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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 健全化法と地方自治体(財務戦略/村藤 功)

健全化法と地方自治体(財務戦略/村藤 功)

10/01/01

■自治体財政健全化法
今年もよろしくお願いします。
政治、財務など様々な問題に、
今年も切り込ませて頂こうと思います。
以前から、地方自治体の財政状況について、
お話しさせて頂いていますが、今回は、
民主党政権での自治体財政健全化法と、
地方自治体のお話です。

現在、地方自治体の財政が苦しく、
破綻しそうになっています。
数字上では財政の苦しさがあまり分かりませんが、
とりあえず自治体財政健全化法というものを、
総務省が作りました。
それを今回初めて適用することになったのです。
これは2008年度決算が対象です。
2008年度決算とは2009年の3月までの、
1年間の財政です。
その結果に新しい基準を当てはめて、どの自治体が、
レッドカード・イエローカードだったのかを、
今回初めて10月に発表しました。
判定には、「実質赤字比率」、「連結実質赤字比率」、
「実質公債費比率」、「将来負担比率」など、
四つの財政指標を用いて、一つでも、
「早期健全化基準」以上になると健全化団体に、
さらに悪化し「財政再生基準」以上になると、
破綻状態として国の管理下に入る、
「財政再生団体」となります。
レッドカードが再生団体、イエローカードが、
健全化団体なのですが、結局、
再生団体は夕張だけで、健全化団体は、
12都道府県に21市町村と発表されました。
しかし、本当に21だけなのかという、
不審な思いも残ります。

全国に千数百の市町村があり、
一頃は3分の1ほどがイエローカードになる、
と言われていました。
今回、総務省が法律を作ってから、
その基準を色々と実験をしたようなのです。
実は、その基準の分母と分子に何を入れるか、
どういった定義をするかについては、
総務省の担当者しか分からないと言われています。
いくつもの法律を参照しながら一所懸命考えて、
やっと想像がつくというほど複雑なのです。
一般人には到底分からないような仕組みで、
計算不能な基準になっている状況なのです。
総務省は全自治体の3分の1に当たる、
500~600から20程度にまで、
イエローカードを減らしたというわけです。
あまり多くの自治体が出てくると、
始末におえないので、とりあえず、
20ほどにしておくことにしたのではないかと思います。


■再生団体の財政状態
赤字比率に関しては上述した4つの基準があります。
その一つが、収入に対し一般会計などの、
赤字額がどの程度あるかを示す「実質赤字比率」です。
この再生基準は20%ほどなのに対して、
夕張の財政は実質赤字比率が700%です。
夕張市は財政を操作していたのです。
本当は借り入れがあるのに、
出納整理期間である4月、5月に、
借り入れを返し、その後に、
また借りて3月末に借り入れがないように、
見せかけていました。
これは一種の公的粉飾決算と言えます。

その他のイエローカードレベルの、
21市町村は12都道府県にまたがっています。
一番多いのが北海道です。
北海道に歌志内、江差、浜頓別、中頓別、
利尻、洞爺湖など7つがあります。
それから青森の大鰐、山形の新庄、
大阪では泉佐野市があります。
以前から財政が危ないと言われていた、
長野県の大滝村もイエローカードです。
九州も多くの自治体の財政状態が、
危ないと言われていましたが、
今回1つも出てきませんでした。
少し不思議ですね。
本当はあるはずなのですが、全体で、
20ほどを発表するということで、
九州勢が消えたようですね。
これがいいのか悪いのかは分かりません。
財政状態が悪いものは悪いわけですから、
イエローカードと言われようが言われまいが、
それぞれの自治体は自主的に、
改善に取り組まなければなりません。

早期健全化団体になった21の市町村は、
今年度末までに財政健全化計画を策定して、
地方議会の議決をとって国に、
報告しなければなりません。
そのためには基準をクリアする比率に、
しなければなりません。
四つの基準の中で最も難しいのが、
実質公債費比率です。
21の内、19市町村がこの実質公債費比率で、
ひっかかっているのです。
これは要するに、公債、地方債を、
発行し過ぎているために起きてしまうのです。
健全化するためには、どうやって、
借り入れを減らすかを考えなければなりません。
方法としては、お金を使う箱物を作るような、
公共事業を中止する、あるいは最悪の場合、
増税、そして公共料金を引き上げる、
ということも含めて検討しなければなりません。
結局住民にしわ寄せがいくことになるのです。


■健全化団体の対応
自治体によって様々な対応をとっていますが、
一番簡単なのは市町村にとってみると、
人員整理です。
例えば大阪府の泉佐野市は、全職員の、
3割近い200人ほどを削減して、
約460億円の収支改善を行おうとしています。
そして新卒採用をまず抑制します。
現在750人の新卒を雇っているのを、
550人ほどにしようということです。
それから、遊休地、何かに使おうと思って、
買ったのですが、結局遊んでしまっている土地を、
処分します。
そもそも初めから処分しておけば良かったのですが。
一旦土地を持ってしまうとなかなか処分しない、
ということですね。
民間企業の財政再建の場合は持っている資産や、
投融資の売却から始まります。
しかし、役所の場合は予算をとって、
使うことばかりに終始します。
持っている資産を売却したり、あるいは、
自分たちの公営事業を民営化すれば、
巨額のお金が出てくるのですが、
なかなかそういうところ取り組まない傾向にあります。

これまで自民党長期政権の下では、
総務省がパパで地方自治体は子供である、
という認識でした。
子供がお小遣い欲しいと言ったら、
パパがお金をあげるということで、
子供がしっかりと自分で自分のことを、
考えていなかったのです。
それがそもそもの問題です。
自己責任の原則による自由な運営を、
地方自治体が考えていくことが大切なのです。
地域の住民のために何がいいのかを、
パパに教えてもらわず、自分で考えることが、
大切です。
ある意味で国というパパの方が、
もう子供よりも危ない状態ですから、
頼っていてはいけません。
それが最も重要です。


■民主党政権と地方自治体
それから、鳩山民主党政権として、
動き出している地域主権の戦略会議も、
地方の自治運営に関係してきます。
鳩山総理は今まで自民党の下で動いていた、
地方分権改革委員会をやめて、
地域主権戦略会議というものを、
作ることにしました。
この分権という言葉が主権に変わった、
という辺がなかなか面白い違いです。
地方分権、分権というと中央にあった権力を、
地方に分けて移すということですが、
地域主権となると、もともと地域に主権がある、
ということですから、意味合いが違ってきます。
地方分権改革委員会の委員であった、
元伊藤忠商事の丹羽会長は、今回、
地域主権戦略会議の方に移って頑張っておられます。
この会議には自治体の首長もメンバーになっており、
北九州市の北橋市長もメンバーに入っています。
これから道州制の議論にも影響がありそうです。

自民党は道州制導入と言っていましたが、民主党は道州制の前に基礎自治体をどうするかが重要だと言っています。基礎自治体が道州制にして欲しいというというのなら、検討するが、道州制にするかどうかは基礎自治体次第だということを言っています。そのため、道州制の議論は後回しになりそうですが、まずは基礎自治体を民主党がどうしていく予定なのかが、これから見どころですね。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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