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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > MITレポートVol.22 (産学連携/高田仁)

MITレポートVol.22 (産学連携/高田仁)

10/04/27

ツイッターを始めてから、情報へのアクセスが向上しました。
Sloanの学生や教員をフォローしていると、彼らの“つぶやき”には
多くの興味深い情報が含まれているので、興味深い記事や
イベントに関する情報を得易いのです。
その中で、X-Conomyというハイテクや新ビジネス関連の情報を
タイムリーに発進しているメディア(ボストン、シアトル、サンディエゴの
3カ所に支所を持ち、ローカルからグローバルに価値のある
情報を提供している)で興味深いレポートが紹介されていました。( http://www.xconomy.com/boston/2010/02/25/what-makes-a-city-entrepreneurial/ )。
ハーバードの研究者が発表した”What Makes a City Entrepreneurial?”
という論文です。なぜ、起業家を多く輩出する都市と
そうでない都市に差があるのか?が主題です。
著者のGlaeserとKerr(共に、ハーバード大)によると、
彼らが米国センサス(統計)を活用して各都市の雇用数や法人数、
企業の従業員数等を比較したところ、各都市で、
従業員1人当たり法人数と1977〜2000年の都市の雇用増加数には
相関があることが明らかとなりました。つまり、スタート・アップ企業を
多く輩出する都市は、他に比べて都市の成長力が高いことを意味します。
著者らは、その都市の1月の平均気温および人口当たり学位保有者比率が、
スタート・アップ企業数と都市の成長に影響しており、逆に、
地方政府の減税インセンティブ付与による大企業誘致は、
もはや功を奏さないのではないか、という疑問を投げかけています。
まだ研究が十分に進んでいない(未検討の他の要因についても
影響を把握する必要がある)ので、この結果だけをもって
都市行政に関わる地方政府が、即起業家を奨励する施策を
進める根拠にはならないと断りつつも、現段階で少なくともいくつかの提案は
できそうだと著者は述べています。下記がそのポイントです。
(1) 既に成長した大企業を誘致する施策は、もはや有効ではありません。
確かに、大企業誘致に成功すれば、即雇用創出が実現出来ますが、
その後の成長という観点では、スタート・アップ企業ほど期待は出来ません。
(2) 地方政府が自らベンチャー・キャピタルの役を担うのは適切ではなく、
むしろ政府の役割はファイナンシャル・セクターの競争を促すことです。
(かつて、日本の通産省が研究ファンドでたいした成功を上げることが
できなかったと記されています。いつ頃のどの事業を指すのか、
記述が無いので詳細はわかりませんが。)
(3) 生活の質の向上に焦点を当てた行政施策は功を奏します。
スマートで起業家精神溢れる人材を地域に引き止めるには、
豊かな生活環境は極めて重要な事項です。
(4) 地域の大学の存在は、スタート・アップ企業数と強い相関があり、
これら大学をどのように施策に取り込むかが重要です。
単に大学に対する補助金を増額すればよいわけではありませんが、
少なくとも大学自体の成長維持にはそれなりの資金が必要であることを理解するべきです。

さて、日本の場合は、都市形成のメカニズムが一極集中型であり、
欧米の分散型とは異なるので同列で比較することは出来ませんが、
少なくとも福岡のような地方拠点都市が今後の成長を果たすためには、
上記の“提案”は考慮に値するものでしょう。同時に、福岡はそれが可能な地域資源
(多数の大学、魅力的な生活環境、利便性の高い交通アクセス、等)をすでに保有しています。
今後の工夫次第で「起業家を多く輩出する都市」に変貌を遂げる可能性があります。
大学の果たすべき役割も大きいでしょう。

分野: 高田仁准教授 |スピーカー:

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