QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

過去の記事詳細

QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > アジアの成長と日本 (国際経営/星野裕志)

アジアの成長と日本 (国際経営/星野裕志)

10/06/29


今年に入り毎週のように出張していましたが、
特に、ヨーロッパ・韓国・カナダなど海外出張が相次ぎ、
この番組も4カ月ぶりです。 韓国には国際学会の出張でしたが、
その時に少しショックを 受けたことなどを、
今日はお話したいと思います。

中国の成長は誰もが意識しているでしょうが、
今日は隣の国韓国の製鉄所とデパートの話です。
まず、ポスコ(POSCO)という韓国では最大、
世界でもトップ5に入る製鉄メーカーに行きました。
この会社の2008年の生産量は、ご存知のアルセロール・ミッタル、
新日鉄(新日本製鉄)、中国メーカー(宝鋼集団)に次いで
4位でしたが、 昨年は新日鉄を抜いたといわれています。

その中でも、光陽(カンヤン)は、単独の製鉄所としては
世界最大の規模を誇り、ここではトヨタをはじめ、
世界で十数社の自動車メーカーに自動車用鋼鈑を供給しています。
品質に厳しいトヨタでさえ、ここから納品されています。

その製鉄所を見て、広さ、レイアウトの美しさ、環境配慮、
あるいは原料の受入れの施設の立派さなどに度肝を抜かれました。
以前に新日鉄の製鉄所を見たことがありますが、
それに比べて相当勝っているという印象を受けました。
具体的には、鉄を作る場所なのにも関わらず
ふんだんに緑を配置するなど 環境配慮があり、
人に優しいレイアウトになっています。

そこを歩いていた時に、ブーメラン効果という言葉を思い出しました。
先進国が発展途上国の企業や業界に援助あるいは投資をして
産業育成をした結果、逆にそれが先進国にブーメランのように
効果が跳ね返ってくるという、これをブーメラン効果といいますが、
これがポスコについて、まさに感じた言葉でした。

この会社自体は、1968年に浦項(ポハン)総合製鉄という名前で、
その当時の新日鉄として合併する前の富士製鉄、八幡製鐵、
及び日本鋼管(JFEスチール)という日本のメーカーが技術援助をして、
韓国産業の成長の中核になるべく作られた製鉄所です。

それが今や、日本のメーカーをはるかにしのぐ生産量、
さらに日本のメーカーの牙城であった自動車メーカー向けの
鋼鈑提供という意味でも、この製鉄所の方が上回ってきたということです。

先月、このポスコが大宇インターナショナルという総合商社を
買収したことが話題になっていました。製鉄所が韓国で
非常に大きな総合商社を手に入れるということは、
世界からの原料調達、あるいは鉄鋼製品の海外への販売ということが、
これからますますスムーズになるということです。
その上、インドへの一貫製鉄の機能を持つ製鐵所の建設、
あるいはベトナムへの進出など新しいことを打ち出しています。
ブーメランどころか、日本企業をはるかに追い越してしまった
というのが、私の印象です。

ビスマルクの「鉄は国家なり」という有名な言葉がありますが、
基幹産業にこういう企業を持っていると、これから全体の競争力に
波及していくのではないかと感じていました。

もう1つは、その学会に参加した時に韓国人の研究者の方々のおすすめで、
帰りに釜山で新しく開発されたセンタムシティーにある、
新世界というデパートに行ってきました。

昨年の3月にオープンしたのですが、ギネスにも登録されたという
世界最大の売り場面積を持つ百貨店として話題になりました。
そのデパートの中に、アイススケートリンク、ゴルフ練習場などの
アトラクションもあり、ディスカウントストアから
高級ブティックまであり、品揃えが非常にいいのです。

日本で例えるなら、デパートにショッピングモールが付いて、
ディスカウントストアも入れたという感じです。
なにかテーマパーク的な性格を持っているところだといえるでしょうが、
スケールだけではなくて、サービスも素晴らしいと思いました。

それは、各階の表示が韓国語・英語・中国語・日本語全部で併記されていました。
欲しいものが何階にあるかわかるだけでなく、いきなり受付けの人に日本語で
話しかけたら、見事に日本語で受け答えしていただきました。
おそらく、天神のデパートで、そこまでの対応ができるところはまだないと思います。 確かに韓国語の表示は増えてきていますが、まだ一部です。

福岡で期待しているのは、韓国から高速船で釜山からくる旅行者ですが、
これから先、わざわざ福岡に来て、天神で買い物しなくてもいい
のではないかと思われたらどうなるでしょうか?

それだけではなくて、中国の人も今まで福岡に来ていたのが、
これからは釜山に行こうという流れができると、
福岡にとっては大打撃です。 しかも福岡の人たちも、
釜山の新世界に行ってみようということにもなるでしょう。

中国の動きの早さは、我々もいつも意識していますが、
隣の韓国も日本をはるかに上回るペースで成長していて、
このままでは日本はどうなるのか、ショックを受けたというのが本音です。
日本も、もっと意識を高く持って頑張らなくてはいけないでしょう。

分野: 星野裕志教授 |スピーカー:

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ