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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > アジアのビジネス・スクールが集う(2)(産学連携/高田仁)

アジアのビジネス・スクールが集う(2)(産学連携/高田仁)

10/08/02

前回に引き続き、シンガポールで開催されたAACSBのカンファレンスの様子を報告したいと思います。

・アジアのビジネス教育のトレンドに関するパネル・ディスカッションでは、 
 欧米のビジネス・スクールが既に成熟期に入っているのに対して、
 アジアはまだスタートして日が浅く、ようやく軌道に乗り始めているところですが、
 地域や産業界の認識がまだ不十分であり、質の面でバラツキが大きく
 システム化も遅れているとの自己認識がなされていました。
・そのような状況で、欧米のビジネス・スクールが多くアジアに進出し、更に、
 ビジネス教育を施す営利団体の市場参入も多く見られています。
 また、大手企業は自前の社内教育(コーポレート・ユニバーシティ)によって
 独自に人材育成を図ろうとする傾向もあるため、ビジネス・スクールは質の保証や
 提供する価値の向上を継続して目指す必要があるとの意見が多く見られました。
・更に、これまでアジアのビジネス・スクールは教育の比重が高く、
 そこでは欧米の教材が用いられることが多かったのですが、
 例えば、ハーバードのケースが地域の事情に合致せず役に立たないため、
 学生から不満が出るといった問題もしばしば生じるようになっています。
 従って、今後は、アジア独自の経営理論に関する研究や、独自のケース教材の開発が
 必要である旨の意見が多く述べられていました。(例えば、北京の精華大学は、
 HBSをリタイアした教授をケース開発センターのco-directorとして招聘し、
 独自のケース教材の開発を進めている。)
・米国のマスコミの記事には、アジアのビジネス・スクールの台頭は
 欧米にとって脅威か?チャンスか?といった記事も見られますが、
 論調としては、脅威というよりはチャンスだと捉えられています。
 その理由ですが、欧米のビジネス・スクールに留学してPh.Dを取得した若手研究者が
 母国のビジネス・スクールに着任し、米国と同様の教育プログラムを展開させる過程で、
 プログラムの移植を加速させるために積極的な提携を求めている、ということが背景にあります。
 これによって、欧米のビジネス・スクールはアジア進出を果たし、
 優秀な学生の取り込みなど恩恵を受けています。
・また、欧米のビジネス・スクールでは、教育プログラムの中にアジア提携校で
 一定期間を過ごし、現地でビジネス教育を受けることを義務づけている大学も増加しています。

・このようなアジアのビジネス・スクール事情を目の当たりにするにつれ、
 日本の存在感が低いことが多いに気になります。スピーチやパネル・ディスカッションの中では、
 かつて高度成長を支えた日本のビジネス・マネジメント手法を賞賛する意見も
 時折聞くことはありましたが、残念ながら日本のビジネス・スクールは
 世界から孤立しているように見えます。
・例えば、ビジネス・スクールでMBAを取得すると、日本以外の国では給与がアップし、
 有利な転職もあたりまえですが、日本はそうではありません。
 また、台湾や韓国のビジネス・スクールが積極的にAACSBの認証評価を受けているのに対して、
 日本はごく限られた大学しか認証を得られていません。
・また、アジアのビジネス・スクールが欧米のビジネス・スクールと提携し、
 教育を通じてビジネス・マネジメント手法を欧米流の標準的方法に合わせようとする一方で、
 日本だけは相変わらず特殊なビジネス慣習に引きずられているため、
 日本企業が海外進出したり、逆に外資が日本に進出する際に障壁となったりする
 ケースは多くあります。
・必ずしも欧米(特に米国流)のビジネス教育やビジネス・マネジメント手法が
 正しいとは言えませんが、とはいえ今回の会議での日本の存在感の低さが
 近年の日本の国際競争力の急落と重なって見え、このままで良いのだろうか
 という気にさせられた会議でした。

分野: 高田仁准教授 |スピーカー:

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