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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > ハブ空港とハブ港湾(国際ロジスティクス・国際経営/星野 裕志)

ハブ空港とハブ港湾(国際ロジスティクス・国際経営/星野 裕志)

09/12/09

■国内のハブ空港とハブ港湾の問題

昨日は、ハブと呼ばれる積み替え拠点を置き、
そのハブを中心にネットワークを構築することで、
広いエリアを効率的にカバーすることができる輸送方法として、
ハブ&スポーク システムを説明しました。
今日は最近盛んに論議されている国内の
ハブ空港とハブ港湾の問題について、考えてみたいと思います。
この問題とは、先日前原国土交通大臣が、
韓国の仁川空港が事実上の日本のハブがなっていると言う発言や、
東京港や神戸港などの日本のコンテナ港湾が上海や釜山などの
近隣の港と比較して、完全に国際競争力を失っているという現状です。


■ハブ空港問題

1973年にフェデラル・エクスプレスが、ハブ&スポーク システムを
導入して以来、世界中の航空、海運をはじめとする輸送会社が
このシステム採用しているということもお話しましたが、
それが日本航空や全日空にとっては国際線の成田空港であり、
国内線の羽田空港になるわけです。
ハブにいかに多くの貨物や旅客を集約し、そこからスムーズな接続で
最終目的地まで輸送するかということが、輸送企業の競争の
決め手になることから、路線の集中が重要になってきます。
そもそも国際線のハブが成田空港であり、
国内線のハブが羽田空港ということ自体が、
海外から成田に運ばれてきた貨物にしても旅客にしても、
国内のほとんど目的地までの接続には羽田空港発のフライトを
利用する必要があり、不便この上ないことになります。

また航空輸送の問題点はそれだけではなく、
日本ほどの国土の中に、成田、羽田に加えて、
中部、関空といった国際空港がハブを志向して作られているわけです。
そうなると航空会社のオペレーションも分散せざるを得ないことから、
貨物や旅客の集約性は低くなり、
また路線のネットワークも中途半端になります。
航空会社にとっては、投資に見合った利益が得られなくなり、
撤退などでますます路線が限られてくることになります。

そのような状況であることから、地方空港から海外に旅行や
出張する際に、路線が不十分な関空や中部空港を利用したり、
羽田・成田間の移動を考えると、むしろ日本の地方空港に
乗り入れている韓国の航空会社を利用して、仁川空港を経由して、
海外に出かけることを選択することになるわけです。
仁川空港は、成田空港の倍近くの世界170都市とつながっていることから、
このルートは利便性が高いうえに、運賃も低く設定されているからです。
まさに仁川空港が日本のハブになってしまっているのです。


■ハブ港湾問題

例えば、仁川空港の乗り入れで、運賃を安く設定できるには、
韓国という国自体が大きく関わっていて、
韓国は、今まで計画経済の時代を踏んで、
集中投資をするという考え方できています。
コンテナ港湾についても、先にお話した空港と
まったく同様の状況があります。
かつては日本を代表する港であった神戸港は、
今はコンテナ貨物の取扱い量もコンテナ船の寄航数でも
見る影もないですし、国内では最大の東京港でも、
世界のコンテナ港のランキングでは24位、
二番目の横浜港で29位に過ぎません。

コンテナ貨物については、そもそもアジアの貿易の中心が、
1970年代には日本だったのが、今や世界の工場であり
市場である中国にシフトしたという貿易構造の変化が
最大の要因ですが、それだけではありません。
例えば、韓国の釜山港は、世界のランキングで5位に
位置していますが、これは韓国政府の方針で、
この港に集中投資をした結果です。

日本の状況を見ると、コンテナ船の寄航する港は
60港以上あり、多くの地方港から釜山港や上海港経由で、
世界に貨物が輸送されている状況は、
さきほどの仁川空港経由のフライトの利用とおなじといえます。
仮に日本の上位4港である東京、横浜、名古屋、神戸の
各港のコンテナ取扱量を合計すると、
ほぼ世界5位の釜山港の数と並ぶことを思うと、
国内の港湾開発の分散投資が、
いかに問題かがお分かりいただけます。


■貨物やネットワークの集約性が大切

ただ別の言い方をすると、日本にもこういう港を育てるという戦略をもてば、
世界のランキングの上位にいくような港もあり得るということです。
ところが、日本中にある港に、こういう分散投資をした結果、
ハブ&スポーク・システムの要求される貨物やネットワークの集約性が
非常に低下して、機能していないのです。

ハブに求められるのは、貨物やネットワークの集約性と説明しましたが、
ハブ港として集約拠点になり得ない港には、
大型のコンテナ船は寄航しません。
最近の傾向として、コンテナ船は規模の経済性を
追求しながら、ますます大型化しています。
つまり一度に大量のコンテナを輸送することで、
コンテナ一個あたりの輸送コストを下げるということです。
そうなると一隻で、10,000個を超える輸送量を持つ
超大型のコンテナ船は、限られたハブ港にのみ寄港して、
一度に貨物を積み取ろうと考えるわけですが、
これも中途半端な日本の港湾は敬遠されて、
ますます魅力がなくなっています。


■日本の由々しき状況

空港にしても港にしても、日本全体的に経済のバランスを
整えなくてはいけない、例えば、空港であれば、1県に2空港欲しい、
各県がそういう港湾を持ちたいという考え方が日本にはあるようです。
港にしても宮崎県の日向市にある細島港や志布志港などには、
国際貨物を取扱えるような機械があるのですが、
実際はそこまで取扱いがありません。
そうすると、日本の港から大体釜山や上海まで、
一度コンテナ貨物を運び、釜山経由で世界に行くという、
仁川経由で海外に人が行くのと同じようなことがおこるのです。
今、ハブ空港の問題とハブ港湾という問題、全く同じ状況にあるわけです。
つまり集中投資しないで、日本全国に分散させた結果、
ネットワーク性が低くなって、使われてなくなっているのです。

今回は、ハブ&スポーク システムの拠点になる
ハブ空港やハブ港に関して、日本は由々しき状況があることをお話しました。
これは航空会社や海運会社だけではなく、
日本の貿易の競争力の低下にもつながることになります。
自然に集約されてハブができるということは難しく、
戦略的な作り込みをしなければなりません。
次回にはそのようなお話をしようと思っています。

分野: 星野裕志教授 |スピーカー:

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