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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 急増する中国の対外直接投資 (永池克明/国際企業戦略論)

急増する中国の対外直接投資 (永池克明/国際企業戦略論)

10/05/25

中国のGDPが今年、日本を抜くのは確実だと言われていますが、
既に額的には僅少差になっていますし、日中の経済成長率の
違いを見ればもう間違いないでしょう。
また、対外投資も近い将来、日中逆転が起きる可能性が大きいです。
中国の対外直接投資には、3つの大きな意図があります。
1つは、天然資源、エネルギーの確保ということです。
中国も資源国ですが、それを上回る需要がすごい勢いで増えているので、
エネルギーを確保することが、最優先になります。
第2は、先進技術或いはノウハウなどを獲得して、
一気に先進国に追い付くということです。
第3番目は海外市場の獲得で、これはこれから伸びると思います。
外国の地元の企業を、M&Aで吸収合併することによって、
相手方の販売チャンネルを獲得することが第3の狙いということでしょう。

海外、欧米、日本も含めて、大企業が中国企業によって
買収されるという報道も目立つようになってきました。
1番象徴的だったのは、中国のパソコンメーカーのレノボが、
IBMのパソコン部門を買収したことは、世界をあっと言わせました。
更にそれが自動車産業にも広がりました。
色々な自動車産業の欧米やアジアの自動車企業買収が、
よく新聞紙上を賑わしていますが、吉利自動車はボルボを買収しました。
これは中国の自動車企業の買収としては話題になりましたし、
BYDという自動車会社も、日本の金型大手のオギハラ(群馬県太田市)の
工場を買収しました。
中国は外貨準備が非常に巨額に上っています。それが政府系の金融機関に、
資金として流れていて、そのお金を使って、中国企業の海外進出を
後押しするというかたちになっています。

中国の金融機関は、大きく3つに分かれます。
第一のグループは文字通りの政府系の金融機関で、
代表的なものには、中国輸出入銀行があります。
輸出信用・輸入金融・対外優遇貸付・外国政府借款の
国内転貸しなどの仲介業務あるいはその促進を行います。
ハイテク製品あるいは農産品などの海外進出を
資金的に支援するような銀行です。
こういった金融機関には、例えば中国輸出信用保険公司、
あるいは国家開発銀行のようなところもあります。この銀行は
主として、ロシア・ブラジル・トルクメニスタンなどの
資源国に投資をして確保するのが目的です。

第2のグループとしては、政府系ファンドがあり、
これは自分たちが企業を後押しする間接的なものではなく、
自らが海外投資や運用を行うということです。
中国の投資有限責任公司あるいは全国社会保険基金など
公的年金の金融機関で運用することで、
最近特にクリーンエネルギーが多いのですが、
資源・エネルギー・天然ガスなどに積極的に投資をしています。

第3のグループは投資銀行です。これはアメリカの投資銀行、
日本でいえば証券会社の業務に当たります。
中国企業の海外でのM&Aを仲介、中国企業の海外での上場、
あるいはM&Aのための色々なアドバイザリー業務を行う金融機関です。
大きく3つの政府系の金融機関が、強力に中国企業の
海外進出を後押ししたり、あるいは直接自分が手を下したりして
資源を確保する構図になっているわけです。

日本企業に対する影響ですが、自動車・ハイテクだ・天然資源などでは、
海外市場で今まで欧米を中心とした一流企業との熾烈な争いだったわけですが、
それに加えて台湾・韓国、そこへ中国が急速に参入してくるわけで、
しかも価格競争力が極めて強いので、相当強力なライバルが
またもう1つ増えたということになります。

中国の直接投資・資金が、買収などで日本にも向かっているわけですから、
さきほど挙げたように、日本の金型・機械・部品メーカーなど、
高い技術を持った企業で、やや経営不振になっているところは、
どんどん買収されるということになり、いいことかもしれないですが、
国内の企業としては、ちょっと厳しい面もあります。
しかし、今やこうした現象は世界市場で日常茶飯事であり、
日本国内も例外ではありません。いわゆる過剰な黒船意識
というものを持たない方がいいと思います。

分野: 永池克明教授 |スピーカー:

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