QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

過去の記事詳細

QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 新興国中間層向け製品戦略 (国際企業戦略論/永池 克明)

新興国中間層向け製品戦略 (国際企業戦略論/永池 克明)

10/02/11

前回、これから日本の経済を牽引していくのはアジアだとお話ししました。
その中でも、アジアの富裕層から中間層(ボリュームゾーン)が購買の主役になるとみられます。

今日は、その中間層に向けてどのように商品を売っていくのか、ということについてお話しします。


■新興国市場向けモデルの投入
中間層の購買部分が急速に伸びているということもあり、
日本企業は既に新興国市場向けの専用モデルの開発・販売を加速しつつあります。
この専用モデルは広範囲にわたっており、機械から生産財、生活用品にまで拡大しつつあります。
低価格であることに加えて、現地の商習慣を反映するアジア仕様にすることで、
アジアのニーズに応えて中間層需要を取り込む、ということを狙っているわけです。

しかし、これまで1つの基準によって日本で全部作っていたものを、
現地で設計し、設計思想も現地で、材料も現地の素材を使う、
という風に各国の事情にあわせて商品を展開していくと、その分コストがかかります。
通常ならば、ものづくりのコンセプトを完全に変えるということがないと、中々出来ないことではあります。

例えば東芝はネットブックを、海外で販売する際には日本で売られているものよりも機能を落として、
台湾のOEMメーカーに委託した上で、現地の人でも十分に満足できるように努力しています。
キャノンも中国で現地の商習慣も考慮(紙の質など)した低価格の複写機を生産し投入しています。
また、セイコーエプソンも、プリンターで価格は高めではあるものの、
インクを4割程度安くした中国専用機を投入しています。

中国の中間層にとっては、現地メーカーの製品の方が価格では安くなっていますが、
日本企業の製品は若干価格が高いものの高品質で高性能ということで、結構人気があるといえます。

パナソニックも現地仕様の白物家電を開発・販売する計画をたてています。
浙江省杭州市にある洗濯機工場で開発中の全自動洗濯機は、
普及価格帯の約1千元(約13400円)は今年2月の春節に向けて売り出される予定です。

現地の内陸部の農村地域にも通用するように、購買層を広げる形での製品戦略を練っているようです。


■現地企業との競争
そうなると、現地企業とどのように競合していくか、ということを考えなければなりません。

中国には多くの強敵がいます。その代表格が総合家電メーカーのハイアール集団です。
特にこのメーカーは白物家電に強みを持っています。
中国でのシェアは、洗濯機が34%、冷蔵庫がトップの27%に達しています。
加えて、韓国のサムスンやLG電子、台湾メーカーも既に先行しており、
いかにこの中で勝ち残っていくのか、それが1つの鍵になります。

私は、この点は慎重に考える必要があると思います。
日本企業が新興国市場重視というのはよく分かりますが、そこで日本企業が、
低価格・低品質で真正面から現地企業と競合するとなると、不毛な価格戦争になってしまいます。
その結果、値下げ競争に巻き込まれ収益ゼロという事態に陥るかもしれません。
逆に高品質・高価格にシフトしたとしても、それでは通用しません。
この割り切りに対して、どういう形でバランスをとるかということは、こ
れから非常に難しい選択になると思います。

結局は、低価格・低品質か高価格・高品質か、という二者択一で考えるのではなく、
新しいコンセプトを創造しながら、新しい日本特有の高品質・高ブランドで、
価格もそれ程高くない製品をタイムリーに出していく、そういうことが非常に重要であると思います。


■アジアのニーズと日本の強み
一方で、アジアの人たちのニーズは近い国でありながらなかなか読めないという面もあります。
例えば、日本は携帯電話をアジア市場に投入した時に、
あまりにも高機能過ぎて駄目だったということもあります。
しかし、今では中間層の生活水準が上がってきたことによって、
日本の高機能携帯が再び認められつつあります。
長期的にはおそらくそういった人たちが、潜在的に、
高品質・高価格・高ブランドとしての日本製品を欲しているといえます。

ただ、今の段階では、日本企業は競争的な価格戦略のもとに、
価格を安くしていかなければならないだろうと思います。

日本の場合は、こういったハードウェア以外でも、
サービスやソフトウェアといったようなもので強みがあります。
例えば、ポップカルチャーやアニメ、漫画、その他にも日本産の新鮮な野菜や果物だとか、
ファッション、カジュアルファッションに若者ファッション、
こういったものが、アジアの中間層から高い人気を獲得しています。

日本企業はお茶やコーヒーは温かい飲み物という習慣のあったアジアの人たちに対して、
ペットボトルで冷たいコーヒーや午後の紅茶を売り込むことで彼らの生活様式変えました。
このように非常に斬新な発想に基づいて商品を投入することによって、
おそらく日本製品は、中間層の購買をかなり掘り起こしていけるのではないかと思います。

現地の習慣に合わせるだけではなく、こちらからも提案をする、
こういう新しいコンセプトを盛り込んだ上で、
アジアの人たちのニーズに合ったものを投入していくということです。

レッド・オーシャン戦略ではなく誰もいない市場に一番乗りで入っていくブルー・オーシャン戦略で、
創業者利得を上げる、このような戦略が展開できれば理想的だといえます。

分野: 永池克明教授 |スピーカー:

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ