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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 「経営リスクマネジメント」(その5) (経営リスクマネジメント/中村裕昭)

「経営リスクマネジメント」(その5) (経営リスクマネジメント/中村裕昭)

10/04/06

経営リスクマネジメントでは、
会社が直面する色々なリスク要因を洗い出すことから始まり、
次にリスクの大きさを評価するというステップが
あるということを御話しましたが、リスクの特定や、
リスクの大きさを判断することは、一筋縄ではいきません。
特に、リスクの大きさについては、
過大評価や過小評価が生じることを前回お話しました。
こうした誤りが発生する要因として、「社風」とか
「成功体験などの心理要因」が存在する
という点も御話したとおりです。

従って、リスクマネジメントは簡単なものではありません。
リスクマネジメントが簡単にできるのであれば、
企業倒産、不祥事、あるいは法律違反という
様々な問題が減って世の中がもっと平和になるかもしれません。
ただリスクマネジメントが難しいといって何もしなければ、
企業経営は大混乱に陥ってしまいますし、
事業の繁栄は望めないと思っています。

勿論、今の世の中、様々な不祥事や、
倒産はみられますが、大混乱というわけでもなく、
日本の企業が衰退している訳でもありません。
しかし、全ての会社でリスクマネジメントが
しっかり行われているかといえば、
その辺は意見が分かれると思います。

企業の規模の大小に関わらず多くの日本の企業では、
リスクマネジメントがビルトインされています。
例えば小さい会社でも、社長や専務などが
会社の隅々まで目を光らせて
製品の質・納期・支払い期限などに加えて
従業員の体調までしっかり見ています。
これも、人・物・金など重要な経営資源についての
リスクマネジメントといえるのではないかと思います。
また多くの大企業では、以前説明した最新の「全社的統合リスク管理」
(エンタープライズリスクマネジメントというシステム)が設置されています。
リスクとなり得る要因をその道のプロが点検して評価するシステムは
多くの企業で稼動して、問題を最小限にとどめているといえるでしょう。

そうした意味では、意識して「リスクマネジメント」とは呼ばれていなくても、
実質的なリスクマネジメントは、企業で既に行われていたともいえます。
しかし、今のままでいい会社とそうでない会社があります。
私の意見としては、会社の経営者がリスクマネジメントの
必要性と方法をしっかり理解している必要があると思います。

先ほど申し上げた通り、小さい会社は小規模ななりの
リスクマネジメントのやり方があると思いますが、
リスクマネジメントは他人事であるとか、
あるいは知らなくても大丈夫という会社があるとすれば、
そういう会社は今のままではいずれ大きな問題が
発生する可能性があるのではないかと思います。
つまり、リスクに無頓着であったり、
自信過剰な会社には問題があると言うことです。

前回までに、「リスク要因の抽出」と「リスクの評価」
についてお話しましたので、今日は、
そのリスクにどのように対応していくか説明します。
リスクマネジメントの学問では、リスクへの対応のことを、
「リスク処理」ということが多いのですが、
これにも理論的なフレームワークが既に用意されています。
まずどのようにリスク処理するかについて、
4つの選択肢を検討するのが普通です。
その4つとは、「リスク移転」、「リスク保有」、
「リスク回避」、「リスク低減」です。
わかりやすくするために、ある会社が
「新規店舗を出店する」というケースで考えてみましょう。

第一の「リスク移転」とは、第3者にリスクを転嫁することです。
普通は保険をかけて保険会社などにリスク移転することが、
リスク移転といわれています。しかし、新規店舗出店について、
火災保険はかけられますが、新規店舗が失敗した場合の
リスクは保険会社に転嫁できません
。移転できるリスクとそうでないリスクがあるということです。

第二の「リスクの保有」ですが、例えば、新規店舗出店が失敗したり
大きな損失を抱えた場合のことを考えて、
予め損出準備金などを積んでおくというようなことです。
自分でリスクを保有して、自分で自分の保険を
かけておくというイメージです。

第三の「リスクの回避」は、その言葉通り、
リスクをとらないことです。
つまり今回の新規店舗出店というリスク要因には様々な障害があり、
失敗する可能性が高いので出店しない場合をいいます。
もちろん、このような判断はあり得るでしょうが、
事業がリスクをとらないと利益は見込めませんから、
むやみにリスクの回避を行うと繁栄も望めないことになります。

最後が、「リスクの低減」ですが、
これはリスクを最小限に抑えることです。
特に、経営リスクの要因というのは、殆ど
このカテゴリーで処理されます。
リスクを回避するわけにもいかないけれども、
出来るだけリスクを低く減じながら経営する方法です。
実はこのカテゴリーには様々な方法があり、
代表的な方法は、「リスクの分散」という方法です。
新規店舗を出す際に、今までの店舗の場所とは
異なる場所に出店して、地域分散などを図るという方法です。
次に「結合」という方法があります。
新規店舗を出す際に、自社が全額負担するのではなく、
進出先の地元の商店の人と共同で出店するという方法です。
これによって資金的にも助かりますが、
地元の顧客情報などを共有することが可能になり、
自分と他者との結合になるわけです。

もう1つ代表的なものに「制限」という方法があります。
新規店舗が赤字続きになるリスクもあるわけですが、
例えば、5年以内に黒字化しなければ閉店するという
時間の制限、あるいは赤字の累積額が5千万円になったら
閉店するという金額の制限をかけるという方法があります。
これにより一定の歯止めをかけて
リスクを低減するということができるわけです。

こうしたリスクの処理方法を知っているのと
知らないのとではかなり差がつきます。

分野: 中村裕昭教授 |スピーカー:

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