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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 内需型日本企業の海外進出本格化 (永池克明/国際企業戦略論)

内需型日本企業の海外進出本格化 (永池克明/国際企業戦略論)

10/05/26

国内市場の成長に限界が見え始め、これまで国内市場中心に
事業展開をしてきた内需型産業の日本企業が、
今年に入り海外市場に本格的に進出し始めています。
この話題については以前にもこの放送でお話ししたことがありますが、
その時に比べて、そうした業種の海外進出が全面的に広がってきたことが特徴です。
以前は製薬あるいはビール会社などの企業が本格的に
海外進出に目を向け始めたということだったのですが、
昨年辺りから雪崩を打ったように、内需型産業を担う企業が、
続々と海外、とりわけアジア・中国の市場に積極的に
ビジネスチャンスを求めて出始めたということだと思います。

ビール業界では、アサヒが代表的ですが、キリンとサントリーも
経営統合交渉が不調に終わったこともあり、両社ともに海外企業買収
を本格的に考えようという気運になっています。
化粧品業界では、資生堂もかなり以前から海外に、特にアジア・中国に
進出していましたが、更にそれを加速しています。
同社は海外販売をしている約10のブランドをローマ字で「SHISEIDO」に
統一し、世界的なブランドに育てる意思を明確化しました。しかし、現時点では
欧米での存在感は薄く、グローバルニッチという存在にとどまっています。
そこで今年の1月、アメリカ・カリフォルニア州の有力化粧品会社
ベアエッセンシャル(Bare Essentials Beauty, Inc.)を
買収しましたが、日本の化粧品会社では過去最大のM&Aといえます。

ちょっと変わったところでは、キューピーがあり、
同社は中国での認知度を高めようということで、広告宣伝を積極化し、
2015年には2009年の3倍増の100億円をめざしています。
製薬業界は、これまでは主だったところは限られていましたが、
最近武田薬品はかつてないスピードで海外拠点拡充を急いでおり、
去年の10月メキシコなど4ヵ国で販売会社を設立しましたし、
12月にはブラジルの販売会社を設立し、インド参入の準備を開始しました。
中国では、アメリカの大手のファイザーと販促提携し、
着々と手を打っているようですし、エーザイのインド南部の工場は
去年の12月完成しました。海外初の医薬品の製造・開発拠点という位置付けです。
人件費はかなり低いですから、低コスト生産による価格競争力ある製品により
インドなどで販売します。売上高に占めるアジアの比率を
現状の3.6%から3年で5%に引き上げます。
また第一三共も2008年に買収したインド大手の後発医薬メーカーの
販路を最大限に生かしています。アフリカではナイジェリアなどで
自社製品の販売認可を申請するという計画を立てています。
新興国市場では、これから先行するイギリスのグラクソ・スミスクライン社や
スイスのノバルティスなど世界の強豪へ挑戦します。

保険業界では、今まで国内で一生懸命熾烈な競争をしてきましたが、
国内は縮小していて、このままでは先がないという状況なのに、
企業は多数存在します。これではいけないということで、
ご承知のとおり今年の4月、三井住友・あいおい損保・ニッセイ同和損保が
経営統合し、1つにまとまりました。超大型再編です。
それに続き、損保ジャパンと日本興亜損保が経営統合しました。
前者がMS&AD、後者がNKSJというふうに、
それぞれの頭文字をとって新しい会社が生まれたばかりです。
東京海上というのは、これまで国内でのシェアが圧倒的に大きかったのですが、
国内での競争はこの数社がひしめき合ったところでやっていました。
ここにきて、海外に注力しなきゃ駄目だということになりまして、
現在海外部門の利益は全利益の3割前後に達しているわけですが、
それを更に強力にしようとしていることに加えて、
今度その他のメガ損保、前述のMS&ADならびにNKSJ、
これも急速に海外に進出して、東京海上を追撃しようとしているところです。
今一斉に、この日本の損保会社が海外展開を始めたことは、
これまでにない動きといえるでしょう。
日本の経済がこれだけ成熟化してきますと、国内中心で事業をしてきた
内需型産業というのは国内にとどまっている限り、
縮小こそすれ、これから大きな伸びはないということで、
強い危機感を抱いて、その閉塞感を打開しようと
海外にビジネスチャンスを求める、この動きは
人口が増えない限りは、おそらく今後も続くだろうと思います。

分野: 永池克明教授 |スピーカー:

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