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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > <アル・ゴアとマクルーハンのメディア論>(1)(マーケティング/出頭則行)

<アル・ゴアとマクルーハンのメディア論>(1)(マーケティング/出頭則行)

10/09/02

今日は、アル・ゴアとマクルーハンのメディア論についての話です。
マクルーハンは、1970年代に大ブームでした。
広告業界あるいはメディアの業界の人間は、何らかの形で
マクルーハンの言説に触れていたという時代でした。
マーシャル・マクルーハンは60年代後半と70年代前半に活躍した文明批評で、
カナダの英文学者ですが、盛んにメディアについて論じました。
英文学も7~8世紀の古英語の文学をやっていた不思議な人です。
なぜ今日マクルーハンを話題にするかというと、
アル・ゴアと関連があります。

彼は2007年に「不都合な真実」という著作とグローバル・ウォーミングに
関連してノーベル賞をとっていますが、ノーベル賞を受賞した年に
「理性への襲撃」(The Assault on Reason)という、「理性への攻撃」
という表題で本を書いていて、その中でマクルーハンに言及しています。

アル・ゴアはその本の中で、今はデモクラシーの大変な危機だと述べています。
ポピュリズム(Populism)と英語で言われているものですが、
大衆迎合主義になっていて、その背後には金権主義があり、
デモクラシーが危機に晒されている、それをもたらしているのはテレビだと主張しました。

18世紀建国時代のアメリカのファーザーズといわれる人たちは、
新聞で見解を発表し、それを読んだ人間がその見解に対して意見を言う、
つまり新聞が意見交換の場になっていました。
この新聞というのは、今の新聞とは少し違っていたかもしれません。
日本の場合全国紙は800万部・1000万部という大部数ですが、
アメリカやヨーロッパの高級紙クオリティペーパーは、
それほど部数はありません。
アメリカの建国時代、このような高級新聞が舞台となって、
意見の交換がなされ、世論が形成されていった、とアル・ゴアは主張します。
現代ではメディアの主権が、新聞からテレビに移ってしまいました。
新聞の時代には、読み手が書き手でもあり、書き手が読み手でもあって、
理性を働かせて色んな意見を述べ合い理性を競いましたが、
テレビでは情報を一方的に視聴者が受け取ってしまいます。
そこは理性を働かせる余地はあまりない、一方通行だということで、
アル・ゴアは、マクルーハンを引用しています。
マクルーハンは、新聞はホットなメディアだが、テレビはクールなメディアだと
言っていました。その意味合いが初めて分かったとアル・ゴアは言います。

その意味するところは、新聞は頭の筋肉を動かすホットなメディアであるが、
テレビは送り手の情報を一方的に受容してしまうクールなメディアだ、ということです。
TVが世論形成の主体になってしまい、テレビを支配すると
世論を支配できてしまうのだとアル・ゴアは言っています。
特にアメリカでは上院議員や政治家になるためには、テレビのスポットを買い、
自分の言いたいことを言葉たくみに宣伝し、イメージ操作を行い、
時には競争相手にひどいネガティブキャンペーンもやったりします。
そういう形でテレビが使われ、そのテレビを支配できる人間が政治を支配し、
なおかつ世論も形成している。民主主義の危機の時代である、
とアル・ゴアは強調します。

テレビに関していいますと、情報は映像と共に我々の中に飛び込んでくるので、
本当に頭脳を働かせなくて強い影響を受けることはありそうです。
アメリカを中心に新聞会社が大変な経営危機にあります。
そういう中で民主主義を護ることができるのかということです。

更にアル・ゴアはデジタル技術が新しいインターネット
というメディアを産んだ、と言います。
インターネットメディアは初期の新聞と同じように、
情報の受け手が送り手にもなり、送り手が受け手にもなるという意味では、
議論の交換が出来る、知性の交換もできるので、インターネットは
初期の新聞と同様にホットなメディアになり得るのではないか、
とアル・ゴアは示唆します。

インターネットはホットなメディアになり得るのか?
今の段階では、インターネットでメッセージを発している人はごく一部ですし、
そして、それを使いこなす能力、メディアリテラシーがないと、
民主主義を形成するのにはうまく使えないではないかという危惧もあります。
まだ結論が出てない話です。インターネットメディアの性格は一体どうなのでしょうか?
インターネットは、アル・ゴアがいうように本当にホットなメディア、
つまり自分の頭脳を関与させることができるようなメディアになるでしょうか?
というような問題提起のつもりで今日お話しさせていただきました。

分野: 出頭則行教授 |スピーカー:

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