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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 資源をめぐる戦い (財務戦略/村藤 功)

資源をめぐる戦い (財務戦略/村藤 功)

10/06/18

石油メジャーというと昔から聞き慣れた言葉ですが、
ここのところ資源メジャーが話題になっています。


■鉄鉱石三大メジャー
現在、ブラジル・ヴァーレ、英豪系のBHPビリトン、
同じく英豪系のリオ・ティントの3社が世界の鉄鉱石シェアの8割を握っています。
これらメジャーが鉄鉱石の価格を数十%の幅で値上げするということで、
日本企業は困惑しているという状況です。

また、鉄鋼用の石炭もBHPビリトン、リオ・ティントなど4社が世界シェアの5割を占めています。
2008年にBHPビリトンはリオ・ティントを買収しようとしましたが、
これが実現してしまうと鉄鉱石の資源メジャーが3社から2社に減り、
寡占が進んでしまうということで大騒ぎになりました。

結局、同年の金融危機でBHPやリオ・ティントの経営環境が悪化したため買収は破談となりました。
日本でも、両社の合併はEUの独占禁止法に違反すると主張して、
阻止したいということで話題になりました。


■日本の鉄鋼会社
かつては日本の鉄鋼会社は世界でも大きなシェアを占めていたため、
日本と資源メジャーの決めた鉄鉱石の値段を他の国の会社も参考にしていました。
しかし、今や鉄鋼の世界生産量の半分近くが中国で生産されています。
粗鋼生産量の上位2位から5位までの国の生産量を合わせても、
中国の半分に満たないという状況です。

日本の生産量は割合としては小さくなっており、
日本は既にプライスリーダーとしての力を失ったといえます。
寧ろ、中国が鉄鉱石を欲しいだけ買い、それと同時に値段も上がっていくため、
中国の影響が大きくなっています。

その鉄鉱石の価格は2008年には2倍に値上がりしました。
日本に輸入された鉄鉱石や石炭は、鉄鋼会社で加工された後に、
トヨタや日産といった自動車会社に鋼鈑として販売されたり、
鋼材として家電メーカーに販売されたりします。
今のところ、日本の自動車会社は日本の鉄鋼会社が生産した鋼鈑を使用しており、
中国から輸入した鋼鈑は使用していないと思います。

自動車会社や家電業界は鉄鋼会社が無くなってしまっては元も子もないということで、
2008年には製鉄会社から購入する鋼材価格において、
鉄鉱石や石炭の値上がり分の転嫁を容認しました。
その後に金融危機が発生し鉄鉱石を含めた原材料の価格も、
2009年には下落したことで一度は落ち着きをみせました。

ところが、2010年に入って再び鉄鉱石の価格が上昇してきています。
今度は鉄鋼会社の顧客である自動車会社や家電業界も、
あまり景気が良くないということで値上げには反対しています。
そのため、新日鐵や住友金属などは赤字になり、
来年の決算の予定がたたないということで騒いでいます。

価格について鉄鋼会社としては、原料価格と連動して1年に4回の、
四半期ごとに価格を決めるという方式を導入したいようですが、
業界からは反対も多く、1年に2回の改定というところでようやく合意しつつあるところです。
とはいうものの、年2回でも原料値上がり分を顧客に転嫁する見通しはたたず、
日本の鉄鋼業界は、当分は苦しい状況に置かれると予想されます。


■鉄鉱石自給の動き
世界に目を向けると、鉄鋼会社ではアルセロール・ミタルが世界最大の規模を誇ります。
元々はインドの会社でしたがヨーロッパにも進出し、今では生産高で新日鐵の2倍以上に上ります。
ただ、ミタルは60億ドルを鉄鉱石の鉱山に投じて必要な鉄鉱石は自分で買うということで、
3つの資源メジャーの影響を受けにくい経営環境を作っています。

対して日本は必要な鉄鉱石を全て資源メジャーから購入しなければならないという、
困った状況にあります。
そのため、鉄鉱石の権益を共同で購入しようとする動きも出てきていますが、
鉱山一つに1兆円近い投資が必要だという話も出ており、簡単に解決できる問題ではありません。
製造段階での無駄を省くということにも取り組んではいますが、
大きな影響がすぐに出るという話ではありません。


■資源値上がりの影響
鉄は自動車や家電の製造に使われるため、
鉄の値段が上がってしまうと我々が消費するものの値段も上がってしまいます。
トヨタも去年のリコールで経営は厳しい状況にあります。
また、家電大手も金融危機から完全に立ち直ったといえる状態ではありません。
自動車業界や家電業界としては値上げされては困るという状況で、
造船業界に至っては値下げを要望しています。
造船業界の事情を理解できないことはないものの、
原材料が2倍近くに上昇してしまったため、値下げすることは不可能に近いといえます。

レアメタルでも資源の争奪戦が起きつつあります。
南米ボリビアの西部に位置するウユニ塩湖には、
世界のリチウム埋蔵量の半分が眠るといわれています。
そのため、日本やフランス、ブラジルといった国々がボリビアでリチウムの採掘権をめぐって、
戦いを繰り広げているという状況です。

また、原油は、2008年に一時1バレル当たり100ドル超えましたが、
翌2009年には随分と値下がりしました。
2010年に入って再び原油価格は上昇してきていますが、その水準はまだ80ドル台です。
一時期のガソリン価格に比べると最近は少し落ち着いており一安心というところがありましたが、
またじりじり価格が上がってきているので少し気になるところです。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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