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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > APECについて(1)(ファイナンシャルマネジメント/平松拓)

APECについて(1)(ファイナンシャルマネジメント/平松拓)

10/07/26

1年くらい前にAPECの話と関連して、ABACの話をしました。
ちょうど今年、日本でAPECが行われるので、
その関連のイベントが国内色々なところで行われています。
APECについて簡単におさらいしますと、アジアでは、
日本、中国、韓国、その3ヵ国に、台湾、香港、ASEAN7ヵ国、
それにロシア、及び大洋州では、オーストラリアなど3ヵ国、
米州はアメリカ、カナダ、メキシコ、チリ、ペルー、これら計21ヵ国・地域が
加盟して、GDP・人口・貿易額で世界の約半分を占める国際会議です。
ABACは「官」の枠組みであるAPECに対して、
同じ21カ国・地域の産業界から提言を行うための、民間による諮問組織(枠組み)です。

今年は日本が15年振りにAPECの議長国になっていることから、
11月に横浜で開催される首脳会議や閣僚会議の他にも、貿易、エネルギー、
中小企業、IT担当など9つの担当大臣会合が各地で開催することになっています。
この他にも、省庁幹部による高級実務者会合なども数々予定されており、
九州では8月に別府で、成長戦略ハイレベル会合が開かれます。
また、中小企業サミットや女性リーダーによるネットワーク会合なども
予定されていますが、こうした会合の設置も議長国の裁量が働く部分です。
成長戦略に関する会合というのはAPECでは初めてのネーミングですが、
こうした会合を設置するというのも日本の問題意識を反映したものではないかと思います。

APECは、元は貿易投資の自由化・円滑化を話し合う場でしたが、
今ではエネルギー問題・知的財産権・経済構造改革・金融などについても
共働の場となっています。APECのユニークなところは、
法的にメンバーを拘束しない、政府間の協力の枠組みという性格です。
各メンバーの自発的な行動による貿易投資の自由化、円滑化、
及び経済技術協力の推進を基本原則としているわけです。
従って、交渉の場ではなく、コンセンサス方式による協力の場であり、
その分先進的な政策にも挑戦できるという性格があります。

ABACという産業界による諮問機関の活動と表裏をなしつつ
非常にうまくコミュニケートしながら進めているのも、
APECのユニークなところです。一方、APECは参加地域の規模が大きいので、
APECで合意されたことは、国際的な枠組みで採り入れられることも多いのです。

法的にお互いを拘束するものではないので、交渉によってどこかが
どこかに対して目に見える効果を勝ち取るという性格のものではない点、
わかりにくい面があるのは事実です。見方を変えて、APECでは比較的長期に渡る目標を掲げ、
それに向けて各国・地域が協力しながら進んでいく、つまり、長期計画を立て、
あまりギスギスせずに実現に向けて協力していく場と理解するのが良いと思います。

昨年はシンガポールが議長国でしたが、今年が日本、来年はアメリカと、
APECの中でも経済先進地域による議長国が3年間続くこともあって、
世界に対してAPECが影響力を強める機会ということで期待されています。
特に今年は重要な年に当たっています。APECには1994年に合意された
「ボゴール目標」という、先進国は2010年まで、途上国は2020年までに
自由で開かれた貿易及び投資を達成するという目標がありますが、今年は先進国の
達成年に当たります。そのため、その評価と更にこの先を見据えた目標の設定について
合意することが、議長国日本の役割になっています。

WTOドーハ・ラウンドが暗礁に乗り上げたままということもあり、
その点からいってもこの「自由で開かれた貿易及び投資」という目標が
100%達成されたということにはならないと思いますが、
1994年当時より実質的に貿易投資は大きく拡大しており、そうした実態を踏まえた
評価が行われるべきと思います。むしろ、過去の評価というよりは、先を見据えた
目標の設定がより重要であるといえます。

その新しい目標を示唆するものとしては、6月に札幌で開催された貿易担当大臣
による会合において、岡田外務大臣と直島経済産業大臣が共同議長を務めましたが、
その議長声明の中で、現在の優先事項、今後のAPECのあり方として、
「地域経済統合の進化」、「アジア太平洋地域の長期的かつ包括的な成長戦略の策定」、
そして、「食糧、感染症対策、テロ・災害対策などの人間の安全保障」の3つをあげています。
2番目の成長戦略については、大分で開かれる成長戦略ハイレベル会合なども重要な意味を
持ってくると思われます。

目標については、11月の首脳会議を目指して今後協議が重ねられると思いますが、
貿易大臣会合の議長声明で謳われたようなテーマが採択されれば、APECのテーマは
名実共に、従来の通商主体から成長や経済社会政策へと広がりを見せることになります。

APECの首脳会合は11月ですが、YOUTUBEに公式チャンネルがあるので、
覗いてみてはいかがでしょうか。

分野: 平松拓教授 |スピーカー:

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