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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 東アジアの産業連携と共同体構想(中国経済と産業/国吉 澄夫)

東アジアの産業連携と共同体構想(中国経済と産業/国吉 澄夫)

09/11/30


■日中韓シンポジウム

今回は、東アジアの産業連携と共同体構想、
というテーマでお話しさせていただきます。
当九州大学アジア総合政策センターが、
主催をして日中韓シンポジウムを、
10月の中旬にアクロス福岡で行いました。
これは第4回目のことです。
我々九州大学と中国の社会科学院、
それから韓国の東国大学、
この3校が共催で2007年の2月から、
スタートして、2年半ほど続いています。
これまで福岡、ソウル、そして、
中国の青島(チンタオ)で行いましたので、
今回の第4回目は再び福岡に戻ってきました。

今回は基調報告で、当センターの特任教授であります、
芥川賞作家の高樹のぶ子さんから、
文学を通したアジアの心の交流、
ということを語っていただきました。
それから、元文化庁長官をされておりました、
青木保さんから、日中韓の学術文化交流が重要である、
ということについてのお話をしていただきました。

シンポジウムでは基調講演の後に、
分科会というものがあります。
今回は5つもの分科会を作りました。
そこではテーマがそれぞれ設定されています。
まず1つが越境する大衆文化、
2つ目が高齢化社会、高齢化対策です。
それから環境汚染の越境問題、ビジネス連携、
そして安心できるフードシステムの5つです。
今回のテーマの特徴は、必ずしも、
政治やマクロ経済という、
国家を前提とした議論ではなくて、
我々の身近な話題から、日中韓や、
東アジアを視野に入れた、環境汚染問題、
食の安全問題を含め、幅広いテーマで、
語ったというところにあります。

また先日、鳩山民主党政権になり、
アジア政策重視と、東アジア共同体構想が、
クローズアップされ始めています。
今回の意見交換の中で、そうしたものが、
いくつか出てきたのも、事実です。
特に、青木元文化庁長官のお話の中には、
東アジアの共同体というやり方が、
改めて議論される中で、九州大学の占める位置は、
非常に重要だと述べられています。
東アジアの学術文化交流の拠点としての九州大学は、
他の大学には出来ない重要な役割を担っている、
またそのように担って欲しいということです。
今回のシンポジウムも、
非常に時宜を得たものだということで、
大変高い評価を頂きました。


■東アジアの産業連携

先程分科会の中でビジネス連携と申しましたが、
産業連携分科会というものがあり、
私はそのコーディネーターをさせていただきました。
内容としては、急速に経済成長する中国を加えた、
東アジアに広がった国際分業と、
サプライチェーンの輪ができてきている、
しかし、環境問題や食の安全問題に代表されるような、
いわば成長の代償も出てきているわけです。
東アジアが今後継続的に、あるいは、
持続的に発展するためには、モノのチェーンに留まらず、
人のチェーンをきちっと作っていかなければいけません。
連携を担っている企業が、その共通の価値観を、
きちんと持っていなければならない、
という視点から、グレーター・チャイナ、
あるいは東アジア全域で、
活発なビジネスを行っている企業が、
CSR(企業の社会的責任)という考えに代表されるような、
企業市民社会の価値観を共通で持つことが大切である。
またそのような考えを持つ人材を、
どうやって育てていくのかという議論を展開しました。
企業が自分たち利益のことばかり考えて、
商売するということでなく、社会的に、
どのような責任を果たすのかが大切なのです。
日本には古来から、近江商人の「三方良し」という、
商人道徳があります。
これは、売り手良し、買い手良し、世間良し、
と言わるもので、いくら売買双方が、
ウィンウィンで、ビジネスがうまくいっても、
社会的に受け入れられなければ、意味がない、
ということなのです。
従って、この言葉は社会に対して、
どういった貢献が出来るかという、
ビジネスの連携を的確に語ったものだと思っています。
今不況で、各企業とも企業経営が、
内向きになっていますが、こういう時期こそ、
近江商人の「三方良し」という言葉をかみしめて、
これをアジアの中で展開していくことが、
必要だという議論なのです。

このように日本的な商道徳の考えですが、
中国側にも理解できたようです。
中国が目指す和諧社会、調和ある社会、
というのとコンセプトが一緒だな、
というようなことが話の中に出ています。

それからお話に出ました、東アジア共同体構想は、
それ以上の議論には及んではいませんが、
ビジネスの世界では、既に国境を越えて、
どんどんサプライチェーンを、
作り上げているのが現実だということです。
そうした行動の積み重ねが、
やはり共同体の議論にいくという認識は、
参加者の皆さんが持っていましたね。

またこれも関連する議論ですが、
過去アメリカが中心の世界は、
パックス・アメリカーナ、と呼ばれていました。
これが将来、アジアがどんどん花開くと、
アジアの中に、パックス・アジアーナ、
と呼ぶべきものになっていくのか、
という、会場からの質問がありました。
これについては、アジアの繁栄は、
自分だけの繁栄反映ではなく、他地域との、
共存の中で成り立っているものですから、
単純なパックス・アジアーナとはならないのではないか、
という議論もありました。
将来を考えても、一国だけが利を得るという、
世界ではなくなってきているということですね。

いずれにしろ今回、東アジア共同体、
という議論が再燃してきて、
アジアをめぐる流れが大きく動いている中で、
我々のシンポジウムは成功したと思います。
ただ残念ながら、種々の事情でもって、
このプロジェクトは今回でおしまい、
となってしまいました。
是非今後、東アジアの交流の拠点として、
福岡で再びこのような試みが、
再開されることを私は願っています。

分野: 国吉澄夫教授 |スピーカー:

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