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社会人は経済経営をどう勉強すればいいか(2)(経営学/久原正治)

10/07/13

アメリカと日本の経営を比較する視点を身につける


昨日は、歴史的な枠組みや見方が必要だと申しましたが、
次に重要なことは、アメリカをきちっと理解した上で、
アメリカでとられている経済或いは経営の仕組みは、
アメリカに特殊的なものであり、それをそのまま日本に持ち込むわけには
いかないということを、社会人の皆さんに理解していただきたいのです。

■アメリカの民主主義
まずアメリカの経済或いは歴史を振り返ると、ヨーロッパの圧政を逃れて、
政府の関与を嫌う人達がアメリカに移って来て、色々な新しい原理を
自ら作り上げていったといえるでしょう。
1835年、フランスの哲学者トクヴィルという人が、
(Alexis-Charles-Henri Clérel de Tocqueville)
アメリカを長い間旅して、アメリカの民主主義を観察して、
どうもこれはヨーロッパでいう民主主義とは違うことに気がつきました、
例えば、ヨーロッパでは個人の自由と経済的な平等を考えた場合、
経済的な平等をより大事にする伝統がありましたが、
アメリカでは個人の自由の方が大事なのです。
つまり経済的な平等は機会の平等であって、結果の平等ではないということです。
アメリカでは、神様の前に自分たちが一所懸命働いた結果を見せることが大事で、
ビジネスを通じて蓄財をし、神様に成功して儲かりましたと見せる、
そういう人が皆から敬われると言うわけです。
その余ったお金を皆に寄付すればいいということで、
国がお金を貧しい人にばらまくなどというのはとんでもないことなのです。
個人が皆一生懸命やって、それで皆で助け合うのだということです。
結果として、たくさんお金を儲けた人は社会的な奉仕活動などを
すればいいのであって、自立した個人は政府から支配を受けないとか、
自由に蓄財ができる、自由に自分の土地を守れる、そういうことが
アメリカでは大事だということで、トクヴィルが驚いたわけです。

■サムライ資本主義とカウボーイ資本主義
日本には、どうしても国が国民を守るという傾向がありますが、
アメリカの自由な経済といった場合に、日本人は若干勘違いしている面があります。、
アメリカ人は、自由の裏に自分で責任を持って色んなことをやるということがあり、
神様が最後の枠をはめている部分があるので、滅茶苦茶自由に
やっているわけではありません。むしろ自立した個人が、
自分の確固とした倫理を持って活動しているということと、
アメリカでは、最初移住した人はどんどん地方に行くことが違います。
アメリカは地方分権であり、日本も真似しなくてはといいますが、
アメリカは始めから、優秀な人ほど地方に行って新しいチャンスを求めるのです。
だからどんな田舎に行っても、アメリカには金持ちがいますが、
日本は皆、東京に集権してしまい、無理に地方にお金をばら撒いても、
地方が豊かになるようなことはないし、むしろ地方はおこぼれで
駄目になっていくことを日本は理解しなくてはいけません。

日本とアメリカの資本主義の違いを面白い言葉で表現すると、
サムライ資本主義とカウボーイ資本主義といえます。
つまり牛や土地を自ら勝ち取ってルールを作っていくという、
アメリカの資本主義の原理がそこにあります。
これに対して当時日本は一応領主がいて、今でいえば会計士みたいなサムライがいて、
税金を集めて色々なものを皆に配っていました。
一方農民は領主に従順にしていれば、土地は一応自分のものとして耕せたわけです。
したがって日本では共同体はお上がくれたもので、その中で農民は
ルールを守っていれば生活ができるので、アメリカの自ら勝ち取って
ルールを作り自分の所有権を作っていく資本主義とは同じ時代に全然違っていたわけです。

日本人は、今でも中央政府が何かくれる、消費税を上げたら
それが地方に回ってくるように思っていますが、アメリカでは
そういうものは自分で勝ち取っていくものなのです。
これだけ時が流れても、いい意味でも悪い意味でも
歴史的な背景は引きずっているということです。
アメリカもそういう流れが出てきていますが、強みの部分と問題の部分があります。
自立してイノベーションを起こしたり、新しいことに取り組むという強みがありますが、
他方では行き過ぎというのが必ずあるということと、日本は共同体ができますが、
アメリカはお互いに自立し対立していますから、信頼というものができにくいのです。

日本とアメリカの大学で比較してみると、アメリカは非常にチャンスが大きいので、
自らのキャリアアップの機会が大学であるわけですから、
そこで学ぶことによって、次のチャンスを求めていくということです。
日本はそれに対して、共同体の中でやってきたわけですから、
皆が一定のレベルまでいけばいいということで、大学というのは
共同体の入り口として、お互いに友達をたくさん作って切磋琢磨していき、
それで就職すればいいということで、この辺が違うわけです。

■ストラテジック・マネジメントと戦略経営論
これだけアメリカと日本で違いがあるので、アメリカのビジネス原理を
そのまま日本に持ち込むというのは問題があるのですが、比較するために、
アメリカがどういう状況かというのを知る必要があり、それには最新の原書から
翻訳も出ていますが、学ぶということもあります。
例えば私の専門分野は経営学ですが、ストラテジック・マネジメントという、
アメリカ的な経営の原理を最も表した科目がアメリカにあります。
その分野の最近代表的なテキスト、日本のタイトルで「戦略経営論」として、
我々のグループで訳をして、6月に発売になりましたが、
英語と日本語の構造は違うので、翻訳すると英語の原書と日本語の訳が
少し違ってくるというのは訳している内に分かってきました。
そこで、原書、翻訳を読むポイントというのは、世界中グローバリゼーションで、
若い人は英語で情報を入れていますから、重要な情報を英語で入手することが大事ですが、
日本人は英語苦手だし時間もないから、翻訳書はさっと理解するにはいいでしょう。
ただ日本語が全部正しいと思っていても、訳の間違いもあるかもしれないし、
読んでも意味が分からない訳書も多数ありますから、両方やることが大事です。
ということで、翻訳本の「戦略経営論」(センゲージラーニング社)は、
ざっくりと大雑把に理解するにはいいと思いますので、是非読んでみてください。

分野: 久原正治教授 |スピーカー:

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