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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > コミュニケーションとは(2)(社会心理・組織心理/藤村まこと)

コミュニケーションとは(2)(社会心理・組織心理/藤村まこと)

10/05/24

■コミュニケーションの前提

コミュニケーションでは、「送り手」が持っている情報を
「受け手」に伝えるために、言葉やメッセージのやりとりが生じます。
それをスムーズに行うために共有しておいた方が
良いものがいくつかあります。
第一には、「命題的知識」と言って、
メッセージの記号化と解読に必要なルールの共有です。
私達は、多くは日本人同士のやりとりのため日頃は
気付いていませんが、例えば「お腹が空いた」と思ったときに、
それを言語化して伝えることができます。
それは、「お腹空いた」という日本語の知識を
共有していることが前提となります。
異国の方と話をする時に、言語的なメッセージを
コミュニケーションの道具として使えなくなるのは、
言語に関する知識やルールを共有していないためと考えられます。

第二には、「手がかり情報」といって、情報の送り手と受け手を
取り囲む環境情報がコミュニケーションには利用されています。
例えば、電話で話をしていると相手が
今どのような状況かはわかりづらいものです。
いつもであれば、もう少しゆっくり話す人が今日は早口だ
というときには、実は電話だと見えないけれど、周りに人がいたり、
次の用事があるなど、電話では見えない環境情報が、
コミュニケーションに影響を与えることがあります。

そして第三には、「体系化された知識」が、
コミュニケーションを通してお互いに分かる
という感覚を持つために必要と言われています。
例えば、「野球についての知識」であれば、ルールや歴史、
専門用語など野球に関わる知識というものがあります。
野球に詳しい人同士の話を、詳しくない人が聞くと
なかなか理解は難しいですね。
大学でも、日本語なのに先生の話すことが分からない、
理解できないということがありますが、
それはその領域についての情報や知識が
不足しているために生じると考えられます。

最後にもう1つ、コミュニケーションの「目標」や「目的」です。
何のためにコミュニケーションしているかという目標を
共有しておくことも、コミュニケーションはスムーズになると考えられます。


■対人コミュニケーションでの前提の共有

人と人のコミュニケーションでは、先述のような前提条件を
共有していればしているほどスムーズに話をすることができます。
好きなアイドルの話でも、仕事の話でも、
お互いに共有しているものが多いほど、
互いに説明しなくてすむことが多いので
、話がスムーズに流れるわけですね。

良いチームワークという言葉がありますが、チームワークとは、
チームメンバー同士の相互作用でありコミュニケーションです。
つまり、コミュニケーションの前提である知識や約束事、
ルールや価値観が共有されているほど、
コミュニケーションがスムーズに進むと考えられます。

何に関してでも、価値観が異なる人同士で
1つの目標に向かうことは難しいですね。
自分とは異なる価値観を持っている人と話すと
「あれ?」と思うこともありますね。
何か話がうまく進まないときには、
その人とのコミュニケーションを止めるのではなくて、
どのような前提を共有していないのだろうか
ということを考えていくと、互いのコミュニケーションが
スムーズになるかもしれません。


■会社からスタッフへのコミュニケーション 

職場でのコミュニケーションでは、
前回にマス・コミュニケーションという企業対消費者の話をしました。
加えて、職場では消費者に対してだけでなく、
従業員の人たちに対しても、コミュニケーションを行っていると考えられます。

例えば、うちの会社では何を大事にしているのか、
どういう方向に今後行きたいのか、というメッセージを
発信したいとき、どんな方法があるかということも、
面白いテーマだと思っています。

方法として、ひとつは制度やルールを決めてしまうこと。
これも1つのコミュニケーションです。

そして、ふたつめは対人関係を通しての対話を利用することができます。
つまり、リーダーから部下に対するコミュニケーション、
メンバー同士のコミュニケーションも、会社から従業員への
メッセージを伝える重要な方法となります。
特に、リーダーシップは、他者への影響力のことを指しますので、
フォロワーとリーダーのコミュニケーションにおいて
発揮されると考えてよいと思います。

もちろん、上記ふたつ以外にもさまざまな方法があると思います。
企業は従業員に対してどんなメッセージを発したいか、
そのためにはどんなチャネルがあるか、
ということを考えると面白いですね。

一般的に、集団内のルールには、明文化されたものと
明文化されてないものが存在すると言われています。
しかし、明文化すれば、それがルールとして職場に
定着するかというと、そうではないことも多いと思います。
だから、どうしても周知したい、徹底したいというときには、
明文化した上で、きちんと対人関係のコミュニケーションの中で、
関係者に伝えていくことが大事だと思います。
人的資源管理での目標管理という制度は、
会社全体の目標を職場毎に小さく分割して、
さらに個人に落とし込んでいく制度ですが、
その際には上司と部下の面談が併用されています。
各部署の上司が、そこで働く方々に
「あなたはその中でこの仕事をしてほしい」と、会社全体の
目標との関連の中で個人目標を設定していくプロセスです。
目標管理をコミュニケーション・ツールとして
利用している企業もありますが、それも理解できますね。


■職場における情報の歪み

また、職場での情報伝達において、
生じやすい歪みがあると言われています。

1つは、人によって重要と思っていることが異なるために、
必要な情報の報告がなされなかったり、
逆に、重要と思って報告したことも取り扱われない
などの齟齬が生じることがあります。
また、部下の立場では、上司にネガティブな情報を
上げることに、心理的な抵抗を持ちやすいということもあります。
怒られるかもしれない、自分の評価に関わるかもしれない
という気持ちによって、ネガティブな情報は報告されにくいということは、
上に立つ方は予め知っておかれても良いかと思います。

参考・引用文献

山口 裕幸・金井 篤子(編) 2007 よくわかる産業・組織心理学 ミネルヴァ書房

松尾太加志 1999 コミュニケーションの心理学
―認知心理学・社会心理学・認知工学からのアプローチ ナカニシヤ出版

池田謙一 2000 コミュニケーション(社会科学の理論とモデル) 東京大学出版会

分野: 藤村まこと講師 |スピーカー:

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