QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

過去の記事詳細

QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 09年度補正予算と10年度概算要求 (財務戦略/村藤 功)

09年度補正予算と10年度概算要求 (財務戦略/村藤 功)

10/01/29

政権獲得後、2009年度補正予算に関して民主党は色々と調整を行ってきました。
今日は2009年度の補正予算と2010年度の概算要求についてお話しします。


■自民党政権での予算編成
2009年度の当初予算以降、第一次補正については自民党が14、5兆円の規模で編成しました。

しかし、民主党へ政権が交代した後、すぐに民主党は2009年度第一次補正予算の見直しを行い、
約3兆円を凍結・執行停止すると決め、3兆円の財源を捻出しました。
その後景気がなお悪いものでこれを回復させるために民主党は第二次補正予算を策定しました。
この民主党の二次補正は、今年の通常国会の冒頭で通過する予定になっています。

予算編成のあり方としては、バブル崩壊以降ケインズの考え方で、
政府が公共投資して何とかするというようなことが延々と続けられてきました。

ところが、赤字国債が累積してしまい、このままでは「政府が死んでしまう」ということで、
小泉政権の下で大きな政府から小さな政府へ、という財政健全化路線にシフトしました。
しかし、2008年以降の金融危機でそうも言っていられないということで、
財政健全化路線は棚上げされ、景気刺激策に重点を置いて、
麻生総理が大規模な予算編成を行ってきました。


■民主党の2010年度概算要求
では、民主党に政権移行してからは、その予算組みはどのように動いているのでしょうか。

まず自民党の第一次補正予算を一部止め、
第二次補正予算を策定し、さらに2010年度予算を策定したわけです。
2010年度予算の概算要求は90兆円を超え、総額95兆円と見込まれています。

一方で、2009年度の税収は当初46兆円だったものが、
景気の低迷で最終的に36兆円程度になると見込まれています。
当初は総額95兆円に対して税収40兆ですから、赤字国債を55兆円発行するとも言っていましたが、
税収が40兆円を切るため、赤字国債をさらに増発するという話が出てきています。

しかし、鳩山首相は赤字国債の発行を、自民党と同じ44兆円以下にするという目標を設定しています。
国債を44兆円しか発行しないとなると税収36兆円とあわせて、
80兆円しか国に入ってこないことになります。

そのため、税外収入を増やすか予算を削減するかしないと、
予算が足りないということになってしまいます。
その税外収入では、財政投融資の特別会計の積立金や、
外為特会の剰余金から10兆円を持ってくるという話が出ています。


■重点要望とマニュフェストの修正
行政刷新会議の事業仕分けでも、各省庁の概算要求が大分削られていましたが、
事業仕分けで削った額はそれほど大きいものではありません。
削減額1兆7千億円のうち、1兆円は財団から基金を取り上げたという埋蔵金の回収によるものです。

予算を切っている部分というのは7000億円しかないため、財源としては全く足りません。
そのため、どこから財源をもってくるのかということで、
小沢さんが重要な分だけを要望する「重点要望」という助け船を出しました。

それを受けて、ガソリンの暫定税率や子供手当てといった、マニュフェストの政策を、
100%達成出来なくても良いのではないか、という話がだんだんと出てきています。

ガソリン税の暫定税率に関しては、民主党はマニュフェストで廃止と言っていましたが、
最終的には形を変えた上で維持ということになりました。
ガソリン税からは2兆5千億の税収があります。
それを廃止してしまうとお金が不足してしまうので、他の名前にして存続させるということなのでしょう。

また、子ども手当てについても色々な案が出ていました。
結局は導入されませんでしたが、子ども手当をもらえる人の所得制限を設けるかどうか、
設けるとすればいくら位がいいのかということで、所得800万円とか2000万円とか、
一時期色々な数字が出ていました。

子ども手当ての地方負担も議論されています。
子ども手当ての前にあった自民党政府の児童手当の中にはもともと地方負担分が含まれていたので、
その児童手当で負担していた分は子供手当てでも負担してもらおうというのです。
もともと、子供手当ては民主党が思い付いて国が全額負担した上でやるという話でしたから、
「地方に払えというならば協力はしない」と地方は不満を露わにしています。

高速道路の無料化はそれ自体が危うくなっています。
高速道路の総延長は、大体7600キロありますが、当初はこの半分を、
無料化することができるのではないかとみていました。

渋滞する部分を無料化の対象外とするということで、
渋滞するかどうかを見極めるための社会実験費用として当初は6000億円を見込んでいましたが、
見直しの結果1000億円に減額されてしまいました。

九州と北海道辺りで実験をまず始めようかというところですが、
九州をまず無料化してくれるのであれば、私たち九州勢としては問題ないといえます。


■大きな政府への逆行
結局のところ、民主党は大きな予算を編成してしまっているといえます。
私としては、もっと小さく予算を作って欲しいところです。
そもそも税収は40兆円位しかありません。
それならば、税収の2倍の予算を組まずに、40兆円位の予算を本来は編成するべきです。

どうしても大きな予算を作りたいならほかにも方法はあります。
前から申し上げていますが、日本には800兆円位の資産があり、資産処分や、
民営化可能な公営事業とか公的金融機関を民営化することで数百兆円の資金が捻出可能です。

また、事業仕分けで7千億円位を減らしましたけども、他にも外国為替特別会計は、
それ1つで100兆円の規模で、必要以上のドル国債を日本は保有しています。
円高を食い止めるために政府がドル買いをするとしても、
もとの残高が50兆円でも30兆円でも70兆円でも効果は全然変わりません。
手持ちが100兆円である必要はないのです。

そういう意味では、外為特会の準備金だけではなく、
外為特会の規模を何十兆円か減らせば、その分の財源が捻出できます。

このことを先日、ちらっと民主党議員の方々にお話ししたら、
「実は最後はそれだと思っている」という答えが返ってきました。
もしかすると、最終的には外為特会の規模縮小ということになるかもしれません。

こうすれば最後にはつじつまは合うのかもしれませんが、
「大きな政府を作るのはいい加減にして下さい」と私としては申し上げたいところです。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ