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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 成長市場へのアプローチ④(国際経営・国際ロジスティクス/星野 裕志)

成長市場へのアプローチ④(国際経営・国際ロジスティクス/星野 裕志)

10/08/17

昨日は世界の人口の3/4に当たる40億人という人口は、
年収が3,000ドル以下の低所得層ということになりますが、
これらの開発途上国に対して様々な企業は事業としての
アプローチの方法があることをお話しました。
開発途上国への援助、ソーシャル・ビジネスの形態、
BOPを対象とした収益事業に分けて考えてみました。
これらの枠組みに沿って、日本企業などの取り組みを見ていきたいと思います。


■開発途上国への援助

国連や開発途上国援助を目的とする国際機関・政府機関・NGOなどは、
多国籍企業と協働しながら、様々な生活環境の改善や
社会問題の解決に向けて、事業を行っていますが、
これらは企業自体の収益事業を目的とするのではなく、
やはり援助の枠組みの中で行われています。

日本企業の関わったこのタイプのビジネスは、住友化学の
主にアフリカ向けのマラリア予防の蚊帳が最も知られています。
オリセットネットといわれる蚊帳は、住友化学が独自に開発した蚊帳の糸に
織り込んだ防虫剤が、マラリアを媒介する蚊を寄せ付けるのを防ぐ効果がある
優れた商品で、5年間の持続性と耐久性があるそうです。
この商品は住友化学自体が販売するのではなく、
国際機関や開発途上国の援助機関に購入されて、
赤十字や色々なNGOを通じて、アフリカなどで配布されているようです。
もともと工場用に開発された製品が、このような形で使用されて、
同社の信頼性を高めているといえます。


■BOPを対象とした収益事業

次は、開発途上国の潜在的な可能性に目をつけて、
まだまだ顧客となりうる層は限定的で市場は小さいものの、
市場開拓のために展開するBOPのビジネスの形態です。
このモデルで古くから成功している日本企業はヤクルトであり、
日本と同様に女性を販売員にしたヤクルト・レディという販売方法で、
南米やアジアの市場への浸透に成功しているようです。

最近の成功例であれば、不織布や吸収体の成型加工で
紙おむつや生理用品を生産するユニチャームがあります。
地道な努力で、価格競争力のある優れた製品を投入し、
現地の販売チャンネルに浸透しながら、確実に市場を拡大しています。
現地の生活水準の向上と共に、最初は小分けして販売していた
紙おむつの使用量や購入枚数が増加して、段々と市場の拡大につながるようです。
現在は既に海外の売り上げが、4割を超えたそうですが、今後ますます
アジア・中東・アフリカ各国やBOPを対象とした市場拡大が図られるようです。


■ソーシャル・ビジネス

最後のモデルが、昨日もご紹介したソーシャル・ビジネスとしてのアプローチです。
バングラディシュでは、ユナスさんのグラーミンと協働で、
多国籍企業のダノンが栄養価の高いヨーグルトを販売したり、
アディダスが現地の人たちの手の届く価格の靴の開発などを行っています。
今回いよいよ日本企業として、ユニクロのファーストリテイリングも
グラーミンのプロジェクトに参加することになったわけですが、
これらの企業は事業が順調に進むことによって、投資した金額までは
回収することができても、それ以上の利益を得ることができません。
ということは、やはりビジネスというよりは慈善事業の色彩が濃いということになります。
開発途上国に対しては、お金の援助やインフラを整備する
という事例は以前からもありましたが、一企業が入って
事業として貢献するということは、本当に新しい動きだと思います。

大企業が持てる力を使って、開発途上国などの生活の改善や
さまざまな社会的な問題に取り組むのは、企業の社会的な責任を
意識したことかと思います。
ただし民間企業が収益を目的としないソーシャル・ビジネスから
得られるものはどのようなことでしょうか。

まず世界の最貧国の一つにも区分されていた
バングラディシュを舞台に、生産や販売活動を行うことによって、
開発途上国でのビジネスに関する様々な経験や知見を
得ることがあげられます。
また今後バングラディシュの生活水準の向上によって、
より価格の高いユニクロ製品を購入する層が拡大することも期待されます。
さらに、世界のテキスタイル・メーカーが着目する
バングラディシュでの生産は、今後製造・輸出拠点として
成長することも考えられます。
そして、もちろん企業の姿勢として、
消費者に信頼性を与えることにもなるかと思います。

そのように考えていくと、ソーシャル・ビジネスも
BOPへのアプローチの一つとして位置づけることも可能かもしれません。
いずれにせよ日本企業の中にも、
このような動きができてきたことは大変うれしいことですし、
今後「アジアにおけるソーシャル・ビジネスのハブ(拠点)」に
名乗りを上げた福岡からも、新たなプロジェクトを立ち上げられればと思います。

分野: 星野裕志教授 |スピーカー:

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