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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > ストレスとその対処(1) (社会心理・組織心理/藤村まこと)

ストレスとその対処(1) (社会心理・組織心理/藤村まこと)

10/03/22

■ストレスとその対処
産業・組織心理学には、働く人の安全を研究する領域があります。
以前お話しした航空や医療等の安全に加えて、
働く人の心と身体の安全として、
ストレスやメンタルヘルスについて考えることも含まれています。
近年は、ストレス社会といわれるようになり、
ストレスという言葉が日常的に使われています。
心理学でのストレスの研究を紹介しながら、
ストレスとは何か考えていこうと思います。

もともと、ストレスという言葉は物理学用語と言われています。
まず、柔らかいボールをイメージしてください。
そのボールに手で圧力を加えると、ボールが変形しますね。
この外から加えた圧力のことを、いわゆるストレッサーといい、
その変化したボールの反応を、ストレス(反応)と言います。
それを人間や動物に持ち込んだのが、
生理学者のセリエ(ハンス・セリエ;Hans Selye])です。
物体だけではなく、人や動物に対しても
ある一定の外圧を与えると何らかの反応が生じることを示して、
胃潰瘍などストレスによって生じる緊張状態が、
人間だけでなく動物にもあることを示しました。

セリエはラットの研究をしていたのですが、
動物のストレス反応を引き起こすのは、
温度、過剰な運動、あるいは化学物質など
心理的なストレッサ―だけではないことを示しています。
また、ストレス反応は環境に適応していこうとする
ポジティブな適応反応でもあるので、
有害なストレスももちろんあるけれども、
有益なストレスもあると言っています。

適度なストレッサーとストレス反応であれば、
その個体が成長し、強くなっていく状況が作り出せますが、
あまりにも過剰なストレッサーが与えられると
生命の危機を脅かす状態に陥ることもあります。


■心理的なストレス
また、子どもで考えると、
試験がストレスだと思う子と全然平気という子がいます。
つまり同じ出来事(試験)をストレスに感じる人とそうでない人がいる。
なぜそういうことが生じるのだろうかという研究をし、
心理的ストレスのモデルを示したラザルスによると、
人はストレスが発生するまでに出来事に対して
2つの評価をすると言われています。
その2つの評価の仕方が、同じ出来事を
ストレスと感じるかどうかの違いをもたらすと示したわけです。

まず一つ目の評価とは、
出来事が自分にとって脅威かどうかです。
先の例であれば、試験は自分にとって大事かどうか。
そこで自分にとってこれは大事でない、
脅威はないと思えれば、ストレス反応は生じません。
一方、試験は自分にとって大事だと思えた時、
2つ目の評価がなされます。

二つ目の評価とは、
その出来事に対して、自分が対処できるかどうかの判断です。
大事な試験があるけど、自分は上手くやれるかどうか。
「大丈夫、対処できる」と思えたら、ストレス反応はあまり生じません。
けれども、自分はうまく対処できないかもと思うと、
緊張状態やあるいは別のストレス反応が生じてくるといわれています。

ラザルスは、
ふたつめの評価である「自分で対処できるかどうか」の判断と
実際の対処行動がストレス反応の理解や減少にとって
重要なカギであると言っています。
このことについては、次回お話しようと思います。

■職場でのストレスの源(ストレッサ―)
では、職場にはどんなストレス源があるのでしょうか。
Cooper & Marshall(1976)は
「職務ストレスモデル」において、
職場のストレッサ―を5つに分けています。

1)仕事そのもの
仕事の量が多い、時間的なプレッシャー、
物理的な危険な状況な仕事など。

2)組織における役割
また、組織の中での自分の役割が曖昧であったり、
複数の役割間であいいれない価値感を背負うような役割葛藤、
などもストレスを生じさせます。

3)キャリア発達
最近ではキャリア発達に関するストレスもあると言われています。
自分は今この職場にいるけど、
いつ自分の立場が危うくなるか分からないといった
職務永続権の不足や昇進可能性の有無。

4)仕事における人間関係
部下や上司、同僚との人間関係がうまくいかないとき、
それもストレスの原因となりますね。

5)組織構造や風土
また、組織の意思決定のルール、職場のポリシーなど
仕事でも人間関係でもない、組織構造も
ストレスの一因となります。


■職場でのストレスを減らすために
また、仕事をする中で、
本当は自分で判断したいけれども、
自分に権限がないから判断できない、ということがありますね。
このようや状況で、
仕事の量や質も多く、個人の裁量権が少ないとき、
ストレス反応が生じやすくなると言われています。

それは、Karasek(1979)の「欲求-コントロールモデル」と呼ばれ、
求められる仕事の質と量(職務の要求)と
裁量範囲(コントロール可能な権限や能力)のバランスが
ストレス反応につながるとしています。

仕事の量や質はなかなか変えれないと思いますが、
仕事での裁量権である自律性やコントロール感を
提供することでストレスを減らすことができるとすれば、
解決策のひとつとして試してみると良いかもしれないですね。

最後に1つ付け加えるなら、
心理的ストレスでは、同じ出来事でも
ストレスになる人とならない人がいます。
同じ質と量の仕事であっても、
ストレスになる人とならない人がいますね。
ストレスと感じずに、仕事に取り組む1つの方法としては、
これが自分にとって将来につながるという見通し、
「キャリア・パースペクティブ」があるとよいとも言われています。
仕事で壁に当たっても、
これを乗り越えればもっと上にいける、
自分が欲しいと思っているものを手に入れられると思えれば、
仕事で感じるストレスを少なくして、前向きに取り組めるのかもしれません。

分野: 藤村まこと講師 |スピーカー:

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