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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 民主党下の郵政改革 (財務戦略/村藤 功)

民主党下の郵政改革 (財務戦略/村藤 功)

10/01/15

民主党は政権獲得後、社長交代というところから郵政改革に着手しました。
今日は、民主党政権の下での郵政改革についてお話します。


■政権交代による新人事
2009年10月20日に日本郵政の社長を辞任することを西川氏は表明しました。
政権与党が自民党から民主党に変わったことがこの原因となっています。

亀井金融・郵政担当大臣が郵政民営化を逆行させようと騒ぐだけでなく、
鳩山総理や原口総務大臣まで辞めろというふうに取り囲まれては、
西川さんも辞めざるをえなかったのでしょう。

そして、西川氏の後任人事もまた問題となっています。
亀井大臣は西川氏の後任に、元大蔵次官の斎藤次郎氏を任命しました。
通常ならば、日本郵政の指名委員会で指名を得て株主総会で決議する、という手続をふみます。

しかし、亀井大臣や民主党が西川氏を辞めさせるという話を聞いて、
指名委員会の構成委員5人のうち、トヨタの奥田氏を除く4人が退任してしまいました。
その結果、指名委員会を開くことができず、臨時株主総会で政府が株主提案をして、
斉藤氏を就任させたという形です。


■斉藤新社長の経歴
斉藤氏は、93年から2年間、大蔵次官を勤めました。
そのため、斉藤氏に対しては、天下りだという声もあります。

2000年には東京金融先物取引所(現在の東京金融取引所)の理事長に就任し、
2004年に社長となりました。

斉藤氏は大蔵省主計局長の頃に「国際貢献税構想」を、
大蔵次官時には消費税を3%から7%に上げる「国民福祉税構想」を小沢氏とともに打ち出しています。

そのため、斉藤氏と小沢氏は長期にわたって親しくしているといわれています。
この両者の関係を知った上で、亀井大臣が自信を持って、
斉藤氏を新社長に推したのではないかという噂がささやかれている位です。


■民主党マニフェストと「郵政改革」
さて、民主党の下での郵政改革ですが、
衆院選のマニュフェストではどのようにうたっていたのか、ちょっと確認しておきましょう。

もともと国民新党や社民党と協議して、
「地域社会を活性化することを目的に、郵政事業の抜本的な見直しに取り組む」とし、
「『郵政事業の4分社化』を見直し」「郵政三事業の一体的サービス提供を保障するとともに、
株式保有を含む郵政会社のあり方を検討」と明記しています。
しかし、その「中身」が一体どういうことなのかというのはよく分かりませんでした。
選挙後は、どんどん逆行する方向に動いており、
特に声が一番大きいのが鳩山総理から郵政・金融担当大臣に任命された亀井氏です。

亀井氏は郵政民営化に反対して自民党を辞めていますから、
それを元に戻そうと色々なことをしているわけです。
そもそも大騒ぎして郵政民営化しましたが、
それを全部ひっくり返して元に戻すということで、また大騒ぎになっています。


■行政サービス拠点としての郵便局
では、今後の政府の方針は、どのようになるのでしょうか。

一番重要なことは、民主党が郵便局を行政サービスの拠点として使おうとしていることです。
もともと、民営化ということで郵便局を政府の外に出すという話でしたが、
今度は行政サービスの拠点として全国の郵便局を使おうしているのです。

これに加えて、高速道路の無料化を言い出した山崎養世氏が、
郵便局に郵貯、簡保だけではなく年金も扱わせたらどうかというような案も出しています。

また、年金記録というのがありますが、いくら納めていくらもらえるのかさっぱり分からない、
いうことで「年金通帳」を作ろうという話が出てきています。
「年金手帳」を郵便局のATMに差し込むと、年金の加入期間や保険料の納付額、
もらえる年金などが確認できるという仕組みです。
これを受けて、厚生労働省は年金通帳導入を2010年度の概算要求に盛り込んでいます。


■郵便局と財政投融資
この「年金手帳」は便利なような感じもしますが、
年金を郵政に取り込むことは郵政民営化の経緯と逆行するものです。

そもそも、郵政民営化の背景には財政投融資の存在があります。
かつては、通常の80兆とか最近では100兆といわれている一般会計の予算の他に、
特別会計や財政投融資の500兆円の枠組みがありました。
国民から集められた郵貯250兆、簡保100兆、年金150兆、
合わせて500兆の資金が財政投融資に提供されていたのです。

財政投融資は大蔵省理財局の管轄する資金運用部経由で、公営事業、公的金融機関、
自治体等に資金を提供し、多くの公営事業、公的金融サービスを提供してきました。
これがバブル崩壊後の政府の肥大化を生み、中央政府の大きな債務超過を生みだしました。
小さな政府を作るためには、お金の元を断つ必要があるということで、
郵政を民営化しようというのが郵政民営化のそもそもの始まりです。

また、資金運用部も2001年度に廃止され、財政投融資の資金も、
2001年度から2007年度にかけて郵政公社や郵貯銀行に返済されました。
この7年間は返済されるお金を原資に日本郵政が、国債を購入していました。

ところが、資金運用部からの返済も終わったため国債を購入する元手がなくなってしまい、
これから国債を一体誰が買うのか、ということが一つの問題となっています。


■迷走する郵政民営化
しかし、来年度の予算のためには国債を発行しないといけません。
ここで財政投融資、あるいは郵政のお金が動いて国債を買ってくれると話が円滑に進みます。
そのため、元々「けしからん」ということで止めた話ではありますが、
この500兆円をまた官で使おうという、これまでとは逆行する「けしからん」話が出てきています。
そうなると、振り回されるのは国民ということになります。

小泉さんだ、郵政民営化だ、改革だ、という流れが、
最近は何が何やらよく分からなくなってきています。
そういう意味では、これからどの方向に政府のあり方が進んでいくのか気になります。

亀井さんは郵政改革基本法案を今年の通常国会ですぐに提出して、通過させようと考えています。
しかし、国民の目から見れば、亀井さんは財政投融資改革に対する抵抗勢力の筆頭です。

そのような人が「郵政改革」を主導するということは、私としては心配です。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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