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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > スポーツマーケティングとスポンサーシップその2(マーケティング/出頭 則行)

スポーツマーケティングとスポンサーシップその2(マーケティング/出頭 則行)

10/08/10

■スポーツマーケティング興隆の背景

スポーツマーケティングは、相当早い段階で始まっています。
オリンピックの最初の年1896年に、プログラムのスポンサーに、
既にイーストマン・コダック(Eastman Kodak Company)がなっています。
また、1928年のオリンピックからコカ・コーラは、既にスポンサーに名乗りを上げています。

ワールドカップはもともとスポーツマーケティングそのものみたいなところがありましたが、
オリンピックも、相当初期の段階からスポーツマーケティングを取り入れていました。
しかし、スポーツマーケティングが非常に隆盛を極めているのは、最近のことです。
そこには、最近あまりマス広告が効かなくなったという背景があります。
その中で、スポーツは、一種のライブコンテンツであり、社会的な出来事です。
それを後援することは、社会的なイベントを後援しているというイメージにつながります。


■スポンサーシップの効果

スポーツマーケティングがどのような効果があるのか
を研究している人もいます。定説はありません。
しかし、接触の数が多いことが、好意の蓄積に繋がると考えられています。
スポーツイベントは、オリンピックでもワールドカップでも、その期間中は、
このニュース一色になってくるので、接触回数は多くなるのです。
「単なる接触」、英語では、Mere Exposure、という言葉があるのですが、
この単なる接触が四六時中行われていると、それを後援している企業の
好意につながるのではないかという人もいます。
もう1つ、均衡理論というのがあり、認知的均衡理論という難しい言葉を使いますが、
あるイベントやスポーツに、プラスの感情を抱いていると、
人間はそのスポンサーにもそのプラスの感情を移転させるもので、
そういう形で均衡をとるのだという理論です。


■アンブッシュ・マーケティング

スポーツマーケティングでは、アンブッシュ・マーケティングということがよくいわれます。
アンブッシュというのは、待ち伏せという意味です。
ブッシュの中で虎視眈々と見ていて、急に後から背後から襲いかかるという意味です。
現在は、スポンサーとしての効力を弱めてしまうようなマーケティングのことをいいます。
前回お話しましたが、この権利を取るために、相当な費用がかかります。
しかし、皆が皆、台所が豊かな企業ばかりではなく、
むしろそのスポンサーとしての効力を弱めてしまうというようなマーケティングが、
大きなイベントがあると必ず行われています。
日本の企業で関連して、例をご紹介します。。

1984年のロサンゼルスオリンピック、つまりオリンピックの商業化の最初の年に、
フィルム部門で富士フィルムが公式スポンサーになりました。
その時、富士フィルムの最大の競合であるアメリカのイーストマン・コダックが、
テレビにおけるオリンピック関連の番組の買占めを行いました。
公式スポンサーは、例えば、会場、マーケティング、
色々なオリンピックのマークを使える等々の権利がありますが、
コダックがオリンピックの放送番組周辺の買占めを行ったことで、
コダックが大きな成果を得てしまいました。
会場に行ける人よりもテレビで見る人の方が多かったので
効果はありましたが、コダックが投じた費用も巨大だったでしょう。
これは、アンブッシュ・マーケティングで有名な例です。

富士フィルムは、次のオリンピックである1988年の
ソウルオリンピックで、それに対抗します。
そのオリンピックでは、イーストマン・コダックが公式スポンサーになりました。
そこで、富士フィルムは、最強といわれたアメリカの
水泳チームのスポンサーになって、対抗しました。
水泳チームが活躍すると富士フィルムの名前が浮かび上がる
というような構図になっていました。
このように、ロサンゼルスの次のソウル大会では、フジフィルムが
イーストマン・コダックにアンブッシュ・マーケティングで一矢報いたというわけです。

もう1つ有名なアンブッシュ・マーケティングの例があります。
1984年、オリンピックには公式シューズというカテゴリーがあり、
スポンサーはコンバースでした。コンバースが公式シューズなのですが、
競合のナイキがロサンゼルスオリンピック期間中、
会場周辺に巨大な壁画を掲出しました。
そして、後ほどの調査によると、調査対象の42%が
公式スポンサーはナイキだと答えていて、
コンバースだと答えた人は15%しかいませんでした。
これは、アンブッシュ・マーケティングが大成功を収めてしまった例です。

教訓は、ワールドカップやオリンピックで、最高の権利をとるのは、
巨大な費用がかかるが、さらに、それに数倍するマーケティング費を
用意して、権利を活用しないとアンブッシュにやられてしまうということです。
公式スポンサーになったから、安心ではなく、その権利を有効に使わないと、
アンブッシュ・マーケティングにやられてしまうのです。
アンブッシュ・マーケティング自体が、倫理的かという問題はあります。
待ち伏せるという言葉も、ネガティブなイメージがあります。
ただ、マーケティングは、ある意味でお互いの競争でもあるので、
アンブッシュ・マーケティングも正当なマーケティングの1手法である
という見方が、この頃増えているだろうと思います。

分野: 出頭則行教授 |スピーカー:

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