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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 社会的影響~態度と説得(1) (社会心理・組織心理/藤村 まこと)

社会的影響~態度と説得(1) (社会心理・組織心理/藤村 まこと)

10/07/05

私たちは周りにある人や集団、コトやモノといった様々なものから影響を受けています。
その影響過程についての研究の一つに、人から人への説得、
言いかえれば他者の意見や態度を変えようとする働きかけの研究があります。
今日はその内容についてご紹介します。


■態度の三要素
心理学の専門用語としての「態度」は、
人の社会における行動の決定に影響を与える心的要因のことを意味します。
例えば、買い物をするときには商品に対して持っている考えを基に、
買うか買わないかを決めますね。
また、選挙で投票するときも、政党に対する意見や考えで投票先を決めると思います。
そういった選択の基盤になるものを態度と呼びますが、態度は最初からあるものではなく、
経験の中で作り上げられていくものです。

そして態度の構成要素は3つあると仮定されています。
一つは、好きか嫌いか、快か不快かといった“感情”の要素です。
二つ目は「これは~である」という“知識(認知)”、
そして最後に、「近づく」「近づかない」といった“行動”です。
人は様々なことに対して態度を形成して生きています。

これは経験の中で形成されるものなのですが、社会生活を営む中で、
例えば人に対しての態度を、「あの人はこういう人だ」と形成しておくと、
その人の行動を予測でき、自分がどのように対応すればよいのかが分かります。
態度は経験的に作られ、持続性を持ちますが、変化もしていきます。
家族であれば子供や配偶者に、「これをして欲しい」「これはしてもらいたくない」というに、
相手の態度や行動を変えたいという働きかけも説得のひとつと考えてよいかと思います。


■説得の決定要因
そして「説得」ですが、以前にお話ししたように、
ある種のコミュニケーションです(2010年5月19日、24日放送分)。
説得とは主に言語を使って、他者の態度や行動をある方向に変化させようとすることを指します。
登場人物は、説得の「送り手」と「受け手」、この2者で非常にシンプルです。
説得には言語を用いますので生じるメッセージは何かの媒体を通して伝えられていきます。

この説得の効果を高める要因について見ていくと、まず送り手要因があり、
相手に与える影響力の強い人は説得の効果も高いと考えられます。
例えば、報酬を与えることのできる「報酬勢力」を持つ人、
苦痛を与えることのできる「強制勢力」を持つ人が説得を行う場合、
受け手は態度を変えやすいと予想されますね。
また「専門勢力」といって、専門的な知識や技術を持っている人が、
メッセージを発信する場合も相手に影響を与えやすく、
例えば医者や弁護士が言うことは、そうでない人が言うことよりも、
信憑性が高く思えることがあります。
また受け手の好きな人、つまり魅力のある人が言うことも、
その内容を信じやすいといわれています。
このように同じメッセージであっても、送り手によって、
相手に及ぼす影響が異なることが日常的に生じています。

次にメッセージの内容も説得の効果に関わってきます。
ひとつには、自分の推奨する立場についての良い点だけを言う一面提示の説得か、
逆の立場も提示していく両面提示の説得を行うかも相手を見て使い分ける方が良いでしょう。
また、「もしそのことをやらないと、このようなマイナスの出来事が起きますよ」というように、
態度を変えなかったときに生じるネガティブな状況を思い起こさせる、
恐怖喚起アピールも効果を発揮することが分かっています。

最後に、受け手の要因です。
受け手がどういう状態かということも説得の効果に関係してきます。
よく取り上げられるのは、説得されている内容にどの程度の関心があるかということです。
政治に興味があるかどうか、その商品に興味があるかどうかという違いは、
どんなメッセージの内容や伝達方法が効果的かに違いをもたらします。
一般的に、関心度や理解度が高い場合、
一面提示より両面提示の説得が望ましいと言われています。


■説得の例
私たちは日常的に説得を行っています。
態度や説得についての心理的側面を知ることは、
ビジネスや自分の社会生活で説得をするときに役立ちます。
そしてもうひとつ大事なことは、私たちは日々説得を受ける側でもあります。
自分たちを防護するためにも、ぜひ知っておいてほしいと思っています。

説得について、ロバート・チャルディーニ氏による、
『影響力の武器』という翻訳本が出版されていますが、
その本から人間の心理を利用した説得についていくつか紹介します。
まず、人は他者から何かを与えられると、
同じように自分も返さなければいけないと思う特徴(「返報性」)があります。
これは生きてきた中で社会的にそのように習ってきたもので、
返報性によって社会生活がうまく行えているともいえます。

この特徴をうまく利用した説得を2つ紹介します。
一つ目は、最初に大きなお願いをするという方法です。
例えば新聞契約のとき、最初に3年分の契約を持ちかけてこれを断られた後、
次に1ヵ月で契約を持ちかけるというような方法です。
受け手としては、一度断っているので悪いことをしたなという負債感があるため、
「何かしてあげなければ」という思いで小さな要求を受け入れやすくなっています。
つまり、最初に難題を言って断られた後に、本当に頼みたいことや、
少しレベルを下げた依頼をすると引き受けてもらいやすくなります。
二つ目は、先にサンプルを提供したり相手に親切にするという方法です。
親切にされた方は、何か返さなければならないと思ってしまうため、依頼を引き受けやすくなります。

最初はその気がなかったのに引き受けてしまった、ということはよくありますね。
ではこういうときにはどうすればよいのでしょうか。
説得される側の防御策としては、
最初からこの依頼をされたら引き受けるだろうかと冷静になって考え、
違うと思えば改めてお断りをするという方法があります。
また、好意を受けると断れなくなるといって、好意を受けることを拒否するのではなく、
好意は好意として受けとるけれど、必ずそのお礼をしなくてはならないと思わない、
つまりお礼は返さなくても良いと自覚することもひとつの防護策といえます。

分野: 藤村まこと講師 |スピーカー:

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