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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > サスティナビリティ(イノベーションマネジメント/朱頴)

サスティナビリティ(イノベーションマネジメント/朱頴)

10/02/03

今日のキーワードは、サスティナビリティという言葉で、
最近では、持続可能な発展とよく言われようなる時代になった。
利益が上がれば、その時を心地良く過ごせればという考えだったが、
経済活動でも、サスティナブルということを考えなくてはいけなくなってきた。
実は、このサスティナビリティの1つの大きな背景として、
環境問題が非常に複雑になりつつあるという1つの現実が存在している。


■環境汚染の源泉

80年代後半からの経済的活動並びに消費者行動が
多種多様化することにより、環境悪化の発生源は限定しにくくなった。
環境汚染の源泉(ソース)そのものは、個々の企業によるものではなく、
多種多様な「経済的活動及び消費者行動に依存している」
との場面が多くなった。
環境問題や公害問題は、企業が悪い、
というような時代とは大分違ってきている。
特に、地球温暖化のようなスケールの大きい問題に直面する場合、
様々なステークホルダーが関わっており、問題解決に伴う不確実性と
複雑性に対処していかなければならないのである。


■持続可能な発展

こうした地球規模の環境問題に対する社会的な関心が高まる中で、
持続可能な発展(sustainable development)のコンセプトは注目されている。
その実現には企業セクターが寄与する割合は大きいと思われる。
持続可能な発展とは、現代の世代が、将来の世代の利益や要求を
充足する能力を損なわない範囲内で、環境を利用する理念である
(WCED,1987)と定義されている。

この定義は、非常にくどい言い方で、なかなかピンとこないが、
後世のことも考えて、消費活動や企業活動を考えないといけない
というような意味が含まれている。
この概念は社会的通念として多様な場面で取り上げられているが、
その定義については必ずしも統一したものはないというのは現状である。
特に、企業の持続可能な発展という概念は、
アカデミックな世界でも実践的な世界でもより多く使われているが、
その定義についてはかなりばらつきが見られており、
企業の持続可能的な発展を「企業の社会的責任論」
として限定する傾向がある。
これに対して、近年の議論としては、組織が持続可能なシステムとして
成立するためには、まず、企業レベルにおいて持続可能な発展を
維持するような能力構築が必要であるという議論がでてきている。


■ビジネスモデルの再構築が必要

上述のように、企業はこうした持続可能な発展に対して
大きく寄与していることから、ビジネス活動にサスティナブルな原則を
織り込むようなビジネスモデルの再構築が必要とされている。
現段階では、企業はいかにサスティナビリティを実現するのか、
そのビジネスモデルの再構築については、
まだ十分に議論されてはいない。
特定の持続可能な発展に関する企業行動は、
従来の戦略的行動とのバランスが必要とされ、
競合他社との競争にいかにしたら勝てるのかとの観点が当然必要である。
したがって、こうした持続可能な成長戦略も、企業によって
他の企業との間に何らかの差別化戦略となることが期待される。

環境と経済の両立を図るようなイノベーションを起こすため、
どのような政策と企業対応が求められるのか、
この問題について、多くの議論が重ねてきた。
最も有名なのは、経営学者のマイケル・ポーターが唱えた仮説で、
「適正にデザインされた環境規制は、企業の技術革新を誘発し、
企業の競争力を高める」というものである。
これに対して、経済学者の間でいろいろ議論があって、
環境規制が長期的に企業の生産性と競争力向上に
どの程度寄与しているのか、について、
必ずしも統一した見解がないのが現状である。

■社会レベルでのサスティナビリティの実現

また、社会レベルのサスティナビリティの問題について、
多様なステークホルダーが関連していることから、
複雑でしかも不確実性の高い世界になる。
これに対して、ネットワークの観点からのアプローチが
有効であると思われる。
すなわち、単一組織ではなかなか問題解決ができず、
多様な組織間の協業が必要である。
社会レベルでのサスティナビリティの実現は、少なくとも、
政府、消費者、そして企業の三者が関わっている。
政府の役割とは、従来の環境問題に対処するために
適正な対策を実行すると同時に、持続発展可能な経済政策を
構築しなければならないのである。
そして消費者の役割とは、賢く消費するための
意欲をもたなければならない。
さらに、企業は、環境負荷を減少するように自発的な努力が求められ、
こうした努力のなかから、コストの削減効果、潜在的市場の開拓、
競争における先行者優位の獲得などである。
システムレベルでのサスティナビリティの実現において、
こうした多様なセクター(政府、企業、消費者)を
巻き込んだネットワークの構築は、必要不可欠である。

分野: 朱穎准教授 |スピーカー:

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