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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 九州地域のこれからの産業を考える(経営学/久原 正治)

九州地域のこれからの産業を考える(経営学/久原 正治)

09/12/04


■「経営する」ことの必要

前回は九州地域経済の活性化を、
経営学的観点から考えてみると、
もっともっと伸びしろがある、
様々な方法で成長していける、
というお話しでした。
今回は、九州地域のこれからの産業を考える、
というテーマですが、あらためて「経営する」とは、
一体どういうことなのか、ということから、
お話ししていきましょう。

従来、企業はあまり経営を考えなくても、
マーケットが高度成長で、
どんどん大きくなっていくために、
売り上げが伸びて成長していきました。
ところがここ20年程のように、
経済が成長しなくなると、「経営する」、
というものを考えなければならなくなります。
では、「経営する」とは何か、
ということになります。
端的にいえば、自分のやっている、
企業の戦略を立て、その戦略に対応した組織を作って、
その組織で働く人を動かすということになります。
この3つが、経営の中心になるわけです。
この「経営する」ということが、
これまでの九州の伝統的な地場産業では、
必ずしも十分に行われていませんでしたし、
経営できる人材が地域に提供されてきませんでした。
どちらかといえば、親から代々の家業を引き継いで、
何とかそれを維持していくということが、
多かったのです。
例えば病院などでしたら、単に事務員の人が、
お金だけを集めて、お医者さんは、
診療するという形式をとってきました。
一応医者が院長として経営者ということになりますが、
院長は必ずしも経営を知らないままに、
病院を運営してきたのです。

前回のお話では、中央で活躍した人々が、
定年後に九州に戻ってきて、
そのような経験知識が豊富な人材が、
経営をすることで地方の企業を建て直していくことが、
出来るのではないかということを申し上げました。
具体的には、このような経験者と九州にいる若者が、
お互いに手を組んで何かをやっていくところに、
ポイントがあるような気がしています。

その中でも、これからの地域産業を考える上で、
九州では高齢者市場が重要だと考えています。
九州では、後4,5年で約35%位の人々が、
65歳以上の高齢者になるのです。
高齢者といっても、最近では65歳以上だと、
若々しい感じがありますが、そういった、
65歳以上の方を対象にしたマーケットが、
おそらく九州の中でこれから非常に大切だと思います。
その市場を活性化させることで、逆に、
アジアからの高齢者も引き付けるような可能性が、
あると考えています。


■高齢者市場と医療・福祉経営
高齢者を対象にしたビジネスの中で、
医療・福祉と農業と観光を、
考えてみたいと思います。
その理由は、まず九州がこの3つの産業に、
非常に大きな優位性を持っているためです。
例えば医療の資源では、福岡県は、
人口10万人当たりのお医者さんの数が、
日本で第2位なのです。
東京が第5位ですから、東京よりはるかに、
優位性があります。
それから病院の数も第4位です。
人口10万当たりの病床の数も10位ですし、
病院の中でも特にレベルの高い病院、
DPC対象病院と呼ばれていますが、
これが福岡県には91病院もありまして、
東京の136病院と比べても、東京が福岡の、
2.5倍の人口を抱えることを考えると、
医療の資源が非常に豊富であることが分かります。
医学部も福岡県には4つありまして。
これも、大学が集中する東京の13に比べても、
日本の中でもトップクラスの数があるわけですね。

ところが、先程述べたように、病院が、
しっかりと経営しているかというと、
それは従来通りで、お医者さんが院長で、
事務長が事務をやっているのです。
事務と経営とは全く異なるものです。
病院経営には、お医者さんや看護士の皆さんを含めて、
組織をきちんと作って、メンバーを動かして、
病院の戦略を立てていくということが必要です。
そこで例えば、九大のMBAで「経営する」、
ということを教えて、病院経営ができる人材を養成する、
あるいは九大の経済学部を出た人材が、
病院を経営する人材になっていくという期待は、
非常に大きいわけです。
九州大学のビジネススクールの学生の中にも、
お医者さんでありながら、経営という分野を、
勉強しなければならないという状況に迫られて、
入学されている方がいらっしゃいます。
医療福祉分野や病院に経営がないために、
せっかくいい病院なのに経営が破綻に瀕する、
といった事例が随分出てきていますから、
やはりお医者さんも経営を学ばなければなりませんし、
それだけではなく、病院専門の、
事務方の経営者の養成も必要です。


■農業と観光の経営
農業は、従来から非常に小さい規模で行われていて、
経営という方法ではなく、どちらかというと、
政府の補助政策に依存して家族だけでやっている農業が、
多いわけです。
この農産物ですが、アジアの人が福岡や九州に来て、
食べて、高く評価されていますし、
この産地のものを食べたいと要求が高いのです。
その様な需要を満たすため、この農業に「経営する」、
ということを入れて、アジアのマーケットを視野に入れて、
経営をやっていけば、これもまた、
非常に大きな産業になってくる可能性があります。
実は農業と医療・福祉というのは、
うまく組み合わせると、非常にシナジー(相互補完)効果
がある産業なのです。

観光分野でいうと、やはり高齢者にとっては、
九州は温泉地があり、そして都市部にはない、
山、海、こういった魅力が豊富にあります。
九州は従来から、温泉と観光が強かったわけですが、
これも実は「経営する」ということになると、
やや弱い面があります。
そこで、医療福祉と農業と観光と全てを組み合わせて、
全体として九州が優位性を持つ産業として、
これをうまく「経営する」人材が登場すれば、
大変な競争力を持つ産業になり、
自動車工場を九州に誘致するよりも、
はるかに重要な産業になってくる可能性を、
持っているのです。
ただそれは、政府が政策的に行うのではなく、
優秀な人材が、既存の地場産業を上手くまとめたり、
再生したりしていく中から、
自立的に競争力がある産業と、
経営ができる人材が出てきて、
九州の将来を支えていく。
これが地域経済の観点からみた、
九州の活性化だろうと考えています。

分野: 久原正治教授 |スピーカー:

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