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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 社会的影響~態度と説得(2) (社会心理・組織心理/藤村 まこと)

社会的影響~態度と説得(2) (社会心理・組織心理/藤村 まこと)

10/07/06

人は他者に対して態度や行動を変えてもらいたいと思い、
言語的に働きかける「説得」を行うことがあるということを、
前回(2010年7月6日放送分)お話しました。
説得は日常的にみられる行動ですが、
今回は、説得の技法として知られているものをいくつか紹介します。


■ローボールテクニック
一般的に人は、自分の意見や考え、行動を一貫させたいという欲求、
「自己一貫性」を持つといわれています。
そして、それを説得に利用したものが「ローボールテクニック」です。
これは、小さなお願いを少しずつ大きくしていくという技法です。

これに関して、アメリカのオハイオ州立大学で面白い実験が行われています。
この実験では学生を対象に、「調査をしたいのでそれに協力して欲しい」という依頼をします。
しかし、この内容が学生にとっては非常に嬉しくないもので、
学生にとっては苦手な朝の7時に集まって欲しいというものです。
この実験では普通の頼み方とローボールの頼み方の2つの方法で学生に依頼しました。
普通の頼み方では「明日7時集合ですが参加してくれますか」というもので、
この方法では学生の約24%が参加を引き受けました。

一方、ローボールでは小分けにして学生に依頼しました。
まず電話したときに「調査に参加してくれますか」と質問し、
そこで一度意見を訪ねて了承をもらいます。
その後、「朝の7時ですが来てくれますか」と合計2回の質問をしました。
その結果、参加者は56%に増加したそうです。
また、実際にその日の朝に来た人は、参加を引き受けた人の95%でした。
この現象は1度目の質問で引き受けたために、
2回目に依頼された時もそのまま引き受けてしまったといえます。

日本でも同様の実験が行われています。
その内容は団地に住んでいる主婦を対象に、
質問項目の多い面倒なアンケートを頼むというものです。
回答する人は、量が多いとやはり断りたくなります。
ところが、最初に「短めの調査に協力下さい」といって、
最初に別の短めの調査に協力してもらい、
その後改めて項目の多い調査を依頼すると、
最初から頼む場合よりも引き受けてくれる人の数は増えるという結果が出ています。

またビジネスの例では、最初は安くして小額で買ってもらい、
オプションで色々と後付けしていくというものがあります。
買う側としては、買うと一度決めて、その商品についてもいいものだと思っているため、
そのままオプションを引き受けてしまうということがいわれています。


■人は希少性に弱い
他にも人間の心理として、「希少性」に弱いということが指摘されています。
人は機会を失いかけると、その機会をより価値のあるものだとみなしてしまうのだそうです。
セールスのように限定商品や期間限定、数量限定のように希少性を協調されると、
ついつい買ってしまいたくなりますね。
また、「権威」や「好意」にも弱く、具体的には、
権威のある人が話していることに影響を受けたり、
自分の好きな人から依頼をされると引き受けたりしがちだということがよく言われています。


■説得への防御策
これらの説得に対する対策としては、やはり冷静になって考えることがあげられます。
つまり、冷静になって、メッセージの内容そのものやその根拠、論拠を吟味してみましょう。
もし時間を戻して他の状況であれば、自分はこの依頼を引き受けるだろうか、と考えてみることです。
また、一度引き受けたから断ってはいけないということもありません。
断っても問題ないということを理解しておくことも対抗策となります。

これまでに述べた人間の心理や説得の技法については、
依頼する側、される側のそれぞれの人に押さえてもらいたいと思います。
特に、悪徳商法や怪しげな団体でも、
これらの技法が使用されていることがありますので注意が必要です。


■2つの情報処理プロセス
人は、他者を含めた周りの環境からさまざまな情報を取り入れ、判断や選択をしています。
この過程のことを「情報処理プロセス」といいますが、
それには2つのパターンがあるといわれています。

例えば、朝の出勤時にジュース1本を選んで買うのに、
中身の成分量などについて考える時間の余裕はありませんし、
多くの選択肢を比較検討することもありません。
そういう時には、経験則でいつも選んでいるものを再度選択したり、
ぱっと見て目を引かれたものを選択することがあります。
このように、一部の情報や特徴で、素早く直感的に判断、
決定する情報処理プロセスを「ヒューリスティックス」と呼んでいます。
このプロセスでは、誰がそのメッセージを発信しているか、
どのような見かけか、という周辺情報が大きな効果を発揮します。

しかし、人生の大きな決定時や金額の大きい買い物のように、
もう少しゆっくり考えなければならないときには、ヒューリスティックスではなく、
メッセージの内容そのものや根拠を十分に吟味したり、
多くの選択肢を比較検討する情報処理が行われます。
この利用可能な情報を可能なかぎり吟味して判断、決定する情報処理プロセスも存在します。

「偉い人が言っているので正しい」と鵜呑みにすることなく、
その人が何を言っているのか、その内容を吟味する癖をつけることも大切ではないかと思います。


<参考文献>
ロバート・チャルディーニ, R. B 社会行動研究会(訳)1991 影響力の武器 誠信書房
山田一成・北村英哉・結城雅樹(編著) 2009 よくわかる社会心理学 ミネルヴァ書房

分野: 藤村まこと講師 |スピーカー:

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