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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 成長市場へのアプローチ②(国際経営・国際ロジスティクス/星野 裕志)

成長市場へのアプローチ②(国際経営・国際ロジスティクス/星野 裕志)

09/11/18

■BOPへのアプローチは大きな課題

昨日は世界の所得構造をピラミッドにみたてて、
多国籍企業はその底辺に位置するBOP層に
どのようにアプローチをするのかについて、現状を見てきました。
そして、40億人の潜在的な顧客に対しては、標準的な製品で
市場を開拓するよりも、むしろそれぞれの市場の特性を考えながら、
そのニーズに応えるマルチ・ドメスティック戦略が
求められているのではないかとお話しました。

ただ昨日も例に挙げたTATA自動車の低価格車に
対抗するだけの自動車を開発することは、多国籍企業には難しいでしょうし、
特に標準化製品をもってグローバル戦略を得意としてきた日本企業にとって、
どのように現地市場にアプローチできるのかは大きな課題といえます。


■欧米企業のBOPへのアプローチ

BOPを構成する人たちの年間所得3,000ドル以下といえば、
1日あたり8ドル程度ということになります。
ヨーロッパの多国籍企業のユニリーバは、新興市場の農村部において、
シャンプーで髪の毛を洗うという習慣を紹介すると同時に、
ボトル単位で購入できない顧客に向けて、
一回ごとの使い切りのシャンプーを販売しています。

以前に岡田先生のBBIQの放送でも紹介されていましたが、
フランスのダノンは、グラミン銀行のムハマド・ユヌスさんと共に、
ジョイント・ベンチャーを設立して、ビタミンを付加したヨーグルトを
バングラディシュで、低価格で販売しています。
このように将来的に成長の期待できる潜在的な市場に
様々な形でアプローチすることで、製品やブランドの浸透への
投資がなされているといえるのかもしれません。


■日本企業のBOPアプローチ

日本企業でも、紙おむつや生理用品の大手メーカーであるユニチャームが、
人口増加、衛生意識の向上を追い風に、中国、タイ、インドネシアで、
製品を一枚ずつ販売することで、アジアでトップのシェアを目指しています。
つまり、パッケージではなくて、一枚ずつ売る方法で、2010年までに
世界シェア10%、アジアでのトップシェアということを目指しています。
一枚ずつ売っていくことは大変な作業ではありますが、
そのコンセプトが浸透していけば、将来的にはパッケージで
売ることも可能になってくると思います。

味の素は日本企業の中でも非常に早い時期に
海外進出を進めて、成功した企業のひとつです。
特に開発途上国の市場を開拓するために、現地の購買力を考えて、
小分けした製品を販売するといった方法をとってきました。
1950年代からフィリピン、タイ、マレーシアなどに工場を設置して、
現地のサトウキビやタピオカを原料に味の素を生産したり、
「コイン・サイズ」といいながら、現地の通貨のワンコインで購入できる単位に
小分けするというやり方で、地道に市場を開拓してきました。
1袋であれば買えますし、いつも手元にあるということが習慣化して、
いつかうまみ調味料を料理に使うことにつながり、
完全に味の素に慣れ親しむようになったのだと思います。
インドネシアでは、今でもほぼ一回分に相当する小袋が、
50ルピア=約0.5円で販売されているようです。
東南アジア一体では、味の素は、欠かせない料理の調味料になっています。


■長いスパンで考えたいBOPへのアプローチ

成長市場へのアプローチがこれからの多国籍企業の
重要な戦略といわれていますが、そのように考えると、
日本企業にとっても、古くて新しいいつか来た道であり、
欧米の多国籍企業に遅れを取っているのではないのかもしれません。
味の素の新興市場開拓の例を御紹介しましたが、
成長市場に向けてアプローチしていくポイントは、
短期的な視点ではなくて、長いスパンで考えながら、
地道な努力をして、市場が成長し、購買力が
高まるのを待つということなのだと思います。

分野: 星野裕志教授 |スピーカー:

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