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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 参議院選挙 (財務戦略/村藤 功)

参議院選挙 (財務戦略/村藤 功)

10/07/30

■参議院選挙後の勢力図
参議院の議席は全部で242議席あります。
その過半数にあたる122議席以上あれば、どのような法案でも通すことができます。
しかし、2010年7月の参議院選挙で民主党が獲得した議席は44議席です。
連立を組んでいる国民新党は0です。非改選の66議席とあわせても110議席にとどまり、
与党は過半数に12議席足りません。

6月初旬に菅内閣が発足した後の支持率は、
鳩山政権末期の22%から68%へとV字回復しました。
高い支持率を追い風に参議院選挙を早くやろうとしたわけですが、
菅首相の消費税発言の影響で選挙直前の7月にはこの支持率も45%にまで落ち込みました。

一方、菅内閣が発足した際にみんなの党は支持率を下げましたが、
菅首相の失言で盛り返し、0議席から11議席と躍進しました。
また自民党も今回の選挙で改選前の38議席に上積みして51議席を確保し、
非改選を含めると84議席になりました。
とはいうものの、自民党が選ばれたというよりも、
民主党が駄目だということで自民党に票が集まったとみるべきです。


■民主党大敗の原因
民主党大敗の要因は、これまでの、
民主党政権10ヶ月の運営に対する審判だとみる声もありますが、
やはり消費税がその一番の要因だと思います。
お金を取られるというのは誰しもが嫌がるものです。

私が以前から申し上げているように、
財政再建には経済成長と消費税増税の二つしか選択肢がないというのは間違いです。
これら以外にも、政府資産売却や公営事業の民営化といった方法もあります。
今回の選挙では、突然消費税の話が出てきました。
菅首相は、消費税について低所得者の負担軽減のための還付や、
生活必需品の減税等を主張しましたが、
還付の対象となる低所得者の定義も話の度に内容が二転三転し、
結果として何を言っているのか、よく分からないという状況になってしまいました。

民主党も政権運営にまだ慣れていないのでしょうが、
責任を持って政権運営にあたらなければならない与党と、
それに対して批判を加える野党とでは立場が異なります。
もし、菅首相も支持率がV字回復した68%から45%へ、
20%以上ダウンすると分かっていれば消費税について口にしたはずがありません。


■ねじれ国会
そもそも、衆議院で3分の2の議席を持っていれば、
衆議院で可決した法案が参議院で否決されても、
再度衆議院で3分の2以上の賛成で再可決すれば法律を成立させることができます。
しかし、現在、民主党・国民新党の与党は衆議院で3分の2の議席を有していませんし、
参議院でも過半数の議席を持っていません。
自民党政権の頃に問題になっていた衆議院と参議院のねじれ状態が、
民主党政権下でも生まれてしまったことになります。

こうなると、法律を作ろうと思えば、どこかの党と連立する必要が出てきます。
みんなの党は、参議院で11議席を持っています。
民主党は選挙の前からみんなの党との連立を模索していましたが、
みんなの党の方にはっきりと断られています。
また、公明党も参議院に12以上の議席を持っているため、
連立を組む相手としては理想的ですが、公明党も連立については嫌だと言っています。

そのため、個別の議案ごとに、みんなの党や公明党ときちんと審議しない限り、
法律が1つも通らないという状況になっています。
衆議院で再可決するために必要な議席である3分の2も目途は全然たっていないため、
衆議院で通過した法案が参議院で否決されてしまうと、法案成立は難しくなってしまいます。
これを防ぐには、参議院で否決されないように、
政策ごとの部分連合を組んでいくつか法案を通過させるという方法をとるしかありません。


■連立の可能性
私は郵政改革法案には反対の立場ですが、
みんなの党も郵政改革法案には断固反対しています。
しかし政策全体を考えると、民主党はやはり、
みんなの党か公明党のどちらかと連立を組むしかありません。
選挙中にはみんなの党も公明党も、政権批判、民主党批判を繰り返していました。
そのため、連立話は簡単には進まないかもしれませんが、
みんなの党にしても公明党にしても、野党よりは与党の方が出来ることも増えてきます。
それを念頭に置いてか、みんなの党の渡辺代表は「キャスティング・ボートを握りたい」、
といった意味深な発言をしています。

みんなの党が民主党と全面的な連立政権を組むことには簡単にはならないと思いますが、
個別の問題について「みんなの党のアジェンダにOKするのであれば」、
という条件付きで協力する可能性は十分あると思います。

また、自民党は今回の参議院選挙で大勝しましたが、
今更自民党と民主党の大連立はあり得ないと思います。
民主党が自民党と連立を組むというのは、国民に対する裏切りだと思います。
現状では、消費税について、
民主党は他の道を検討しないで、自民党の言うことに便乗しています。
自民党が主張した消費税10%に何の説明も無しに菅総理も乗っかってしまったのです。
その結果、各党から批判が相次ぎ、共産党には、
法人税の減税分を消費税の増税で穴埋めするのかと言われてしまいました。
選挙で税金について発言することについて、
十分に気を付けなければならないということは昔から分かっていることです。
参議院選というタイミングで菅首相が、
消費税増税について口にしたことは、明らかな戦略ミスです。

いずれにせよ、1つも法律が通らないというのは、
国民からすると本当に無駄で腹立たしいことです。
それなりに法律を通せるように、与党と野党の間で個別に合意しながら、
国会運営をしてもらうより仕方ないと思います。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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