QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

過去の記事詳細

QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > Cause-related Marketing(CRM)とは(マーケティング/出頭 則行)

Cause-related Marketing(CRM)とは(マーケティング/出頭 則行)

09/12/07

■CRMについて

今回は、CRMについてのお話をしたいと思います。
英語が出てきてしまって恐縮ですが、
CRMは、「Cause- related Marketing」の略で、
頭文字をとって、CRMといいます。
これをそのまま訳しますと、「Cause」は名目や大義名分という意味を持ち、
「related」は関連したという意味ですので、
「大義名分に関連したマーケッティング」という直訳になりますが、
私は社会貢献マーケティングと意訳してお話ししていきたいと思います。


■CRMを最初に行ったアメックス

CRMは、今の時代には欠かせないマーケティングの要素ですが、
最初に戦略的に実施した会社は、
カード会社のアメックス(Amex)だと言われています。
1983年に、自由の女神を修復する事業があって、
アメックスは、「アメックスカードで一回買い物すると、1ペニーを、
アメックスは、その自由の女神の修復事業に寄付します。
また、カードホルダー1人当たりに、1ドルも寄付します。」
というキャンペーンをしました。

それぞれ、1回につき1ペニー(今の円貨でいうと、1円位)を
寄付するので、額は少ないです。更に、1枚のカード当たり、
今の価格でいうと、100円位寄付するということをアメックスは行いました。
「自由の女神の修復という趣旨、大義名分や名目(Cause)に賛同して、
是非とも、アメックスをどんどん使ってください、あるいは
新しいカードホルダーになって下さい。」というキャンペーンをしました。
これは、その当時のアメリカ人の愛国心を大いに刺激し、鼓舞しました。


■CRMに対する批判

今では、これを買うと、木を一本植えますというキャンペーンなど、
結構存在します。これらは、皆、一種の「Cause-related Marketing」です。
この「Cause」、この大義名分に賛同し、
私たちの営業活動を支えてくださいと言っているのです。
つまり、CRMは、公共的な問題や課題に自社のブランドや
サービスを関連付けて行うキャンペーンや営業活動になっているのです。
この方法には大きな批判もあります。
例えば、愛国心などを営業目的で鼓舞することは、
一種のギミックじゃないのか、いかがなものか、という議論があります。
また、真っ当な議論かもしれませんが、
本来そのような社会的な問題や課題は、政府や行政の分野であって、
本来、利益を追求する企業は、利益が得られたら、
そのサービスの内容に還元すべき、
あるいは株主に還元すべきものではないのか、という議論です。
それから、公共心をテコにして営業活動をやるのは偽善ではないか、
と言う人もいると思います。批判はもっともなものと思います。


■CRMを擁護する理由①

しかし、私としては、大いにこのCRMを擁護したいと思っています。
CRMを擁護する理由の1つは、どのような企業でも、
製造であろうがサービス業であろうが、自然材だとか
地球の資源を使ってビジネスしています。
水にしたって、空気にしたって、木にしても、あるいは土壌にしても、
土に埋まっている鉱石にしても、あらゆるエネルギー源は、
いってみると、地球に帰属する財産です。
本来の所有者は、地球なのです。
そのような地球材・自然材を、皆が使ってビジネスをしているので、
そういう意味では、地球に帰していく・社会に帰していくという行為は、
大変利にかなった行為ではないかなと思っています。
それから、個人が利益を追求するパワーも凄いですが、
企業の利潤追求のエネルギーはすさまじいものがあり、
そのパワーをもし社会的な問題・課題の解決のために使えるのであれば、
大変有効な使い方ではないかなと私は思っています。
企業の利潤追求エネルギーを公共的な課題の解決に向けられるのであれば、
行政だけが取り組むよりも、相対として、大変なパワーになると思います。


■CRMを擁護する理由②

もう1つ、別の側面からとらえると、多くの企業が社会貢献ということを
言い始めていて、例えば色んな団体への寄付行為は大変多く行われてはいます。
寄付は、大変結構なことですが、
基本的には寄付金は最終利益から捻出されるものです。
一定の減税処置はあるものの、最終利益から寄付金が出されるので、
業績が低迷すると、残念ながら、多くの場合最初に手を付けられるのが、
寄付金というカテゴリーです。。

それから、多くの企業が社会貢献に関わり始めていて、
部署として、CSR(Corporate Social Responsibility)を行う、
社会責任部や社会貢献部という組織を作っています。
これもまた、企業の内部をプロフィットセンターかコストセンターに分けていくと、
CSRや社会貢献部はコストセンターで、儲ける方ではなくて、
コストを使う方になります。従って、業績が低迷すると、
やはり最初に手を付けられる組織、部署になりがちです。
従って、財源ソースとしては、あまり安定していません。
業績に相当依存しているということが言えると思います。

しかし、CRMは営業活動にリンクしていて、
「買ってくれたら、一定の割合を寄付する。カードを使ってくれたら
1ペニーを寄付する」というように、営業活動の中に社会貢献が
埋め込まれているので、寄付金に比べれば安定したソースになり得ます。


■CRMのマッチング

CRMは、社会の問題を解決していくための安定的したソースに
なり得るだろうという意味では、大いに企業のCRM発想を
サポートしていきたいのですが、大きな問題もあります。
社会には、色々な公共的な問題・課題があるわけで、
色々な企業が独自にCRMをしていくと、
マッチングがうまく出来ないというケースがあります。
企業が独自に行ってしまうため、按配よくマッチングが
出来なくなる可能性があるのです。
この辺のマッチング調整機能は是非とも必要な機能で、
それを、例えば政府や行政がすることになると、
非常にまた大きな問題、きな臭い問題になってしまいます。
そこで、私としては、むしろ、業界・団体といわれているもの、
日本では、経団連・同友会・商工連合会といった業界・団体が、
色々な社会の公共的な問題と企業の社会に貢献したいという意志を
マッチングさせていけばいいのではないかなと思っています。

分野: 出頭則行教授 |スピーカー:

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ