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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 事業仕分け (財務戦略/村藤 功)

事業仕分け (財務戦略/村藤 功)

10/02/05

私は去年、政府の事業仕分けに仕分け人として参加しました。
今日はその事業仕分けについてお話しします。


■ワーキンググループの人選
国民の皆さんの注目を集めた事業仕分けですが、
作業は3つのワーキンググループ(WG)に分かれて行われました。
1つのWGは2-3名の民主党国会議員と、20-30人の仕分け人から構成されています。
私は第2WGに配属され、厚生労働省と外務省、経済産業省の仕分けを担当しました。

人選に関しては色々なことが言われていますが、大体その分野の専門家が入っています。
例えば、今回話題になったスパコンも、スパコンの専門家がWGに入っていたのです。

事業仕分けは、テレビで見ると民主党が思いついたもののように見えますが、実はそうではありません。
事業仕分けは、自民党政権の頃から行われていました。
構想日本の加藤氏が自治体の人たちを連れて、
他の自治体に行って、事業仕分けをしたのがそもそもの始まりで、
それを受けて中央省庁も自民党の下で事業仕分けをはじめていました。
仕分け人も行政刷新会議事務局長に任命された加藤氏が内閣府と協力して選考しており、
民主党が連れて来たわけではありません。
そのため、今回仕分け人に選ばれた人は、加藤氏の繋がりで呼ばれた人たちが大多数だといえます。
民主党から各省の副大臣、政務官等になっている議員は、
「私の認めた予算を切られた」と言って怒っている人たちが多いくらいです。

また、事業仕分けの結果は、法的な効力を持っていません。
あくまでもWGで仕分けしただけであり、その結果が行政刷新会議、閣議で承認され、
その後に閣僚折衝をはじめとする政治プロセスに乗ることになります。
更にそれを予算に反映させて国会でどうするか、という話ですから、
最初に仕分けした結果が全てというわけではありません。


■厚生労働省の事業仕分け
私は、厚生労働省、外務省、経済産業省と3つの省の仕分けを行いましたが、
厚生労働省の事業には、その目的や内容は立派なものがたくさんありました。
しかし、それを基金や財団を通じて行っており、財団や基金を通さずとも、
運営できるものが多かったということも事実です。
財団は厚生労働省のお役人の天下り先となっており、
実際には予算の3分の2しか事業に使っておらず、
残りの3分の1は天下り役人の給料になっていた、というケースがたくさんあります。

介護施設だとかそういうところでは、年収150万円位で泣きながら働いている現場の人たちがいます。
その一方で、財団は1500万円とか2000万円という額を、
何もしていないようにも見える天下り役人に給料として支払っています。

特に子供未来財団や福祉医療機構は基金を持っていました。
子供未来財団の事業や福祉医療機構の事業そのものが問題だったわけではありません。

子供未来財団には300億円の基金がありましたが、基金で活動することによって、
一般会計の査定を減る必要がなくなります。
仕分けの結果「子供未来財団を通じてやらなくてもいいでしょう」ということで、
基金を取り上げて、同じ事業を毎年一般会計の査定を経てやることになりました。

また、福祉医療機構も子育てや長寿、高齢者、障害者のために活動しており、
目的や事業内容がそんなに悪いというわけではありません。
なぜ一般会計の予算をつけずに2800億円の基金を使って活動しているのか、
ということが問題だったわけです。
結局、基金を一度国に返して、一般会計から事業を行うことにしました。

このように「この財団を通じて事業をやる必要があるのか」ということで、基金を一旦政府に返還させて、
毎年一般会計の査定を経て出すことになった例が実はいくつもあります。

このように続々と出てくる財団・基金をプチプチと潰していったというのが、
我々が厚生労働省でやっていたことです。

「子供未来財団から300億円取り上げた」とか「福祉医療機構から2800億円取り上げた」と聞くと、
「仕分けした人たちが子供の未来に反することをした」「福祉を蔑ろにしている」と、
皆さん誤解されますが、そうではありません。
余計なものが中間に入って非効率なことになっていたので止めさせた、というところでしょうか。


■外務省の事業仕分け
外務省は金銭感覚がお公家さんのようでした。

「金のことは我々はやらない」ということで、必要な金額を交渉してから予算を獲得するのでなく、
最大の予算を獲得しておいてそのまま使うというパターンが多くありました。

例えば、今年の11月に横浜でAPEC首脳会議を開催することになっています。
これ自体は非常に重要な会議ですが、問題はそれを一体いくらかけてやるのか、ということです。
APECに関する概算要求は外務省分で約120億円でしたが、色々聞いてみると、
メディア・新聞記者に文房具を配布する、朝昼晩に無料のビュッフェを提供する、というものもありました。

そもそも、メディア関係者はノートと鉛筆くらい持って来るでしょうし、
無料のビュッフェでなくとも横浜の中華街に食べに行けばすむ話です。

また、偉い人が来たら100万円のホテルのスイートを手配すると言っていました。
一番いい部屋でも最近は稼働率が落ちているため、横浜のホテルのスイートならば、
15万とか20万位で借りられるはずです。

そこで「交渉してみたんですか」と質問したところ、
「100万の予算とったら交渉します」という答えが返ってきました。
先に出来るだけ高い予算を確保しておけば、交渉せずとも、
相手の言い値を支払えばいいだけですから役人としては苦労せずにすみます。

我々は予算の20%削減をお願いしたのですが、
「分かりました。じゃあ、それで交渉してきます」という話ですから、
それが出来るなら最初からやれという話です。


■経済産業省の事業仕分け
また、経済産業省では、事業が業界と密接に関連しており、一般企業も多く関わっています。

大企業との関係では、大企業の研究開発(R&D)について、
自社でやるべきものに対しても政府が結構な額を払っていることが分かりました。

また、日本企業のほとんどは中小企業ですが、中小企業を守るための事業が多くありました。
しかしこれら事業の中にも、変なものが色々とあります。

例えば、独立行政法人の中小企業基盤整備機構は、
会計が一般会計と共済会計の2つに分かれていました。

中小企業のための共済会計、これは運用利回りの予定が、
1%位にもかかわらず何千億円も損を出しています。

1%程度の利回り目標であれば、リスクをとる必要のない国債を運用すればすむ話です。

なぜ、そんなに損が出ているのかという疑問が出てきます。
しかも、この政府から機構の一般会計へ1兆円出資され、共済会計から一般会計に対して、
先取特権が法律上付いているというような話も明らかになりました。

なぜ、法律で中小企業を守るために一般会計に先取特権が1兆円も付いているのか不思議です。
国民のほとんどは先取特権の存在を全く知らなかったと思います。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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