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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 普天間基地問題 (財務戦略/村藤 功)

普天間基地問題 (財務戦略/村藤 功)

10/02/12

今日は、鳩山政権の抱える難題といえる普天間飛行場の問題についてお話しします。


■移転問題の発端
この移転問題に関して、鳩山総理は今のところ2010年5月位までには何とか決めたいとしています。
アメリカからすると「決まったはずなのに、一体何事だ」といったところでしょうが、
そもそも移転問題の発端は1995年の沖縄のアメリカ兵による少女暴行事件にあります。
この事件をきっかけとして当時の橋本首相が翌96年から交渉を始め、
10年の交渉を経て2006年にようやく合意しました。

ところが、鳩山首相は従来普天間基地の県外移転を主張してきました。
既に日米間で合意していたことですが、政権が自民党から民主党へと交替したために、
色々な意見が噴出しているというところです。
この基地問題は、日本は自力で自国を守るのか、
それともアメリカに守ってもらわなければならないのか、という大変哲学的な問題を含んでいます。

もともと日米安全保障条約は「日米両国でお互いを守る」という双務契約ではなく、
「日本はアメリカを守らないけれど、アメリカは日本を守って下さい」という片務契約です。

そのため沖縄に米軍基地が集中していることを理由に、
日本がアメリカに基地を提供しない場合には、
アメリカは日本を防衛してくれなくなる可能性があります。


■普天間以外の選択肢
グアムへの移転も1つの選択肢です。

日本人がアメリカに頼らずに自力で防衛するということであれば、
日本国内に米軍基地を置く必要はありません。

そのように決めるのであれば、それはそれで1つの選択肢だといえますが、
民主党はそのようには考えていません。

「アメリカには日本から出ていってもらった上で、日本を守ってもらう」、これが民主党の考えです。

アメリカに日本の防衛をお願いするということと、
日本に基地を作らせないということは矛盾しているといえます。
現在、アメリカの陸海空軍と海兵隊を合わせると、日本に3万人以上アメリカ軍が駐留しています。
そのうち半分以上が沖縄に駐留しており、基地や関連施設は7割以上が沖縄にあります。
その意味では、日本のために沖縄に基地が置かれており、
日本のための負担が沖縄に集中しているという沖縄にとっては不公平なことになっています。

アメリカは昨年12月に、沖縄の負担を軽減するために、
沖縄の海兵隊訓練をキャンプ富士のある静岡県御殿場市に一部移転する案を提示しました。
ところが、御殿場はこれに対して反発しています。
沖縄に対する同情はありますが、「じゃあうちにどうぞ」とは誰も言わないため、
基地の引き受け先は容易に見つかりそうにありません。


■鳩山連立内閣の考え方
この移設問題について、岡田外務大臣は嘉手納基地への統合案でいけるとみていた節があります。
嘉手納基地には高速のF15戦闘機があり、一方普天間には低速の大型ヘリがあります。

この両者を同時に管制することは難しいということで、
アメリカは当初からその案は候補から外していました。
そのため、岡田外務大臣も結局この統合案を断念せざるを得ませんでした。

鳩山政権と連立を組んでいる社民党はグアム移転を主張しています。
社民党の福島党首は「普天間を県外移転できなければ重大決意をする」と発言しています。
重大決意とは連立離脱だと解釈されています。
民主党は社民党抜きでは参議院で多数を握れず、法案の採決で不都合が出てきます。
そのため、鳩山首相も驚いて、「連立は重要だ」ということで、
この問題の決着を先送りにしたという状況です。

この問題先送りはアメリカ国内では「ノーデシジョンはデシジョンではない」と反感を買っています。


■米軍再編
東西冷戦も終わり、世界が自由主義側と共産主義側に分かれて、
戦っているという状況は既に終わっています。
そのため、アメリカは米軍再編(GPR: Global Defense Posture Review)に着手し、
その一環としてアメリカ国外の兵力を削減しようという動きに入っています。

具体的には、ヨーロッパやアジアに、駐留している20数万人の内、
約3分の1にあたる6-7万人を約10年で削減・再編していくことになっています。

日本政府は、GPRを在日米軍削減の好機とみて、様々な交渉をアメリカと始めました。
しかし、その本質的な問題である、そもそも日本が自分で自分のことを守るのか、
それともアメリカに守ってもらうのか、この部分をはっきりとしていないため、
交渉自体が中途半端になってしまっています。


■日本の防衛
北朝鮮は衛星の試験だということでミサイルの訓練をしています。
日本中、ミサイルがどこに落ちてもおかしくないといえますが、
首都の東京や北朝鮮から一番近い福岡はミサイルの標的になりやすいといえます。

他にも中国軍は軍備を毎年増強していますから、
朝鮮や東シナ海で有事が起こった際に、即応できなくなる可能性が高いといえます。

このような場合に、アメリカに守ってもらえばすむ話なのか、
それともアメリカが守ってくれる、くれないに関わらず、
とりあえず自力で守らなければならないのか、よく考えなければなりません。

日本の防衛費は現在、4兆7千億円で対GDP比の1%もありません。
もう少し防衛費を増やさなければ、自力で日本を守ることは出来ないでしょう。

実のところ、普天間の移設問題について選択肢は多くありません。
国外案であったグアム移転も難しいと考えられています。
また嘉手納は設備の関係上、移転は困難です。
新しく名前の挙がっている他の国内候補は議論が十分とはいえません。
フィージビリティや周辺環境に与える影響もきちんと調査しておかなければなりません。

そうそう簡単に解決案の見つかる問題ではないといえるでしょう。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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