QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

過去の記事詳細

QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 「経営リスクマネジメント」 (その6)(経営リスクマネジメント/中村裕昭)

「経営リスクマネジメント」 (その6)(経営リスクマネジメント/中村裕昭)

10/04/08

前回は、経営リスクマネジメントにおける「リスク処理」
について学びました。
特に、リスクを低減しながら事業を進める方法に、
「リスクの分散」、「第3者と協力する方法」、
「とめどなく損失を垂れ流さないように期限を切る」
などの方法を紹介しました。

ここで留意いただきたいのは、
リスクマネジメントにおいては1つのリスク要因に
複数のリスク処理の方法を使って対処することが
一般的だということです。

前回の例では、新規店舗の出店というリスク要因でしたが、
同じ例で考えれば、
既存店舗の近くに出店しないという「リスク分散」に加え、
地元の商店主と共同で事業を行う「リスク結合」を行い、
更に、一定の損失が出たら撤退するという「リスク制限」などの
複数の選択肢を同時に採用することも可能です。
必要があれば全てを行うことも可能です。

大きなリスクであるほど、リスク処理を厳重に行うのが
リスクマネジメントの鉄則です。
以前申し上げた通り、リスクの大きさというのは、「経営への影響度」と
「リスク発生の可能性」というものによって測るのが一般的です。
従って、リスクが大きいほど経営のダメージが
大きくなる可能性が高まりますので、
経営者としては大きなリスクの処理を優先して、
しっかり行う必要があります。

では、小さいリスクにはどのように対応するかということですが、
お金や時間の経営資源に余裕があれば、
小さいリスクにもリスク分散やリスク制限という
何らかの処理をしておく必要があるでしょう。
しかし、経営への影響度も小さく、リスク発生の可能性も低いリスクに対しては、
貴重な時間と人とお金を割く必要は
薄いのではないかと思っています。

これまでに、「リスク要因の抽出」「リスク要因の評価(大きさ)」「リスク処理」
のプロセスについて御話しましたが、リスクマネジメントについては、
「リスク処理」で終わりではありません。

次のステップとして点検と改善というプロセスがあります。
点検は、リスク処理が有効に機能しているかを
チェックするプロセスです。
「リスク処理は色々な方法で行ったが、
リスクは思ったより大きかった」という場合も出てきます。
また「世の中が変化してリスクが大きくなってきた」という
場合もあるでしょう。
更に、時間の経過あるいは世の中の変化で、
リスクの大きさやリスク要因も変化します。
点検によって発見された改善要因というものがあれば、
改善活動を行わなければなりません。
リスク処理を強化したり、リスク評価の基準
そのものを改訂する場合もあります。
従って、一旦リスク処理まで終わったからといって
それで終わりではなく、終始見直しが必要であるといえます。

見直しのタイミングですが、1年に1回、
場合によっては半年毎とか四半期毎などの
見直しが必要になる場合もあります。
リスク要因の抽出、評価、処理、見直し、
そして必要に応じてリスクの改善を行うサイクルを、
「リスクマネジメントサイクル」といいます。
企業において、リスクマネジメントサイクルを繰り返すことで、
リスクマネジメントが次第に本物になっていき、
経営の質が向上していくと考えられています。

最近では、大手の航空会社や自動車会社でも、
ちょっと油断すると色々な問題が発生し、
大きな損失が発生するという状況が見られます。
リスクマネジメントの必要性は、中小企業でも大企業でも同じです。
従って、リスクマネジメントをよく理解して
経営にしっかりとビルトインしておくことが大切です。

リスクマネジメントの勉強方法についてですが、
リスクマネジメントに関する本を読んだり、
あるいはリスクマネジメントの授業あるいはセミナーを
受講すればそれで十分というようなことではありません。
リスクマネジメントの「方法論」は、関連書物あるいはセミナー、
授業等々で学ぶことはできます。しかし特に、
全社的なリスクマネジメントを実践活用できる
レベルにまでに高めるにはかなり広範な勉強が必要です。

リスクマネジメントの対象となるのは経営リスク要因ですが、
経営リスク要因の中には、経営戦略リスク、技術リスク、
マーケティングリスク、財務リスク、法務リスク、
人事リスクなど様々なものが対象となっています。
従って、経営全般のリスクマネジメントを理解するには、
経営リテラシー、つまり経営の基礎的知識全体を
理解していることに加えて、会社の業務そのものを
深く理解しておく必要があります。

リスクマネジメントを理解するための「方法論」に関するものは色々あります。
簡単に手に入るものは、経済産業省のホームページで、
体系的なテキストが、無料で提供されています。
一方、経営リテラシーについては、できればビジネススクールなどで
体系的に経営を学んでいただきたいと思いますが、
それが難しい場合は、ビジネススクールなどで
利用されている定評ある経営の教科書を
読み進めることをお勧めします。

分野: 中村裕昭教授 |スピーカー:

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ