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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 中国家電製品インバーター化元年 (中国経済と産業/国吉 澄夫)

中国家電製品インバーター化元年 (中国経済と産業/国吉 澄夫)

10/04/29

■インバーターとは
インバーターという言葉は、日本でも前からよく聞かれます。
「インバーター」とは、直流電力を交流に変換する装置です。
精密な交流機器を安定した交流で供給していくためには、一般の電源を整流し、
直流に直しておいてそこからさらに交流を作る、というステップを踏みます。
これによって、電圧や周波数を自由にコントロールすることができるようになります。

インバーターは家電製品、特にエアコンによく使われます。
日本では90年代くらいからインバーターエアコンという言葉をよく耳にするようになりました。
エアコンの場合は、心臓部であるコンプレッサーの制御部にインバーターを採用して、
モーターの回転速度を自由に変えることで、快適性や省エネ、
環境への負荷軽減に効果があるといわれています。


■中国でのインバーター化
中国でも省エネや環境については非常に意識されており、
そのため、家電製品に対するインバーター化は今中国で注目されています。

2010年3月23日の日経新聞にてサンケン電気株式会社の飯島社長が
「2010年はアジア家電にとってインバーター元年だ」ということを仰っていました。
以前から中国のメディアが「2010年はインバーターエアコンの普及元年だ」
ということを言っていたので、サンケンの社長さんはやはり流れをみていらっしゃるな、
というふうに思いました。

エアコンのケースでいうと、大体日本では90%以上がインバーター化されています。
この数値はヨーロッパで大体50%以上といわれていますが、
中国では2009年の普及率のデータでみると、12%という数字が出ています。
中国での2010年以降の予測値をみると、2010年が21%、2012年では34%と、
次第に普及していくと考えられています。
これから大きなマーケットの伸びが期待されるという意味で、
2010年がインバーター元年だと言われているのだと思います。

中国の家電業界で、インバーター化の技術を持っている企業は、
徐々にではありますが増えてきています。
1つの例として、広東省の、マカオの隣に位置する珠海市に本拠地を置いている、
格力(グリー)電器があげられます。

この会社は年間約2000万台のエアコンを生産している中国のトップ企業ですが、
自社製品のほぼ47%をインバーター化したという数字が出ています。
格力の製品は国内のマーケットでも圧倒的な人気を獲得していますが、
その人気の秘密の一つにはインバーター化にあると思います。
中国で家電企業というとハイアール(海爾集団)が思い浮かびますが、
そのハイアールのインバーター化率は7.9%といわれていますので、
格力と比べると大きな差があります。


■ダイキンとの提携
格力は日本のダイキン工業との提携で技術力を身に付けていきました。

ダイキンはエアコンでは大変強い技術力を持っている会社です。
ダイキンと2008年に技術提携を締結し、
2009年秋から共同開発したインバーターエアコンの販売を中国で始めました。
ダイキンは日本のトップメーカーで、
特に高性能のエアコンでは世界で非常に大きなシェアを持っています。
そのダイキンと世界の20%のシェアを持っているといわれている、
中国ナンバー1のエアコンメーカー格力が、ウィンウィンの連携をしたといえます。
しかし、この提携に至るまではダイキンの社内では抵抗もあり、
かなりの紆余曲折を経たようです。
このインバーター技術はエアコンの技術の中でも中核の中の中核に位置する技術です。
外部へ流出させるということに対しては社内で非常に反対意見が強かったそうですが、
最終的には会長や社長といった経営トップの判断として実施に至りました。

成長する中国市場の中で、ボリュームゾーン(中間層)をきちんとおさえていかないと生き残れない、
また、中国でも今後急速にインバーター化が進んでいき、
勝ち残るためには、速やかにインバーター製品へシフトが必要、
販売力を中心とする競争力で中国企業に太刀打ちできるように、
とのダイキンの大局的な判断があって連携に至ったと思います。

広大な中国マーケットをどこまで日本の企業がコントロールできるかということがあり、
日本企業が単独でインバーターエアコンで市場に入っていくことには困難もあるので、
ダイキンの判断として、格力と連携して中国市場へ参入し、
同時にダイキンが自前で持っている中国での販売網を通じて
自社製品も販売する、ということでしょう。

ただしダイキンは、最後の砦としての技術のブラックボックス化については、
配慮しているともいわれています。
インバーターの制御プログラムは、日本が得意とする刷り合わせの技術です。
この辺がブラックボックスになっているのだろうと私は推測しています。


■中国家電業界の課題
先ほども申し上げましたが格力のエアコンのシェアは世界全体で20%を占めており、
数としては非常に大きな力を持っていますが、
白物家電の業界全体としては、中国のレベルは必ずしも高くないということについて、
中国の政府の人たちは非常に危機感を募らせています。

いわゆる自主創新、自主革新能力がまだまだ足りず、
どこの会社の製品も同質化してしまうという現象が起こっています。
何とか戦略を転換していかないと家電産業は苦境に陥るという見方を政府の方はしています。

そういう意味では、一層の国際化あるいはブランド力の強化、
場合によっては国内企業の再編も起こる可能性もあります。

分野: 国吉澄夫教授 |スピーカー:

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