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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 九州の農産品ビジネスの主力産業化~私たちが主催した国際シンポジウム(2/25開催)の概要報告~(国際企業戦略論/永池克明)

九州の農産品ビジネスの主力産業化~私たちが主催した国際シンポジウム(2/25開催)の概要報告~(国際企業戦略論/永池克明)

10/04/20

前回、農業が実は成長産業だということを話しました。
農業は、まさにQBSなどで勉強・研究している戦略やマーケティング、
MOT、アジア・中国ビジネスが十分に導入できる世界だというのが実感です。
前回、私の問題意識をお話ししましたが、
これからは成長著しいアジア・中国市場を視野に入れた
「攻めの農業」、「ビジネスとしての農業」に
転換させるべきだということです。
九州はこれまで自動車、半導体産業などの2大産業の製造拠点
(カー・アイランド、シリコン・アイランド)として位置づけられてきました。
確かに雇用機会はありますが、自動車や電機・半導体企業の本社は
関東、関西、愛知にあります。
したがって、九州は生産や一部部品産業や
製品開発の一部を任されているにとどまっています。
そこで、強いポテンシャルを持つ農業を活性化させ、
第3の柱、あわよくば主力産業の拠点にしていく
必要があるのということです。すなわち、
「フード・アイランド(Food island)」九州です。

本年2月25日の国際シンポジウムの中で基調報告をされたのが、
西南学院大学の立石先生ですが、農と食を通してアジアとの共生
という趣旨で、農業を九州の第3の柱、
つまりフードアイランドにしようという
問題意識でお話をされました。

シリコンアイランド、カーアイランド、
そしてフードアイランドがキーワードになっています。
九州を食糧とエネルギーの一大基地にするという意識を持ってやれば、
それは可能だというのが立石先生の主張です。
そのためには、日本に蓄積されている先端産業の
ノウハウや経験を農業に活用していけば、
農業でも先端産業になり得るということなのです。
もう1つは、農業の国際化ということですが、
お隣中国の巨大市場が今毎年10%も伸びていて、
世界の物、人を吸収し中間層も増えているわけです。
今生まれつつある新興国の中間層(ボリューム・ゾーンとも言います)
人口的にもブリックス(新興国:BRICs)全体で
8.8億人ですから、これを見逃す手はないでしょう。(この層は
将来的には14億人に増加するといわれています)
しかも中国の人たちの生活水準っていうのは、急速に
上がってきて、特にエコ、安全、安心、健康などに、
日本と同じか、それ以上に関心が高まっているのです。
九州としては、そのニーズに応えるということではないかと、
立石先生は主張されました。私もまったく同感です。

基調講演をベースに第2部で、パネルディスカッションがあり、
日本人だけではなくて、中国や香港で実際に農産品ビジネスを
やっておられる経営者の方々をお呼びしまして、
国際的なパネルディスカッションをしました。
日本からは、あまおうなど九州の農産品の輸出入に活躍しておられる
アジアネットの田中豊代表、(株)エー・アイ・エー代表取締役の百富孝行さん
、香港からは、あまおうを輸入している味珍味有限公司の
呉保鋭(フランキー・ウー)さんが参加しました。
あまおうは香港のスーパーでよく売れるという話など、
様々な大変興味深いディスカッションができました。
主な内容をご紹介しますと、この田中さんからの発言では、
九州における農業の農産品の出荷額は、約1兆7千億円で、
これは日本全体の2割を占めているということです。
九州は国内経済の1割経済とよく言われますが、
農業は九州では非常に大きな存在だということです。
更に農産品をもう少し広く考え、食料品製造・加工業、飲料、
タバコ、飼料製造業、これら全部を加えると、
全製造業出荷額の約2割、つまり4兆円以上になります。
これは半導体の2兆7千億、あるいは自動車産業の
2兆4千億を上回っていて、九州では最大の産業ということになります。

まだ十分にポテンシャルを活かしきってないので、やりかたによっては
もっと大きくできるのではないかということですね。
田中さんは2000年代に入って香港や台湾に苺や梨あるいは野菜類を
輸出する機会を得ましたが、予想以上に現地の顧客に受け入れられました。
2008年の農産物の海外出荷額10億円強と、この5年で10倍まで増えています。
香港の他にシンガポールやドバイまで輸出し、非常に元気です。
同時に中国では食糧不足、水不足、工業化、異常気象、環境問題が
深刻化していて、日本の農産品ビジネスが歓迎される余地が多くあるので、
これからますます増やすことができるのではないでしょうか。

では九州から中国の市場に入っていく展開としては
何があるかということがパネルディスカッションで
議論されました。

まず中国市場は地理的に、まさに九州から最も至近距離にあるので、
日本の技術で、中国で農産品を作ります。
これまでは開発輸入といって日本に輸入していましたが、
これを中国市場で売るというのを、パネリストとして中国から参加された
北京のサンゴウ企業集団のソウ総裁が勧めています。
中国人の所得が非常に向上して購買力が大きくなっているので、
向こうで作って向こうで売るということなのです。
もう1つは、人民元がアメリカのプレッシャーを受け、
切り上げざるを得ない状況になっていますが、
そうなると、日本の農産品の輸出も有利になってきます。

日本の農家には後継者不足、高齢化などのイメージがありますが、
新しい発想でもって、色々な産業の人々が
農業にビジネスチャンスとして入っていく、
あるいは先端産業などの経験、ノウハウを生かし、
農業に導入していき人もそこに入っていくことによって、
もっと強くできると思います。
それには当然農地法などの規制を緩和する必要がありますが
ビジネスとして、もっと活性化できる余地は多いでしょう。
現在農家自身もどちらかというと、生産することだけに関心があり、
あとはもう、農協あるいは商社頼みで、
自分で売るところまでは頭を使っていないし、関心もありません。
農業をビジネスとして考え、もっと販売やマーケティングに取り組んでいく、
そして視野を国内市場だけでなく、アジア・中国、
さらには世界に広げていくことが今、求められています。

分野: 永池克明教授 |スピーカー:

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