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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 日航再建の選択肢(財務戦略/村藤 功)

日航再建の選択肢(財務戦略/村藤 功)

09/11/06


■日航の再建

前回は鳩山政権の始まりというテーマで、
お話しさせていただきましたが、
今回はその中でも少し触れた日航の再建についてです。
最近、前原国交大臣が一生懸命やっていますが、
日航はこのまま放っておくと、
倒産しそうになっているのです。
以前、GMのお話をさせて頂きましたが、
あれが日本のJALにきたという感じです。

これまでも経営状態が結構厳しく、
2006年に1,400億円の自己資本を調達したり、
2008年に仲のよい商社や金融機関から、
1,500億円を優先株で調達したりしていました。
しかし、金融危機や景気低迷の影響で、
利用者が激減したまま戻りません。
他にも原油価格の上昇、ビジネスの需要減、
インフルエンザによる旅客需要の減少などがあり、
今年のセカンドクオーターで、
1,000億円近い赤字となりました。
今年の通算では恐らく2,000億円位の、
赤字が出そうだという状況です。
このままでは債務超過となり、
資金不足による倒産を回避するためには、
今年中に2,500億円のお金を調達しなければなりません。
特に11月までに1,500億円位を資金調達しないと、
倒産するという話になってきました。

これまでも様々な経営改革を行って、
新しい社長も頑張っているように見えたのですが、
このような状況になっています。
時価で見たらもう債務超過となっていますし、
金融機関がこのままでは、もう許さない、
と言っており、資金繰りが厳しい状況になっているわけです。

当初、JALとしてはかなり抜本的な対策を、
再建策として作ったつもりでした。
50路線を廃止する、16空港から撤退する、
6800人の人員削減を行うなどに取り組もうとしたのです。
JALとしてはこれまでにないことを、
考えたつもりでした。
ところが、銀行がそれでは足りないと言ったために、
途方に暮れているのです。

国土交通省は、アメリカのデルタ航空との提携で、
何とかしようとしましたが、
政権交代があり、事態はまた混迷し始めました。
代わった前原国土交通大臣は、国土交通省が、
自民党の下でこれまで行っていた、
有識者懇談会を全て白紙に戻して、
元産業再生機構のメンバー中心に、
JAL再生タスクフォースというものを作りました。

10月末までに、新しい再建計画を、
作らなければならないということで、
タスクフォースはJALの本社の中で、
資産査定などを行い、どうすれば再建できるかを、
一生懸命考えました。
前原大臣としては、日本の翼は、
日本で守りたいということですね。
JALを無くすという選択肢は、
国民としてもあまりないのではないかと思います。
しかし、これまでのOBたちが、
年金を減らすなと主張していますし、
JALは昔から、労働組合が、
結構強いということがひとつの問題です。
実はJALには労働組合が8つもあるのです。
アメリカンだとかデルタは、
過去にも経営状態の悪化から、
年金や医療費、従業員の賃金の削減を、
一生懸命行ってきました。
ところが、JALは殆ど何もせず、
親方日の丸で、国土交通省の天下りも受け入れて、
ぬくぬくとやってきました。
この状況がそろそろ許せない、
ということになっているわけです。


■航空連合のグループ
もともとJALが国際線で、
ANAが国内線という規制が過去にありました。
その後相互参入を許し、ANAが海外に出てもよく、
JALも国内で飛んでもよいということになりました。
今では、両方とも国際的な提携グループに入っています。
全日空はスターアライアンスのメンバーで、
ユナイテッド、ルフトハンザ航空などと提携しています。
一方でJALはワンワールドのメンバーで、
アメリカン航空、ブリティッシュ・エアウェイズ、
それからオーストラリアのカンタス航空などと、
提携しています。
さらにデルタ航空、エールフランス、
KLMなどはスカイチームというグループを作っています。

ワンワールドメンバーは、国土交通省のJALを、
デルタと提携させようというプランに、
非常にショックを受けていました。
デルタ航空に出資してもらいなさいという話は、
ワンワールドから抜けて、
スカイチームに移りなさいということです。
ワンワールドメンバーは皆揃って日本にやって来て、
借入金債務保証や営業拠点の統合、
太平洋路線での便数調整みたいなことをやるので、
デルタではなくてワンワールドでやりましょう、
と主張しているのです。
ただ、アメリカン航空の経営自体があまりよくないので、
アメリカンとしては、とりあえずBA(British Airways)や、
カンタス航空と、一緒に来て説得を続けている状況です。

世界同時不況でどの航空会社も厳しいですが、
全日空は大丈夫でJALが駄目なのは、
なぜかという問題は残ります。
これはやはり労働組合の統合、年金問題など、
手を付けなければなかったところを、
長年放置してきたところに問題があります。
国土交通省の支配なども、これをきっかけに、
しっかりと改善していかなければならないと思います。


■世界の航空業界の状況
金融危機、経済危機の影響で、
航空貨物や、ビジネスの出張客が、
かなり減少しています。
出張客の中でも、特に金融機関、
特にインベストメントバンカーなど、
仕事がかなり減ってしまった業界の出張が、
どんどん減っています。
ビジネス客が減っているのと同時に、
インフルエンザで旅行客もかなり減ってしまい、
皆大変です。

IATA(イアタ:国際航空運送協会)という、
世界各国の航空会社が構成する協会によれば、
今年の航空会社業界全体の通年度赤字が、
110億ドルを超えそうだということです。
世界中の航空業界が大変だということを裏付けています。

JALの経営も厳しいですが、
アジアの格安航空会社との、
お客さんの奪い合いも結構大変なことになっています。
例えばシンガポール空港は、これまで、
超優良企業と言われていましたが、
第2クオーター赤字となったり、
中国南方航空も赤字です。
一方でエアアジアという、
アジアの格安航空会社の売り上げや営業利益は、
ぐんぐん伸びており、明暗が分かれている状況です。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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