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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 日航再建と羽田のハブ化(財務戦略/村藤功)

日航再建と羽田のハブ化(財務戦略/村藤功)

10/01/08

■日本航空の現状
日本航空の再建問題について、
以前にもアメリカがGMなら、
日本はJALというぐらい、
大変な状況だとお話しさせて頂きました。
これがどんどん泥沼化してきていまして、
このままではJALが消滅してしまうのでは、
という声も聞かれ始めています。
日本の空の約6割がJALだ、
と言われている現在、
JALが無くなってしまうと非常に困ります。
今回の騒動でJALのイメージも、
大きく傷ついてしまっています。

JALは11月中にも運転資金が、
不足しそうになり、数千億円がないと、
お手上げとなったのです。
このため国土交通省や政府にお願いされて、
政策投資銀行が緊急のつなぎ融資をする、
ということになりました。
しかし政策投資銀行としては大心配です。
政策投資銀行としては民営化する、
と言っていたのに民営化しなくなり、
しかも政府の良いように、
使われてしまうことになっています。
JALのために融資を行っても、
返済されなければ困るということで、
政府は返済を保証する仕組みを作る、
とほのめかしました。
しかし今年度の第2次補正にその政府保証は、
入らなかったのです。
それでは、来年度の予算にも入らないのではないか、
と言われており、政策投資銀行としては、
非常に心配していると思います。
結果的に資金を出すだけ、
先に出させられてしまった形です。

JALが11月までに、
準備しなければならなかったお金とは、
通常の業務に必要なお金でした。
JALは融資によって得た資金で、
従業員に給料を払ったり、
飛行機の維持に使われたり、
ガソリン代を払ったりしています。
運転資金がないと倒産してしまうのは、
アメリカのGMと同様です。
放置しておくと倒産してしまうため、
泥沼の経営状態の中資金をつぎ込んでいる状況です。
しかし無くなってしまうと困るため、
政府が必死に支えているのです。
まだ状況はほとんど改善されておらず、
これから何とかしようという、
議論を始めたところです。


■再生タスクフォースと経営危機の原因
前原国交大臣前原が、就任するや否や、
自民党の行っていた再生のための議論は、
信用できないとして、自分で、
タスクフォースを作ったのです。
ところがタスクフォースは、
独自の資金を持っていないため、
パワー不足でした。
折角一生懸命仕事したタスクフォースだったのですが、
結局その仕事は資金を持った、
企業再生支援機構に引き継がれることになりました。
しかし、企業再生支援機構が支援するとなると、
様々な手続きが必要となります。
そのため危機に陥った11月には間に合わなかったため、
再生支援機構のお金を待っていたら、
破綻してしまうということで、
とりあえず政策投資銀行の、
つなぎ融資へ移行したのです。

現在の日本航空は、帳簿上は、
まだ少し自己資本がありますが、
時価で計算すると二千~二千五百億円ほどの、
債務超過だろうと言われています。
企業価値の時価を計算すると、
有利子負債の方が二千五百億円ほど、
過剰なのではないかということです。
そこでタスクフォースは債務超過分を、
債権放棄させ、これに加えて、
債務の株式化を行って、
借り入れを自己資本に転化する、
という形で救済しようとしていました。
それを聞いた金融機関は、一体、
誰のお金の話をしているのだと怒ったため、
政府が企業再生支援機構から、
お金を山のようにつぎ込む、
ということになってきたのです。

このような事態になったのには、
様々な理由があります。
まず1つ目はJALがずっと、
親方日の丸という体制で、
国土交通省の人々を受け入れ、
やるべき改革を行わなかったことがあります。
そもそもJALは古くて大きくて、
燃費が悪いボーイング747-400を、
30機も保有しているといわれています。
全日空は11機だけです。
全日空はこれまでに一生懸命、燃費がよく、
小さな飛行機に切り替えてきたのです。
ところがJALは財政が苦しく、
なかなか燃費の良い飛行機に変えなかったために、
時間が経つほどにそのギャップが、
開いていってしまったのです。

もう1つは、JALが政治や国土交通省の影響を強く受け、
採算の合わない地方空港に行かされてきたことがあります。
地方に無理やり空港を作った際、
ANAが採算が合わないとして就航を見送る中、
JALは強引に就航させられていたのです。
そして、人が来ないような田舎の空港にも、
飛行機を飛ばしたのです。
福岡空港は相当数の乗客が集まる空港ですが、
多くの地方空港では毎日数百人しか来ない、
ということもあるほど、ひどいことになっているのです。
このように問題の大本には、
作るべきでないところに空港を作った、
ということもあるのです。
九州でも、佐賀空港は利用者が、
一体何人いるのかと思います。
最近でこそ改善されてきたようですが、
当初は佐賀の人は皆さん、
福岡空港で乗っておられたようです。

このように地方空港を作っては、
JALに就航させ、結構高い着陸料を、
空港に対して払わせられていました。
日本全国97空港の内25の空港は、
JALしか就航してないというような状況なのです。
これはもう、国鉄と同じ状況です。
つまり国がJALをダメにした、
という側面もあるのです。
そのため国がダメにしたのだから、
国が責任をとって建て直すべきだ、
という意見もあります。


■JALの破綻と世界の航空会社の提携
現在、世界の航空業界は大変なことになっています。
3つの主要なグループが出来ていて、
ANAが属しているスターアライアンスは、
ユナイテッド航空と一緒に太平洋路線に就航しています。
今回日米政府がオープンスカイ協定を、
結ぶことになったので、路線や便数を、
効率的に割り当てたり、営業や空港窓口業務を、
集約したりして収入増とコスト減を狙って、
日米の間の路線は一緒にしてしまおう、
という話が進んでいます。
しかしJALは属していたワンワールドから抜けて、
スカイチームに入るか、まだ決めていません。
自民党政府は、ワンワールドのアメリカン航空から、
デルタ航空のスカイチームに移った方がいい、
と考えていたようです。
これはワンワールドメンバーとしては死活問題です。
JALがメンバーのために、アメリカン航空は、
日本とアメリカの路線を殆ど持っていませんでした。
今は焦って巻き返しを行っている最中で、
スカイチームとワンワールド、
どちらが勝つか分からなくなっています。


■JALと労働組合
JALは労働組合との協議も結構大変です。
現在約3千300億円の年金の引き当て不足があります。
その理由は、そもそもできない運用を、
できると予定していたことにあります。
4%以上の運用利回りなどできるはずがないのに、
それを想定していたのです。
この背景には厚生労働省が高い利回りを、
求めていたということもあります。
現実にはマーケットでの運用は、
1.数%ほどしかないのです。
そのため現実に即して1.数%に、
下げようという議論が起こっています。
そうするとOBで年金を受けている人たちの分を、
3割下げる、現役はその半分にする、
ということになってきています。
それをしなければ、政府からの資金援助は、
得られないということで、そのために、
社長もOBの説得に当たっています。
あらかじめの調査では、OB全体の、
3分の2の同意が必要な中、約65%が、
同意している状況です。
これならば何とかいけそうだということで、
3分の2の同意に向けて戦っていますが、
どうなるかはわかりません。
OBの同意が得られなければ、
法的手続きに移行する可能性もあると思われます。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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