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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > ビジネス・プラン・コンペの効果 (その2)企業のイノベーション創出にも活用されるビジネス・プラン・コンペ (産学連携/高田 仁)

ビジネス・プラン・コンペの効果 (その2)企業のイノベーション創出にも活用されるビジネス・プラン・コンペ (産学連携/高田 仁)

10/06/14

ビジネス・プラン・コンペは、学生だけのイベントではない。
実は企業でも、イノベーションを促す仕組みとして
取り入れられる事例が生まれ始めている。

3月にスタートしたMIT アントレプレナーシップ・レビューに、
企業におけるビジネス・プラン・コンペの導入に関する
興味深い論文が掲載されている。
これによると、ヒューレット・パッカードやクアルコムといった企業では、
社内にビジネス・プラン・コンペが導入されているのである。

例えば、ヒューレット・パッカードでは、MITの50K(当時)に
インスピレーションを受けて、2006年から”Flashpoint”
と称するコンペが既に2回開催されている。
CTO(Chief Technology Officer)および技術製品開発部門の
シニア・エグゼクティブの元で、完全な社内ボランティアに
よって運営されている。固定的な組織に任せない点が、
通常の社内の技術開発や製品開発とは切り離して
異なる角度からイノベーションにアプローチしてみよう
という姿勢が見える。ちなみに、優勝チームには
200,000ドルが開発資金として提供される。

チームは、社内の所属部署に関わらず自発的に組成された
3〜5名からなり、まずは2ページのエグゼクティブ・サマリーの
提出が求められる。この段階で勝ち残った10〜15チームほどが
次のステップに進み、フル・バージョンのビジネス・プランを作成し、
評価を受けることになる。

興味深いのは、このコンペのために専用のWebサイトが準備され、
イノベーション、アントレプレナーシップ、ビジネス・プランニング、
プレゼンテーション・スキルといった基礎知識に加えて、
HPの企業戦略に関する情報も提供されることである。
そして、セミファイナルに勝ち残ったチームは、
社内の経験者(マネジャークラス)からビジネス・プランの
書き方に関するコーチングを受けることができる。
そのうえで、最終計画(10ページ以内の文章や図表と、
発表用の7枚以内のパワーポイント・スライド)を提出し、
ファイナリストが選出されるのである。

このプロセスを通じて、個々の参加者が共通の知識や
ツールの使い方を獲得するとともに、自社の戦略についても
理解を深める機会を提供することを意味する。
すなわち、社内の人材育成をビジネス・プラン・コンペへの参加は社
内の人材育成プログラムとして重要な役割を果たしうるのである。

ファイナリスト・チームは、賞金としての開発資金を手にするだけではなく、
表彰式で経営幹部からも注目されるとともに、
優勝チームのメンバーはMITで開催される1週間のエグゼクティブMBAコース
(Entrepreneurial Development Program)に参加することが出来る
というインセンティブが与えられる。


HPでは、2006年の第1回には76チーム(11カ国)、
第2回には152チーム(23各国)が参加した。

このようなビジネス・プラン・コンペを社内で開催するメリットは
非常に大きなものがある。
大きくは、次の3つのメリットがある。

・(1)自由な発想・行動の奨励(環境);
まず、既存の組織や枠組みを越えてアイデアを創出し実行することを、
会社が “正式な”プロセスとして認めることである。
つまり、「既存の枠をはみ出して自由に発想し、行動する」ことが、
既存の事業の延長ではなく、破壊的なイノベーションをもたらしうる可能性がある。


・(2)プロセスや評価基準の標準化と透明化(手続き);
全体のプロセスを通じて、ビジネス・プランニングに関わる知識や
スキルの共通化(標準化)が進むことである。
大きな組織では、とかく部署毎に独自のやり方や評価基準が
形成されがちだが、それは異なる部署の融合を妨げる要因にもなる。
このコンペを通じて所属部署に関わらない“共通言語”が出来ることで、
社内の風通しが良くなり、イノベーディブなアイデアを創造し、
実行し易くなる基盤が形成される。


・(3)社内の優れたシーズや人材の発掘(宝の発掘);
このコンペ開催を通じて、社内に眠っている技術シーズや
ビジネス・アイデア、あるいはそれを事業へと結びつける
ビジネス・リーダーを発掘することが可能になる。


20年前にMITで始まったビジネス・プラン・コンペは、
単なる学生の“お祭り”ではない。ベンチャ−企業の設立や
大企業での新事業の創出など、社会の様々なところで
イノベーションを生み出すエンジンとして機能しているのである。

分野: 高田仁准教授 |スピーカー:

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