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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 九州地域経済の活性化を経営的観点から考えてみる(経営学/久原 正治)

九州地域経済の活性化を経営的観点から考えてみる(経営学/久原 正治)

09/11/27

■九州出身企業の現状
今回は地域経済の活性化を経営的観点から考えてみる、
というテーマでお話しさせていただきます。
実は、私はずっと海外やアメリカのことばかり、
お話ししてきましたが、この夏に、
事故で少し入院している内に、
地域の観点を色々と考えていました。
そしてこのままだとやはり、
私は特に久留米出身なのですが、
九州は経済的に全く駄目になってしまうのではないか、
と思いました。そのため、この九州経済に、
経営的な観点を入れることで、
もっと活性化できるのではないかと思います。

これまで九州は製造業を誘致する、
という方針でやってきましたが、
結局製造業は、地方に本社がない限り、
そこで付加価値を生むようなものが全く作れません。
単なる安い労働力を調達するためだけに、
地方に工場を作っているため、
サブプライムショックのようなことが起きると、
安い労働力はクビを切られてしまうことになります。
そうすると、地方の雇用の安定にも、
将来の成長のためにも、製造業を誘致するモデルは、
本社が来ない限りは役に立たないことになるわけです。
そこで、これからの社会で地方が、
重視していかなければならないのは、
サービス業的なものでなはいかと思います。

現在私が住む久留米には、ブリヂストン、
という企業があります。
この企業を例にとって製造業の本社がない問題点を、
見てみましょう。
このブリヂストンは、戦前に九州久留米から出た企業で、
1930年代に足袋屋から出発し、タイヤ事業に多角化して、
すぐにグローバルに進出して成功したわけですが、
その後東京に行ってしまって、地方には、
何も残っていません。
石橋さんが寄付したすばらしい美術館などは残っていますが、
工場の従業員も今は1500人ほどしかいないわけで、
これは産業として、30万人も人口がいる町では、
非常に少ない雇用に過ぎません。
また単なる工場ですから、そこで何か、
グローバルな展開の企画をやっているわけでもないのです。


■企業の東京中央集権
日本企業は効率的に成長を果たすために、
東京に全てを集中させてきました。
地方に残るのは単なる工場であったり、
さびれた商店街であったり、更に、
高校まで地域で育てた人材も、
良い人は全て東京に行ってしまう、
という結果を残しました。
東京集中とは、地方にとって、
果たして何だったのかということです。

九州の大きな企業を見ていきますと、
例えば九州電力やトヨタ自動車九州などが、
売り上げでトップクラスになると思いますが、
それ以外の売り上げ上位企業も、
インフラ会社や東京企業の出先子会社、
という形になってしまいます。
九州外の会社の九州拠点売り上げ高が、
九州でトップクラスに入っている、
というだけのことです。

九州から出た企業でトップの方にあるのは、
TOTO、あるいはベスト電器などです。
しかしこのベスト電器やロイヤルなどの、
サービス業はいずれも東京の大きな企業の、
傘下に入るような形になってしまっています。
他方で、ブリヂストンや出光のように、
九州から出た製造業は、本社を、
東京に移してしまっています。
TOTOも海外との交渉は、
東京でやらないといけない部分が出てきているため、
東京集中という流れは未だに変わっておらず、
九州の大企業は東京を向いている、
という傾向が依然としてあります。
九州電力は、九州地域の独占公益企業ですから、
またこれは普通の企業とは違います。


■東京から地方へ
先程申し上げたベスト電気はビックカメラに、
フタタはコナカに、あるいは三洋信販は楽天に、
という形で、九州から出た企業は、
他の地域の企業にある種、
支配されるような形になってしまっています。
それから、我々の九州大学が考えなければならないのは、
この経済学部の学生のほとんどが、
東京に本社がある企業に、
昔から就職してきているということです。
これは明らかに、地方で育てた優秀な人材を、
東京の会社に奪われていることになっているのです。
最近、地域主権や道州制論議が、
盛んに行われていますが、
本当の意味で地域主権を達成するためには、
このような企業と人の流れも、
変えていかなければなりません。

やはり地域から自立した個人や企業が出てきて、
それがしっかりと世界で活躍できるようになって初めて、
地域主権が成立するわけです。
東京から一部の政府の役割を、
道州制のような形で移したところで、
企業や個人が自立して出て来なければ、
九州は発展しません。
そうすると、九州の発展の原動力は役人ではなくて、
個人や民間会社となってくるということです。

九州の発展のために九州大学の優秀な学生には、
この九州で就職して欲しいのです。
そのためには、彼ら彼女らが就職したくなるような、
企業を作っていくことが必要です。
そういう企業は、場合によっては、
学生自らが会社を興してもいいし、
それから東京に既に就職して定年になった人が、
住みやすい九州に帰って来て、
そのような若者たちを手伝うと、
いうこともあると思います。
そういう動きを活性化していくことが必要でしょう。
九州は、高齢者向けの医療福祉、あるいは、
農業などに強みがありますから、
それらをどう活用していくかについては、
また別途議論をしたいと思っています。

これからは、世界でそして日本の中央で活躍した、
力のある人材を、どんどん、
地方で活用していかなければならないでしょう。
過去に、高度成長期に大企業に九州から就職した人々は、
皆海外でグローバルな経験を経ていますから、
住みやすい九州に戻って来て、
グローバルな環境で身に付けた専門知識を使って、
九州の若者と一緒に何かをやって欲しいのです。
そうすると、九州が単にアジアに近い、
という地理的要因だけではなくて、
九州の企業がアジアと一緒に成長できるような、
チャンスが出てくるのではないかと思います。
そうすると、今の学生の父親母親たちも、
自分の子供達と一緒に九州で住めるため、
皆がハッピーになるのではないかと考えています。

分野: 久原正治教授 |スピーカー:

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