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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 温暖化対策 (財務戦略/村藤 功)

温暖化対策 (財務戦略/村藤 功)

10/04/16

自民党が与党だった頃は、CO2の削減量についてはあまり明確にしていませんでした。
一方の民主党はマニフェストに、90年比で25%削減するということを掲げており、
鳩山首相も1990年比でCO2を25%削減するということを明言しました。

今日は、温暖化問題への対策についてお話しします。


■COP16
2009年12月に開催されたコペンハーゲンのCOP15では、
京都議定書以降の枠組みを決めようという予定でした。
しかし、枠組み合意を達成できず今年の年末にメキシコで開催されるCOP16で、
枠組みについて決定するという話もあります。

今のところCOP16では新たな枠組みを決定するのではなく、
その内容について少し歩み寄りを目指しているという状況です。
とはいうものの、コペンハーゲン合意として、
今年の1月までに先進国や途上国でどの程度、
排出を削減できるのか計画を提出することになりました。
枠組みは決まりませんでしたが、お互いにそれぞれ努力するということになり、
各国が排出削減計画を提示しました。

しかし、2009年12月から内容が進んだというわけでもなく、
2010年末までにはまとまりそうもないという気配です。


■各国の立場
アメリカはオバマ大統領へと政権が変わったということで、
どの位政策の内容が良くなるのか、ということが問題でした。
オバマ大統領は就任直後に、2005年比で14%削減としていましたが、
最近では2005年比で17%削減と削減幅が上昇しています。

しかし、2005年比で17%削減ということで法案は下院では可決されていますが、
上院では17%では不十分だということで、20%減について検討しており、
その審議が止まっているという状況です。

ヨーロッパや日本は1990年比で削減率を出していますが、
それに付き合おうという話ではありません。

ただし、2005比年で14%削減は1990年比に換算すると、
削減率がゼロになっていまいます。
実のところは、そんなにたいしたことを言っているというわけではありません。

EUは、もともと1990年比で20%削減を公言しています。
同じように、日本も1990年比で25%削減ということを言っています。
1990年比で20%、25%削減というのは立派ですが、
問題はどうやってそれを達成するのかということです。

今のところ日本は、6割位は国内で達成し、
4割位は排出権を海外から購入する方針です。

また、新興国の中で特にCO2を多く排出している国が中国とインドです。
排出量それ自体では、中国とアメリカが二大排出国ですが、
中国とインドはものすごい勢いで経済成長しています。
この国の人たちが何とかしてくれないと排出量を低減することはできませんが、
中国やインドとしては、経済成長している最中ですから、
成長を止めるような排出の削減は出来ません。
両国とも、成長あたりの排出量の削減に取り組むとしていますが、
GDPが成長するということは、CO2の排出も増加するということになりますから、
排出量が減るとは必ずしも限らないというような話です。


■排出量削減の方式
現在、日本では地球温暖化対策基本法を閣議決定して、
今国会中に成立させようとしています。

その中で削減方式については、総量規制方式と原単位方式の2つがあげられています。

総量規制方式は、個別企業毎に総量を規制するという方法です。
具体的には、企業毎に排出量を設定し、それを下回った分、
つまり削減できた分については排出権の売却を認めるというものです。
もし、削減できなかった場合には、どこかから排出権を買ってこなければなりません。
これは、ヨーロッパのキャップアンドトレード型の排出権取引の前提となるものです。
しかし、かなり効率的なオペレーションをしても達成できず、
企業が生産活動の抑制に追い込まれる可能性があり、経済界は反発しています。

変わって、経済界は原単位方式の導入を要望しています。

この原単位方式というのは、例えば鉄1トン当たりに必要な排出量や、
電力1キロワット当たりに必要な排出量を制限するという方式です。
こうすれば、効率的なオペレーションすれば、
別に生産調整しないで済むと経済界は主張しています。
しかしそうすると、中国やインドの主張と一緒で、
生産調整せずにどんどん排出量が増え続けるという可能性がります。

全体としてこれ位に抑えるという総量規制方式であれば出来ることが、
原単位方式では出来ない可能性が高まってしまいます。
そういう意味では、経済界としては原単位方式が望ましいが、
政府としては総量規制方式にしておかないと、
1990年比25%削減という約束守れないのではないか、という構図ができあがります。
とりあえずのところ、両論併記の形で決着がついていますが、
よく分からないことになっています。

EUでは、キャップアンドトレード型の排出権取引を2005年から開始しています。
この中では、排出量の上限、つまりキャップが決められており、
それを実際の排出量がそれを下回れば排出権を売却することができ、
逆に足りなかった場合には排出権を買ってこなければなりません。


■資産除去債務
環境対策は財務にも様々な影響を与えます。
特に最近問題になっているのは、資産除去債務の扱いです。
これまでは計上する必要がありませんでしたが、
2010年4月から負債として計上しなければならないということになりました。
つまり、産業廃棄物の処理や土壌の原状回復にように、
環境対策費が将来必要になると思われる場合は、
今まで帳簿に載せていなかった負債を、
環境対策債務として載せる必要が出てきたということです。

石油関連企業の場合、その生産が終わった時に、埋め戻したり、
それから鉱山を閉じたりと、そういう場合にも費用が必要になってきます。
これを負債として計上するということになると、バランスシートの見かけが悪くなる、
あるいは毎年の費用が増えてしまい利益が少なくなるという影響が出てきます。

また、環境税が導入された場合には私たちも支払う必要が出てきます。
環境のためだということであればいくらでも、という気にはなりますが、
一筋縄ではいかない問題だといえます。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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