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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > CFOについて2 (ファイナンシャルマネジメント/平松拓)

CFOについて2 (ファイナンシャルマネジメント/平松拓)

10/05/13

前回に引き続いてアメリカ企業の財務組織の説明ですが、
前回採りあげたCFO(Chief Financial Officer)の下には、
典型的にはトレジャラー(Treasurer)とコントローラー(controller)
という二つの役職があります。

その内、トレジャラーというのは、
銀行借入れをはじめとした外部からの資金調達の実務や
売掛金や短期の与信運用といったキャッシュマネジメント、
さらに為替予約などを担当しています。
つまり、日本の企業の財務部長に近い役職といえます。

これに対して、今回のテーマ、「コントローラー」は、
日本企業の経理部長(accounting manager)に近いのですが、
日本人にはあまり耳慣れない役職です。
英語の意味では、監督官、検査官、あるいは統制・管理者という意味があります。
実際のコントローラーは、第1に経理、第2に財務報告・税務申告・外部監査対応など
報告関連業務、第3に予算・財務企画の機能を持っているケースが多いようです。

経理というと、アメリカではbean counter、つまり豆を数える人という
ニックネームが与えられている通り、細かい数字を人手かけて記帳するというのが
古くからのイメージですが、この分野は最近ではコンピューターシステムの利用で
単なる取引記録を付けるのみならず、顧客やサプライヤーの情報も
データベース化でき、人手によるペーパーワークは著しく減っています。
更にはそのルーティン化した部分については、インドの会社に
アウトソースするなどの効率化が進んでいます。
最近では、そのウエイトは数値の記録ではなく、
コスト或いはトレンド分析、投資評価などを行った上で
情報を会社の内外に提供すること、すなわち第2・第3の機能のため
数字に付加価値を付けることに移りつつあります。

財務の報告の1つには、アニュアル・レポート或いは決算報告のように、
どのように会社の業務が遂行されたかを外部の投資家などに
報告するための財務会計報告があります。
2つ目は、新規の設備投資をするかどうか、
その意思決定のために用いるような過去の投資評価など、
企業の意思決定のために過去の情報や判断の分析を行う管理会計報告です。

例えば、利益目標の達成率であるとか商品毎、取引先毎、販売店毎の
限界利益の状況など様々な分析内容を含みます。
前者の財務会計報告は、投資家や債権者を対象とする外部者のためのものです。
これに対して後者の管理会計報告は、社内のマネジャー陣を
対象とするという違いがあります。

報告の中身でも、前者は会社の広い範囲の活動を
要約する形であるのに対し、後者は詳細ですが、
目的に合わせて特定の領域に絞られるのが普通です。
つまり財務会計報告は外向き、管理会計報告は内向きという仕事内容です。
そのことを反映して、記載方法も財務会計報告とは違って
管理会計報告については定められたルールはなく、
使い勝手に合わせてテーラーメイドでデザインすることが可能です。
寧ろ、そのデザイン次第で価値が決まるということになります。

管理会計報告の場合、財務部門が定期的に漫然とレポートを作成するだけでは、
得てして、「それでどうした」ということになりがちです。
他の部門のマネジャーが、そのレポートによって
自部門の強味・弱味を判別して適切かつ効果的な
アクションにつなげられるようにするためには、
報告書作成者の能力も必要ですし、現場との対話が欠かせません。
逆に、利用する他部門の側からのフィードバックも重要になります。

コントローラーは経理を担当しているので、
会社中の各係数をいち早く包括的に知り得る立場にあります。
そのためコントローラーは企業の予算策定作業において中心的な
役割を担います。また、予算は通常は1年間のものですが、
その間の経済あるいは市場等の変動を細々反映させて
内容を修正するよりは、当初設定した目標を達成することが重視されるので、
目標達成のための進捗管理においても、各部門任せではなくて、
コントローラーが重要な役割を果たします。
その際にも、進捗の遅れの原因分析など付加価値を付けた
管理会計報告を用いて各マネジャーへ効果的な働きかけを
行うことが求められるわけです。

日本企業の場合は、経理部でこれと近い機能、あるいは
これ以上の機能を果たしているところが少なからずあるでしょう。
しかし一方で、経理は財務会計ベースの報告書や税務報告の作成で手一杯で、
管理会計については経営者の勘頼り、目標の進捗管理については現場任せ
という会社もあるのではないかと思います。
こうした企業にとっては、コントローラーという職種を
設けるかどうかは別として、予算の進捗管理などの面においての
財務部門の機能強化を考える価値はあるでしょう。

分野: 平松拓教授 |スピーカー:

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