QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

過去の記事詳細

QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 九州の農産品ビジネスへの私の問題意識 (国際企業戦略論/永池克明)

九州の農産品ビジネスへの私の問題意識 (国際企業戦略論/永池克明)

10/04/19

私は最近(専門外ではありますが)、
農業や農産品ビジネスに興味を持っています。
九州の活性化、あるいは故郷の長崎県の活性化を考える時、
農林水産業は、九州の基幹産業としてもっと成長の可能性がある、
それをもっと強化するために私たちもサポートできないか、
という問題意識をもっています。

たまたま私は最近出版された大泉一貫さん
という方の本(新書版)を読みました。
この本の著者は宮城大学副学長で、農業経済学あるいは
地域活性化など地域経済論が専門です。
その方が書いた新書版を買って読んでいる内に、
この本は自分の問題意識とぴったりフィットすると感じました。
具体的には、農業は衰退産業ではないということです。
今は製造業やサービス産業が主流だという考え方がありますが、
それは農業が政府のこれまでの色々な農業政策で
衰退させられているだけであり、
これから十分活性化できるということです。
例えば、オランダは成熟したヨーロッパの小国で、
九州と同じ位の面積ですが、ガーデニング用品あるいは
チューリップの輸出国としては大変有名です。
有力な輸出産業であり外貨獲得産業です。
その秘密というのは、農業のIT化です。
花を栽培するハウスの土壌、水、溶液、温度の管理まで
ITを駆使したシステム管理が行われています。
グローバルなサプライチェーンマネジメントを導入し、
花の需給管理も行っていて、収穫された花は、
2日後にはニューヨークの花屋に並んでいます。
まさにこれはビジネスです。

スイスも観光と農業を結び付けて成功し、
外貨を稼いでいます。フィンランドは林業で成功し、
ノルウェーは水産物の輸出で非常に有名です。
ドラッカーあるいはダニエル・ベルが言うように、
日本の場合、製造業の中小企業が単なるものづくりから
情報産業や知識産業に脱皮して活躍していますが、
これを農業にも当てはめることができるということです。
特に日本の農産物の質の高さは定評があります。
大泉先生の著書にも書いてある通り、
農業の成功法則には3つあります。
まず顧客や市場を発見するということです。
まさにマーケティングと販売の世界です。
農業の場合も顧客を探す営業力、あるいは
ターゲット顧客を誰にするか、求めているものは
何かをまず考えなさいということです。
それから農業の場合、食品加工業では、
色々な地産地消の弁当、あるいは観光業との融合、
農業体験ツアー、フラワーツーリズムなど、
様々な他産業のノウハウを利用することで
相当効率化を図る(生産性を上げる)ことができるし、
チャンスを広げることができるのです。
例えば製造業なら、製造業の工業技術と
農業技術を融合する、ということは既にやっていることですが、
農業を工業生産化する、電照野菜を作る、
そういった他産業のノウハウや成果を取り入れることで
シナジー効果を図れば、農業も1つの大きなビジネスとして
十分成立し得るのではないかということが2番目です。
農業は天気に左右される部分が多いのですが、
野菜工場のように工業化すれば、天候に左右されず安定供給できます。

それから生産性を向上させるということです。
例えばモーツァルトの生まれたオーストリアという国は、
非常に急峻な山国で地形的にも非常に崖が多いのですが、
林業の輸出国なのです。日本も似たような地形ですが、
最大の違いは道路網あるいは山林、山道、
作業道が大変整備されていることです。
重機械を山の上まで引き上げて、片端から効率的に刈り取り、
運搬するので、生産性が極めて高いわけです。

これらの成長の3法則を確実に実行する条件が3つあります。
それは顧客志向をどこまで徹底できるかということです。
その国が大消費地に近いのか、近くなければ
世界に市場を求めるということです。
九州の場合であれば、すぐ隣に成長著しい
中国あるいはアジア市場が広がっています。
もう1つは、脱一次産業化ということです。
これは農業が、現在60歳以上の人が主要な担い手であり、
もう衰退産業だと言われていますが、そうではなく
一次産業から知識産業に脱皮させるということです。
それは他の産業のノウハウを取り入れ知識産業を目指す、
異業種同士を結合させる、シュンペーターの言う新結合と同じです。
それでイノベーションが生まれますから、そういうことをやっていけば
これからの日本にも十分チャンスありということです。
あと生産性向上のための努力をするということです。
先程もご紹介したオーストリア・スウェーデン・ノルウェーの
産業が皆そうですが、生産性を向上して競争力を上げるということは、
日本の場合には自動車・電気など沢山先端産業が
多くの経験やノウハウが持っていますし、
技術の集積も進んでいるので、それをうまく活用することが
十分可能ではないかと思っています。

私の問題意識としては、九州の農業を実験台にして
他産業の先端技術あるいは地の利を生かして、
今後の巨大市場、アジア・中国を視野に入れて、
様々なビジネスモデルを開発していくことが、
大事ではないかと思っています。
九大のアジア総合政策センターと私が座長を務める
「九州・中国ビジネス研究会」が共催で、
農業・農産品ビジネスの活性化をテーマに
国際シンポジウムをやってみようということになり、
先月2月25日に福岡の読売プラザで開催したところ、
百数十名集まり、会場はほとんど満員となりました。
私自身、製造業(電機産業)に勤めていたので、
農業や農産品ビジネスはあまりなじみがなく、
農業をテーマにした国際シンポジウムに
こんなにたくさんの方々が集まるのは驚きで、
かつまた、うれしく思いました。
それだけ九州の農業は有望であり、関心も高い。
何とか海外でも外貨を稼ぎ、九州経済をリードする
基幹産業の一つにできないか、と強く思った次第です。

分野: 永池克明教授 |スピーカー:

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ