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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 中国の成長 (財務戦略/村藤 功)

中国の成長 (財務戦略/村藤 功)

10/05/07

前回の放送(2010年4月30日放送分)では、日本経済の現状についてお話しましたが、
世界全体でいうと中国の経済も気になるところです。


■GDP
2009年の日本の実質GDP成長率はマイナス5%でしたが、中国の実質GDP成長率は8.7%です。
両者を比べると、約13%の開きがあります。
名目の金額でいうと2009年に日本が5兆ドル強、中国は5兆ドル弱ということで、
今年中には、日本は中国に抜かれてしまう見込みです。

金融危機で落ちた中国の輸出は回復していませんが、中国の人口は日本の10倍近くあります。
輸出が駄目なら国内だということで、内需を何とかしようとしています。
内需を拡大するべく4兆人民元を、国内の高速鉄道や地下鉄といったインフラに公共投資した結果、
2009年の実質GDP成長率は第1四半期で6%、第2四半期で8%、第3四半期で9%、
そして第4四半期には10%に達しました。

2009年全体では8.7%の実質成長でしたが、
2010年3月の全人代では2010年の実質GDP成長率目標も、
2009年と同じ8%前後に定められました。


■情報管理
中国当局は猥褻画像のようなものだけでなく、テレビや新聞などの報道内容、
そして民主化運動に繋がるものを厳しく制限しています。
民主化運動をしている人たちは危険な人たちだということで、
中国には治安維持のための監視カメラシステムが100万箇所以上あるといわれています。

加えて、ネット検閲も行っており、中国政府を転覆させようと企んでいるような人のサイトは、
有害サイトだということで、アクセスできません。

2009年には公安省によって有害情報を流した容疑者約5000人が拘束されました。
中国当局は、ネット上では誰がそれをやっているのかよく分からないということで、
「実名制」の導入を検討しています。
これは名前や中国国民全員が持つ身分証番号を入力しないとネットを利用できなくするというものです。
こうすれば誰が民主運動をしているかというようなことが一目瞭然です。
その人をマークして何かすればすぐに拘束、という話になってきます。


■沿海州と内陸部
中国の2009年の自動車生産台数は1000万台を突破し、日本やアメリカを抜いて世界一となりました。
また、中国国内での自動車販売台数でも約1500万台に上っています。

しかし、鉄鋼に関しては過剰生産の傾向があります。
中国は鉄鋼生産量で世界1位ですが、
その生産量は2位から6位の上位5ヵ国を合わせた量を上回っています。

そのため、大型製鉄所を建設しようとしていた宝鋼集団や武漢集団に対して、
政府が通達を出して、着工が延期となりました。
中国の鉄鋼業界は生産能力を一生懸命減らそうとしている状況です。

また、かつては日本や欧米の企業が、
沿海州に部品や原材料を持ち込んで組み立てて輸出していました。
しかし、沿海州の人たちが裕福になってくるにつれて、
マーケットとしても中国は認識されるようになってきました。
そのため、中国の人たちが何を欲しがっており、
どのような組織や流通網を作って販売すればよいのか、ということに力が注がれるようになりました。

先ほども触れましたが、中国政府が内陸部の内需拡大ということで、
約4兆元のお金を使ったことで、内陸部にも仕事があるということになり、
労働力の移動に変化が生じました。
昔はクビにしてもいくらでも内陸部から湧き出てくるといわれた沿海州の働き手が、
今年のお正月には内陸部の農村に戻ったまま沿海部に戻って来ないという騒ぎが起こりました。
沿海部としては、戻って働いてもらわなければ困るということで、賃上げする結果になりました。

そういう意味では、内需拡大のおかげで中国の特に内陸部や東北地方で仕事が生み出され、
沿海州の方の組立産業が労働力不足で困り始めているという状況が起こってきています。


■環境問題
途上国とはいえ、中国も環境問題については意識せざるを得ません。
この環境問題について、世界全体では、
昨年コペンハーゲンで開催されたCOP15で道筋を立てる予定でした。

アメリカのオバマ大統領や胡錦濤主席が主導しての合意が期待されていましたが、
議論はお互いに平行線をたどり、結局の所は合意に至りませんでした。

中国やインドとしては、環境よりも経済成長が重要だということで、
GDP当たりの排出ガスを減らすということで対策をとろうとしています。
中国は2011年から2015年の5カ年計画で省エネ対策に3兆元を使う方針です。
また、電力を効率的に供給するためのスマートグリッド構築に4兆元を投じる予定です。

既に、中国は何兆元もかけて環境対策はしていますが、
日本やヨーロッパが期待している中期目標として全体の排出量を設定することについては、
経済成長を重視するということで見送っている状況です。


■胡錦涛後
胡錦涛後の政治については、はっきりとした見通しは立っていません。

少し前までは、胡錦濤の後継者は習近平副主席が最有力だと考えられていました。
しかし、2009年9月の中央委員会全体会議(四中全会)にて、
習近平氏が中央軍事委員会の副主席に就任するという人事は発表されませんでした。
このポストに就けば、胡氏の後継者となることは確実だと言われています。

胡錦濤主席はまだ習近平氏に実権を譲る気が無いのではないかということで、
色々と噂が飛び交っており、次がどうなるかよく分からないという状況です。

中国に追いつかれてしまった後、日本が中国に再び追いつくことが出来るとは思えません。
重要なことについてはアメリカと中国がほとんど決定し、
中国に「昔、周辺に日本という国があったっけね」と言われる時代が、
近づいているのではないかと思います。

これから先の時代、中国の政治や経済、環境問題について、
日本としても注視していかなければなりません。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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