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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > MITレポート (その4)((産学連携マネジメント/高田 仁)

MITレポート (その4)((産学連携マネジメント/高田 仁)

09/12/29


■MITベンチャー・キャピタルカンファレンス

今回は、毎年恒例のMIT VCカンファレンスについて紹介したいと思います。
このカンファレンスは今年で12回を数え、
全てが学生のクラブ(VCPE; Venture Capital Private Equity Club)
によって運営されています。
参加者は約500人で、Boston市内のWestin Hotelをメイン会場として、
朝食・昼食・レセプション込みで開催されます。
全体を通じてイベント会社に委託したかのような立派なものでしたが、
企画立案やスポンサー集め、講演者への依頼、当日の運営など、
全てが完全に学生の自主運営で行われています(総予算は、およそ120Kドルとか)。
100K(ビジネスプラン・コンペ)もそうですが、
MITではこの種の学生の“クラブ活動“が盛んです。
カンファレンスのCo-Chairは、「学生は入れ替わるので、
運営ノウハウなどを絶やすこと無く後輩に引き継ぐのは大変だが、
これだけの大規模なカンファレンスを自主運営するやりがいは大きい」と話していました。


■小規模ファンドの運用による小規模投資

プログラムは、Alan Patricof氏 (Greycroft, LLC、40年間にAppleや
AOL、Office Depot、等の著名企業の創業期に投資し成長を支援してきた著名人)
のキーノート・スピーチでスタートしましたが、このスピーチは非常に興味深いものでした。
新聞などが「VCのビジネスモデルは終わった」などと書き立てていますが、
そうではないと言います。
ただ、現状に問題が無いわけではありません。
彼のスピーチのポイントは下記の2つです。

(1)小規模ファンドの運用による小規模投資(”Small is Beautiful.”)
現在のVCの最大の問題点は、ファンド規模が巨大になり過ぎ、
ファンドのサイズと投資先ベンチャーとのマッチングに
ムリが生じるようになったことなのです。
そもそもVCが社会で認められ成長して来た背景には、
優れたアイデアや技術の社会普及を実現しようとする起業家を資金面で支援する、
というフィロソフィーがあったはずです。
しかしながら、今はその原点が見失われています。
自分がVCを始めて、1972年に初めて投資先をIPOさせた時の
市場からの資金調達額は僅か2Mドルでした。
そもそも、スタートアップにはそれほど大金を必要としないものも多いのです。
VCが巨大ファンド運用のために大型案件だけに集中すると、
その影で必要な投資を受けられない起業家が多く出てきてしまいます。
従って、従来と違うモデル、つまり小規模ファンドを元に投資を行い、
せいぜい20〜100Mドル程度で売却する(IPOをExitとしない)
というスタイルの活動を始めようと考えています。
そのフィロソフィーは”Small is Beautiful.”です。
また、小さなファンドであれば、SVやボストン、NYに集中する必要はなく、
ソルトレークシティ、ピッツバーグ、・・・あちこちでムーブメントを起こすことが出来るのです。


■発展途上国の新ビジネスへの投資

(2)発展途上国の新ビジネスへの投資
発展途上国は、世界全体に新しい成長と投資の機会を提供します。
貧困の撲滅、エネルギー・インフラ、農業や食料安全保障などの面で
非常に重要な影響を持ちます。
ただ、残念ながらこれらの国にはエクイティ・キャピタルが
圧倒的に不足しているのです。
起業家がアイデアを持っていても、ビジネスを起こせません。
政権が不安定だったり、国の制度が整っていなかったり、
法人のコーポレート・ガバナンスが不十分だったり、
というリスクが以前は大きかったのですが、
それらは近年著しく改善してきており、
投資に値する環境が整ってきています。
これらの国での起業家の活動に対して資金供給することが、
世界にとって極めて重要です。

ちなみに、この日のカンファレンスには
合計9つのセッションが準備されていましたが、
うち2つがソーシャルVCや発展途上国を対象としたVC投資のセッションで、
この分野への関心の高さがうかがえました。
Sloanには発展途上国からも多くの学生が集まっており、
彼らは米国で学んだビジネスの仕組みや手法を
積極的に母国に持ち帰ろうと試みています。
私たちの想像以上のスピートで、
発展途上国でイノベーティブなビジネスモデルが
確立されていくのではないかと感じさせられます。

分野: 高田仁准教授 |スピーカー:

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