると約30万店の小売網を抱えています。

この店舗網を通じて、パナソニックグループの総力を上げて、
例えば、三洋の炊飯器やアイロン、パナソニックの液晶テレビといった商品を、
インドに流通させていくという戦略をパナソニックは立てています。
グループ全体としては、勝手にやるよりも一緒にやった方が全体としての動きはよくなります。
まさに、個別最適よりも全体最適ということです。

パナソニックグループは、2012年度に2009年度比35%増の売上げ10兆円を目指しています。
目標を達成するためには、グループ内の企業それぞれが勝手にやっていたのでは間に合いません。
また、日本の国内市場も成熟しており、家電も価格が下落し、競争が厳しくなってきています。
新興国の市場はこれから成長が大きく見込めますが、
ここで欧米の大手企業や、韓国のサムスンと戦って勝つためには、
一体どうしたらいいのかということを考えると、
やはりグループ内で勝手にやっていたのでは対抗できない状況にあるといえます。


■子会社への影響
とはいうものの、完全子会社化、つまり上場廃止によって起こる問題もあります。

上場に誇りを感じる経営者、従業員、取引先も多くいるため、
これまで独立した上場企業から100%子会社になったことで、
こういった人たちのモチベーションが低くなってしまう可能性があります。

また、上場会社であれば、自社で株を発行して自分で資金調達できますが、
100%子会社の場合は親会社が調達しなければなりません。

そういう意味では、パナソニックは、かつて大きな子会社を上場させていましたが、
今やグループとして戦うために、敢えて上場子会社を、
100%子会社化するという方法をとっているのではないかと思います。


■日立
パナソニックの他に、日立にも子会社を上場廃止しようとする動きがあります。
日立は子会社に16社の上場企業を抱えており、
それらを含めて製造業最多の943社の連結子会社があり、非常に大きなグループとなっています。

しかし、日立は金融危機の影響を受け、
2009年3月期で日本企業として過去最大の7873億円の連結赤字を計上しました。
悪化した業績を立て直すために、情報通信や社会インフラに関連した子会社である、
日立プラントテクノロジーや日立マクセル、日立情報システムズ、
日立ソフトウェアエンジニアリング、日立システムアンドサービスを、
100%子会社にして組織を再編している状況です。

やはり、世界規模でやっていくためには、子会社のモチベーションを多少犠牲にしても、
グループ全体で勝負しなければならなくなったのではないかと思います。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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