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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 水ビジネスの多国籍化 2(国際経営・国際ロジスティクス/星野 裕志)

水ビジネスの多国籍化 2(国際経営・国際ロジスティクス/星野 裕志)

10/09/28

昨日は、今後予想される世界的な規模の水不足と水道施設などの
インフラストラクチャーの整備や更新に関わる巨額の投資にどのように対応するのか
ということから、民間企業の起用という選択肢が考えられるとお話しました。
その対象が、最近急速にクローズアップされてきた水ビジネスの
多国籍企業の存在であり、石油メジャーならぬ「水メジャー」といった世界的な企業です。


■世界の水メジャー

フランスのヴェオリア・ウォーター、同じくフランスのスエズ・エンバイロメント、
英国に起源をもつテムズ・ウォーターや米国のゼネラル・エレクトリックなどが
メジャーと呼ばれていたようです。
テムズ・ウォーターがドイツやオーストラリアの企業に買収された結果、
現在はヴェオリア・ウォーターとスエズ・エンバイロメントが、
業界の二大企業として、世界の水ビジネスに参入しています。

昨日もお話ししたとおり、従来は公共サービスとして
提供されていた水道事業も、現在アフリカでは9割、ヨーロッパでは約8割、
アジアでは5割が民間企業によって提供されているといわれています。
開発途上国であれば、インフラの整備に投資する資金の欠如から、
水道料金による回収を期待して施設の整備を民間企業に委ねることになります。
先進国でも施設の更新時期に当たって、より効率的な運営方法を模索した結果、
民営化がクローズアップされてきたという経緯があります。


■水ビジネスの二大企業

1853年にフランス初の民営水道事業会社として設立されたヴェオリア・ウォーターは、
フランス国内のリヨン、パリの水道事業を受託した後に、1880年には早くも
イタリアのベネチア、その後トルコのイスタンブール、ポルトガルなどの
水道事業に参入しており、現在では世界の64カ国でビジネスを展開しています。
また、一方の雄であるスエズ・エンバイロメントは、1880年にフランスで設立されて、
アフリカ、中東、アメリカ、オセアニアなどで水道事業を推進しています。
海水淡水化も同社の強みとすることころです。

まさに両社は多国籍企業といえますが、国境を越えての事業を拡大している理由は、
独自の事業戦略と自治体からのパートナーシップによる事業の受託にあります。
例えば公設民営の方式であれば、自治体が水道のインフラストラクチャーの
建設と整備を行い、民間企業がリース契約により設備の運営と維持管理を行うものです。
あるいはコンセッション契約では、20年から50年の長期間にわたって民間企業が、
インフラストラクチャーの運営、維持管理、施設の更新などのすべてを包括的に受託し、
ユーザーから収受する水道料金から投資額を回収する方法がとられます。


■自治体からのパートナーシップ

日本の水道法という法律では、原則として市町村が経営するというものが
水道事業というように規定されています。それをあえて、民営企業が受託するには
やはり色々な問題点もありますし、まだまだ日本では数が少ないのですが、
海外では数が逆転していて、民間企業が水道事業を請け負うことが
当たり前というところが出てきています。
確かに、施設からつくるとなると、巨額な投資が必要になり、
資金調達力を持っている会社が必要なわけで、それがヴェオリア・ウォーターや
スエズ・エンバイロメントという多国籍企業につながっていくのだと思います。

新たな水源の確保や施設の更新に対する投資を自治体や公共事業体が
行うことが困難になってくると、ノウハウの蓄積のある民間企業が
受託をすることで、より効率的な運営が期待されることになります。
実際に地域独占の公共事業には、競争原理が働かないことから、
どうしても非効率的な運営になりがちです。

一方で、水道事業のような地域にとって最重要のインフラストラクチャーを
民間企業に委ねることには、反対がないわけではありません。
民間企業であれば、やはり収益性が最優先され、成長性が
期待できない事業が後回しにされる可能性もあり得ますし、
将来的な料金値上げに繋がることも考えられます。

これから天然資源の囲い込みが進められている中で、
地球上の水資源もその対象になりつつあります。
石油や最近では鉄鉱石などのメジャーが価格決定権を持ち始めており、
今後は多国籍企業としての水メジャーの動きも気になります。

分野: 星野裕志教授 |スピーカー:

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