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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 経済活動を支える海上輸送①(国際ロジスティクス・国際経営/星野 裕志)

経済活動を支える海上輸送①(国際ロジスティクス・国際経営/星野 裕志)

10/02/23

■国際輸送の多くは、海上輸送

日本の経済活動を支える国際輸送を考えると、
金額では輸出入貨物の3割弱が航空機で輸送されているものの、
重量ベースでは99.7パーセントが船舶によって輸送されています。
家電品や半導体などの付加価値の高い製品の多くは、航空輸送が
一般的ですが、石油や天然ガスなどの天然資源や穀物などの輸送は、
当然船舶ではないと輸送できないということです。
航空輸送の発達や大型機の開発によっても、依然として国際貿易の手段は、
あくまでも船舶であり続けることは、この先も変わらないでしょう。
遠距離を大量輸送することによって、貨物の単位あたりの
運賃が非常に低いことが、船舶による海上輸送の特徴です。


■貨物船の種類

経済活動を支える海上輸送に利用される代表的な貨物船には、
ばら積み船とコンテナ船があります。
世界の船舶のうち約35パーセントがばら積み船、
16パーセントがコンテナ船ですから、この2種類の船舶だけで、
全体の約半分を占めることになります。
ばら積み船というのは、1つの貨物を
大量輸送する目的で作られた貨物船のことです。

漁船や客船や軍艦などを除くいわゆる貨物船は、
大きく定期船と不定期船に分けられます。
まず定期船とは、決められた港と港の間に結ばれた航路の間を
公表された定期的なスケジュールに基づいて運航されます。
運賃は公示されており、特別な荷主との協定を除けば、
誰でも同じ運賃で貨物が輸送されることになります。


■定期船と不定期船

1960年代にコンテナ輸送が世界の主要航路で導入されて以来、
定期船による貨物輸送のほとんどはコンテナ船によるものです。
定期航路にコンテナ船が使われない例外があるとすれば、
開発途上国でコンテナを揚げ積みするクレーンなどのインフラが
陸上で整備されていない港に在来型の貨物船を運航する場合か、
陸上輸送との連携を目的として、フェリータイプの船舶(RORO船)が
運航されるケースです。それくらい定期輸送には、
コンテナ船による輸送が一般化しているといえます。

それに対して、不定期船とは、荷主の要望により特定の
港と港の間を運航して、依頼された貨物を輸送することになります。
例えば、電力会社との契約に基づいて、オーストラリアの港から
火力発電所に隣接する港まで石炭を輸送したり、
日本の鉄鋼メーカーとの契約に従って、ブラジルから製鉄所付近の港まで
鉄鉱石を輸送することなどが、不定期船の輸送です。
輸送の区間も、時期も、輸送する貨物や量も異なるこの輸送の運賃は、
荷主と船会社の交渉で決まります。


■不定期船の特徴

これらの輸送には、5万重量トン以下の小型のハンディサイズ、
幅が32.2メートルのパナマ運河(航路として頻繁に使われる)を
通行できる最大サイズという意味のパナマックス、
10万重量トン以上のケープサイズという船舶の積載量によって
大きく3つに区分されたばら積み貨物船が利用されます。
輸送量によって、適切なサイズの船舶が荷主によってチャーターされます。

それぞれの性格から、定期船は路線バスに、不定期船は観光バスに
例えられますが、輸送の区間、輸送の対象、運賃とスケジュールの
有無を考えると、ちょうど両者は同じような関係といえます。

不定期船による輸送の運賃は、船舶と貨物の
需要・供給量によって、大きく変動します。
1隻のばら積み船をチャーターする運賃が、契約のタイミングで
1年のうちに4-5倍程度も上下することも珍しくありません。
世界の荷動きは、長期的、中期的、短期的な要因で、大きく変化するからです。
長期的にはエネルギーの転換や経済構造の変化が考えられますし、
中期的には先進国をはじめとする景気循環や戦争や紛争が
大きく影響しますし、短期的には季節的な要因が大きいといえます。
季節的な要因とは、冬場のエネルギーの消費の増加に伴う
石炭や石油の輸送量やその年の穀物の収穫量などです。


■中国がひきおこしている海上輸送運賃の高騰

最近は、中国関連の輸送需要の拡大が、
ばら積み船の運賃の高騰を招いています。
船舶の輸送については、1トンあたりの貨物を
1マイル運ぶことで、トンマイルと言う指標が使われます。
2009年の中国の鉄鉱石の輸入量は、前年から1億8千万トンも
増加して6億2千万トンでしたし、それらの多くがブラジルから
長距離を輸入されるとなると、その増加分と距離を掛け合わせた
トンマイルの需要は非常に大きくなります。
そのように、船舶の需要が増えることで、供給量を上回ると、
まさにその需給関係から運賃が高騰することになります。

分野: 星野裕志教授 |スピーカー:

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