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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 新興国・途上国インフラ市場の需要急拡大と日本企業の市場獲得戦略 (国際経営/永池克明)

新興国・途上国インフラ市場の需要急拡大と日本企業の市場獲得戦略 (国際経営/永池克明)

10/09/01

新興国・途上国インフラ市場の需要急拡大と日本企業の市場獲得戦略

あらゆる企業が進出する中で、インフラ市場は未開拓です。
新興国では高い経済成長に伴って、道路・港湾・空港、
電力などの社会インフラが決定的に不足しています。
日本企業自身も新興国に進出した企業が電力不足で
まともにものづくりができないなど、深刻な悩みを持っています。
したがって、完成品のテレビや自動車とは別に今後の有望な市場として
新興国のインフラ市場が爆発的に拡大しようとしています。
中国で日本の新幹線の技術が導入されましたが、
今後交通関連だけでなく、あらゆる社会インフラ関連設備の充足を
求める国はこれからますます増えてくるでしょう。

今アジアでは中間所得層が、1990年から2008年の間に6.2倍に増えています。
そういう人たちが家電品や自動車などの耐久消費財を購入し始めていますが、
こういうものを支えるには、電力等のエネルギー・交通網・通信システムなどが
必要なので、そのような需要が爆発的に拡大しているのです。
けれども、新興国や途上国では道路・港湾・鉄道・空港・発電所・送配電
上下水道あるいは情報通信システム・都市開発・工業団地などの
ハードインフラが決定的に不足しています。
アジア開発銀行の試算では、2010年から2020年のアジアのインフラ需要は、
800兆円に達し、膨大な市場として開けつつあります。
日本政府も中国・インドあるいは東南アジアの国々とたくさん契約しています。
しかもハードのインフラは、適切な運用ノウハウや制度がなければ、
効果的かつ効率的な使用が困難です。
新興国や途上国の多くでは、そのようなソフト、すなわち交通法規・安全基準・企画、
または空港の管理方法、配電、発電所の運転、上下水道、
情報通信システムの運営方法などが不足しているのです。

こうしたインフラのソフト面は世界的には国際協力機関あるいは国際機関が
その大半を担ってきましたが、日本の場合、大部分は国内で、
運営主体は自治体が、発電所だったら電力会社などが中心になって
管理・運営をしてきました。つまり、インフラのハードはメーカーが作りますが、
運営は公的な部門が担当していました。
90年代以降から先進国では民営化しようと、パブリック・プライベート・パートナーシップ
(PPP)という考え方が拡大していますが、そういう公的資金が
新興国・途上国では不足していますから、そのようなニーズに対しても
民間資金が活用できれば、円滑に進むということで歓迎されています。

日本の特徴は、ハード単体については強いのですが、ソフトが弱いのです。
単品売りには強いけれども、システムインテグレーションというか、
全体を統合した運営管理、例えば発電所を運営するとか、
上下水道を運転して維持管理をするという総合的な商売に弱い面があります。
具体的な例としては、昨年末アラブ首長国連邦で原子力発電プラントプロジェクトの
入札がありましたが、韓国連合が日米連合とフランス連合を破って、
見事に初受注をしました。日本勢の最大の敗因は以下の通りです。
韓国勢は原子力発電所を長期間にわたって
安全・確実に運転することをオファーの中核にすえ、
アラブ首長国連邦側はこれを極めて高く評価したわけです。
これに対して、日本勢は民間のメーカーが主体でした。安全な発電プラントは
絶対保証するということをオファーの中核にすえたわけですが、
原子力発電というのは数十年間運転をしなければなりません。
しかもアラブ首長国連邦には熟達した人材がいないので、
数十年間それを保証しなくてはいけないというわけですが、
民間企業では、その国で政変が起こったり革命が起こったり
クーデターが起こったり、あるいは天変地異が起こったり、
地震が起こってぶっ壊れたとか、そこまでは民間企業では保証できません。
韓国やフランスもそうですが、そういうことが起こっても
政府が数十年間保証することになっていて、それが決め手になりました。

電力会社や国が保証することがキーになってくるわけです。
単品売りには強いけれども、運営・維持管理まで含めた総合的な商売に
日本は弱いので、これを変えていかなくてはなりません。
この分野は企業努力だけでは市場獲得が困難なので、
欧米各国或いは韓国がやっているように、政府機関など公的部門が参画し、
純粋なビジネスベースではなく、政治的・外交的な力学で
入札が決まることも多いわけですから、官民連携を強化して、
国をあげて企業支援を行う体制を構築していく必要があります。

今年の6月18日に閣議決定された政府の新成長戦略でも、
重点的な7つの戦略分野の1つに、パッケージ型インフラの海外展開を挙げています。
また経済産業省の産業構造審議会でも、インフラ輸出に関連する11の重点分野を決め、
官民が一体となり公的資金も付けるということで、日本もそういう方向に
動き出したので、これからかなり明るい見方ができると思います。

分野: 永池克明教授 |スピーカー:

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