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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > オバマの一年 (財務戦略/村藤 功)

オバマの一年 (財務戦略/村藤 功)

10/04/02

アメリカのオバマ大統領が就任して1年が過ぎました。
今日は、オバマ政権の現状についてお話ししたいと思います。


■最近のオバマ政権
就任時の2009年1月には70%近くあった支持率も、今年の1月には50%を切ってしまいました。
そういう意味では、オバマ大統領にとっては大変な1年だったという事がうかがえます。

支持率が下落した原因はいくつかあります。
金融危機に見舞われたタイミングでオバマ大統領は就任しましたが、
まず、この時に上昇した失業率の改善が遅れています。
現在は、10%で高止まりしているという状況です。
また、外交が必ずしもうまくいっていないということも理由の一つです。
ブッシュ政権はかなり強硬な姿勢で外交に取り組んでいましたが、
オバマ政権は少しフレンドリーな姿勢で外交を展開しています。
しかし、そのような態度でうまくいくような相手ばかりではありません。
加えてオバマ政権の一つの目玉であった医療改革法案の遅れも支持率に影響しています。


■マサチューセッツ上院補選
この支持率低下の影響が顕著になったのが、先日のマサチューセッツ州の上院補選です。
2009年の8月に最後のケネディである民主党のエドワード・ケネディー上院議員が亡くなり、
上院補選が2010年1月に行われました。
もともとマサチューセッツの選挙区は、1997年以降、民主党が議席を独占していました。

ところがいざ蓋を開けてみると、民主党候補が共和党候補のスコット・ブラウンに敗れてしまいました。
これまでは、民主党は安定多数ということで、
上院でも下院でも法案を取りあえず通せるという状況でした。
しかし、補選で共和党に敗れた結果、上院で安定多数を失い、
法案を簡単に成立させることができなくなってしまいました。
オバマ政権にとっては大変な打撃だといえます。
そのため、法案の成立には共和党の中道派を取り込むことが不可欠だという状況です。


■温暖化対策
懸案事項もいくつかあります。

まずは温暖化対策です。
ブッシュ前政権の温暖化対策に対する取組の姿勢は消極的でした。
そのため、政権がブッシュからオバマに変わるということで、
温暖化への取組も変わるのではないかと期待されていました。
では、その期待通りに話が進んでいるかというと、そうでもありません。
2020年までを対象とした中期計画では、日本は1990年比で、
温室効果ガスの25%削減を目標にしていますが、
一方のアメリカは、2005年比で17%から20%の幅で、
温室効果ガスを削減するという目標を盛り込んだ法案を下院にて可決しました。
しかし、共和党が「産業界の負担が大きくなり過ぎる」と法案に反対しており、
審議が進んでいない状態です。


■自動車業界
自動車業界についても、ちょうどGMとクライスラーが、
立て続けに破綻という時期に大統領になったということで、
オバマ大統領にとってはアンラッキーだったといえます。
GMとクライスラーについては、当初は法的手続きを外でやろうとしていましたが、
結果として連邦倒産法第11章(チャプター11)という、
破産法の中の手続きに持ち込んでの再建ということになりました。

最近、トヨタは米議会の公聴会に呼ばれ大変なことになっていますが、
これについては2つの説が日本で囁かれています。
本当にトヨタが悪いという説と、実はそう大した問題ではないが、
GMとクライスラーのシェアをトヨタが上回っていることに対する反感があり、
通常よりも強い圧力がかかっているのではないか、という説です。
本当に突然スピードが上がるということであれば大変な話ですが、
トヨタ側はそんなことはないと言っており、事の真相はよく分からない状況です。


■外交・テロ対策
そして、一番大きな問題になっているのが外交です。
オバマ大統領は、就任後まもなくノーベル平和賞を受賞しました。
まだ何もしていないのではないかという声もありましたが、
これから色々やってくれそうだという期待を込めての受賞でした。

その後、期待通りに話が進んだかというと、必ずしもそうでもありません。
まず、ノーベル平和賞の受賞理由である核の軍縮については、
ロシアはなかなか軍縮に着手しませんし、
北朝鮮やイランは「核を手放したら大変だ」ということで核に執着しています。
また、キューバや中東でもあまり進展はみられません。

逆に、アメリカが台湾に武器を輸出したということで、中国との緊張が高まっています。
また、日本でも普天間基地をどうするのかということでもめています。
一番言うことを聞いてくれるはずだった日本もこのような状態では、
アメリカとしては「ブルータス、お前もか」という心境でしょう。
最近では、アメリカもこの問題に関してはトーンダウンしてきています。
ここで日本にまで逃げられてしまっては、
オバマ大統領としてもかなり厳しいということがあるのかもしれません。

また、テロ対策も思うように進んでいません。
アメリカはテロリストを、アメリカ国内ではなくキューバのグアンタナモ収容所に収容しています。
しかし、同収容所で収容者に対する非人道的な振る舞いが発覚し、
海外にこのような施設があるのは問題だということで、
オバマ大統領は同収容所を閉鎖してアメリカに移設しようとしていました。
しかしこの法案は、テロ施設をアメリカ本土に持ってきては危なくて仕方がないということで、
上院にて90対6の圧倒的多数で否決されてしまいました。
このような人権的な問題をオバマ大統領は上手に取り扱ってくれるのではないかという話でしたが、
これもなかなかうまくいっていないという状況です。
同様にアフガニスタンの対応もなかなかうまくいっていません。


■医療保険改革法案
オバマ政権最大の目玉は、先にも少し触れましたが、医療保険改革法案です。
日本は国民皆保険制度ということで、国民全員が健康保険に加入しています。
しかし、アメリカでは6人に1人が保険に全く加入していません。
オバマ大統領は、このような未加入者のうち3000万人ぐらいを、
医療保険に入れようとする医療保険改革法案というのを提出しました。
しかし、10年間で9500億ドル(約85兆円)の予算を見込んでいるということで、もめにもめています。
共和党は法案の見直しを求めており、なかなか思うように進んでいないというのが現状です。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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